まやかしの「復興五輪」許さない 「安倍政権を倒そう」と闘争宣言 3・11反原発郡山集会の発言から

週刊『前進』02頁(3117号02面01)(2020/03/19)


まやかしの「復興五輪」許さない
 「安倍政権を倒そう」と闘争宣言
 3・11反原発郡山集会の発言から

(写真 「基地・戦争と被曝から、子どもたちを守ろう」と、沖縄と福島のお母さんたちが連帯を誓った。訴えに聞き入る参加者)

(写真 集会後、さまざまな旗、プラカード、横断幕を掲げて郡山市の中心街を郡山駅前までデモ行進し市民にアピール)

(写真 「原発事故は終わっていない」「まやかしの復興五輪を許すな」と全国・福島各地から結集した参加者)


 コロナ情勢による「自粛」圧力と対決し、600人が結集してかちとられた3・11反原発福島行動(郡山)の発言(要旨)と集会宣言を紹介します。(編集局)

主催者あいさつ

コロナ情勢下でも闘おうと開催決断
 3・11実行委員長/動労福島委員長 橋本光一さん



 困難な状況の中、結集していただきまして、本当にありがとうございます。ここに来る道すがら、放射線量の高い福島に行っていいんだろうか、しかも、このコロナウイルス情勢の中、本当に行っていいんだろうか、と悩みながら来られた方。また、安倍政権の原発推進・再稼働、そして被災者切り捨ての政策に怒りをたぎらせながら駆けつけてくれた方。いろんな思いの方々が集まっていただいていると思います。
 私たちもこの1年間、さまざまな方々と語り合い、思いを共有してきました。
 コロナウイルス情勢を口実とした過大な規制の中で、私たちも今日の集会、行動を開催するか、健康と命を守るという私たちの立場からすれば、今日は中止すべきであるという議論もさんざん行ってまいりました。しかし、今の安倍政権のやり方を絶対に許すことはできないということで、ウイルスに対する万全の態勢をとりながら、開催することを決断しました。
 安倍政権の原発推進・再稼働、被災者切り捨ての政策に対して、みんなでスクラムを組んで、こぶしを上げていければいいなと思っております。
 今日はよろしくお願いいたします。

パネル・ディスカッション

「放射能安全神話」で人権無視の現状
 カメラマン/三春町 飛田晋秀さん



 私は報道カメラマンではないんです。私は職人をずっと撮影をしてきて、この震災に遭いました。報道カメラマンでもないのにどうしたらいいんだろうとかなり悩んだときに、小名浜に知ってる人がいましてお見舞いに行ったら、小名浜はゴーストタウンだと。その方が津波で7人ほど亡くし、行方不明の方が4名もいる。これは伝えていかなきゃいけないということでやっています。
 (写真を示しながら)これは今年2月15日に撮影したんですが、作業員はマスクしてないんです。「どうしてマスクしないんですか?」って聞いたら、何と「国、県がもう大丈夫と言ってるから、私たちはそれを信じてる」と。もう大丈夫ですよと言われれば、それを信じなければ仕事ができない。本当にこういう人たちの今後、被曝の問題は相当出てくるんじゃないかと思います。
 私も11年から、被災地には130回以上入りましたが、行けば行くほどひどくなっています。ですから、空間線量も下がっているところもありますけど、逆に倍増のところもあるんですね。写真展でも展示されている玄関は24㍃シーベルト。14年に測って、雨どいが27㍃シーベルトだったのが、3年後行ったら、何と47㍃シーベルトになっていた。こういうことは一切公表されていない。私から見ればもう、原発の安全神話じゃなくて、いま放射能の安全神話になってんじゃないかなと思います。
 こういうところに戻って住めって言うんです。人権を無視している。人間扱いじゃないと思います。これが今の福島の現状です。

放射線による健康被害を認めない国
 小高赤坂病院院長/南相馬市渡辺瑞也さん



 原発事故当時、我々および浜通りの人たちは、一番ひどい方向に向かって避難したというわけですね。しかも、重要な判断資料であったはずのスピーディーのデータは、福島県が意図的に隠したのではないかという疑いがあります。
 本当にごく一部分だけを残して、ほとんど大部分が避難指示を解除されました。セシウム137の半減期が30年といわれる中で、わずか9年しか経ってないのに、こんなに避難指示範囲が狭められてしまった。
 重病人も妊婦も、非常に線量の高いところに、帰還困難区域でなければ住んで構わないと国は言っているわけです。驚くべきことだと言わざるを得ません。
 こうした中で、私のごく身近なところで、尋常ならざる健康異変がみられています。私自身が事故の4年半後に結腸がんの手術を受けました。
 しかしこの国はそのことを全く認めようとしておりません。それどころか、存在する被害は風評被害だけだという論調を喧伝(けんでん)しているわけです。
 今後は被曝地における健康被害の実例を集積しながら、ICRP(国際放射線防護委員会)、アンスケア(UNSCEAR=原子放射線の影響に関する国連科学委員会)が唱える放射線影響学や放射線防護学の体系といわれるものが、現代の放射線生物学の知見に照らして本当に正しいのかということを批判的に検討しながら問題提起をしていく必要があると思っているところです。

沖縄と福島のお母さんから

ともに子どもたちの命と未来守ろう
 チーム緑ケ丘1207



 ●神谷武宏・緑ケ丘保育園園長 2017年の12月7日午前10時16分に米軍ヘリの落下物事故がありました。保育園の屋根の上にものすごく激しい音でドーンと落ちてきたわけです。1週間後のクリスマス会をみな楽しみにしていて、ちょうど劇の練習をしていたんです。
 米軍は翌日、「ヘリから落下したものではない」と否定しました。驚きです。
 これまで3度東京に行って、政府に要請しました。けれど「米軍からの回答待ち」だとか「調査中」だとか、そんな回答しかない。2年経ってもです。たまらないです。だから私たちの活動はとまらない。これは命の問題です。一緒に声を上げていきましょう。
 ●チーム緑ケ丘のお母さん 現在の保育園の子どもたちの様子をお話しします。事故の前はヘリやオスプレイだったんですけど、事故後はさらに戦闘機とか空中給油機とか、さまざまな機種が飛んでいます。
 悲しいことですけど、子どもたちはヘリやオスプレイの音にはもう慣れてしまっています。それでも大型機やジェット機のすごい音がすると、その場で固まっちゃう子とか、保育士にしがみつく子とか、耳をふさいで立ちすくむ子とか、そういう姿があります。
 窓枠落下があった普天間第二小では事故後、避難小屋を造って米軍機が来るたびに避難しています。ものすごい騒音で授業が中断することもよくあります。
 ●チーム緑ケ丘のお母さん 私の願いはただ一つ、安心・安全に学校へ行かせたい、ただそれだけです。
 この事故があって、私の人生はがらりと変わりました。子どもたちを守るために声を上げようと決めました。上京して署名を提出すれば、あとは国が引き受けてくれて、活動は終わると思っていました。しかし、まったく声は届きません。この国はおかしい。国民の方を向いていない。
 戦後70年以上も沖縄はずっと苦しんでいます。声を上げ続けています。基地問題は私たちにとっては命の問題、生活の問題です。
 福島も沖縄も、子どもたちを守りたいという思いは同じです。ともに手を取り合い、子どもたちの明るい未来を一緒につくっていけたらなと思います。

コロナと3・11で国の対応が大違い
 福島診療所建設委員会代表 佐藤幸子さん

 9年前の3月11日、本当に今でも鮮明に覚えている一日でした。その後、学校をどうするかという、子どもを持つ親たちは本当に判断を迫られました。
 学校を再開しないでほしいという要望を出したにもかかわらず、通常通り学校が再開されてしまい、さらには文科省が「3・8㍃シーベルト、年間20㍉シーベルト」の基準を出したということで、4月19日、福島県内の教育委員会を通して学校に通達が下りました。
 今回コロナウイルスで安倍首相が「子どもたちを守るために学校を臨時休校する」と発表したテレビのニュースを見て、私は目が飛び出るくらいびっくりしました。なんで9年前にその言葉を言ってくれなかったんですか。
 子どもたちを守るために、春休み前倒し、夏休み前倒しで休ませると。福島県、その周辺の汚染が予想されるところは、予防のために、子どもの命を守るために、汚染されていないところに子どもたちは自由に避難してくださいって、なんで言ってくれなかった。しかもそれは全部、国の責任で費用を出して避難させることができたんじゃないかと。
 子どもたちの、本当に自分たちの命を考え未来を考える、そういう素直な気持ちを受け止めながら、私たち大人はこれからも子どもたちを守っていくために、やるべきことを自分で考えてやらなきゃいけないんじゃないかと、この9年目を迎えて改めて思いを強くしています。

福島からのアピール

この地で働き続け息することが闘い
 全国農民会議共同代表 鈴木光一郎さん



 全国から福島の心に連帯してご参集されましたこと、さらに日常的に保養それから物心両面にわたるご支援をいただき、本当にありがとうございます。
 私たち、毎日毎日農作業をやっておりますけれども、それはまさに被曝労働であります。もう慣れっこになって、あまり感じなくなってしまった。でも、ここに来ると、ああやっぱり俺は、この地で毎日毎日仕事をやり、息をしていること自体が闘いなんだと皆さんに申し上げたい。
 常磐線の全線開通などいろんなことがありますけれども、除染されたのは駅周辺だけです。そこから数十㍍先は線量が高いんです。だから3万数千人の人々がまだ帰りたくても帰れないんです。そのことの重みを、国は絶対に理解しようとしません。
 3・11から9年経ちました。たった9年ですけれども、これから平常でも40年かかるという廃炉作業は、福島原発では何十年かかるか分かりません。そのことの重さを感じます。
 皆さんはこれから全国に帰って、そういう福島の心をぜひ伝えていただきたいと思います。私たち農民、あるいは農業にたずさわる者は一生懸命やっています。再稼働の欺瞞(ぎまん)をただしながら、これからも全国の皆さんとともに歩んでいきます。

福島を犠牲にした大都会の一極集中
 希望の牧場・ふくしま代表 吉沢正巳さん



 私たちの浪江町は9年前の大震災でめちゃくちゃに壊されました。震度7の地震、そして請戸(うけど)漁港には15㍍の津波がおしよせました。200人近い人たちが命を失い、翌12日から全町避難ということで、みんな大急ぎで、町ごと逃げました。津島に4日とどまり、そこで猛烈な被曝を3月14日、15日にしています。総崩れとなって、峠を越えて二本松に逃げ込んだあの日々のことを忘れてはいません。
 僕たちはこの浪江町をみながら、ずっと考えています。さようなら浪江町です。避難指示解除から3年。戻った人はわずか5%。1000人しかいません。かつて2万1500人の町がもうぼろぼろの状態です。町の存続意味が崩れようとしております。
 電気がなければ暮らしも成り立たない大都会が、いま極限の一極集中のさなかに、オリンピックをやろうとしております。ふざけるな、です。福島県の電力がなければ1日も成り立たない首都圏が今、福島の犠牲の上に、福島を差別して、自分たちさえよければよいという大都会の極限のエゴを追求していると僕は思うんです。
 国民の命をないがしろにして安倍の独裁政治をさらに進めるような緊急事態条項が作り上げられようとしています。私たちは実力でこの安倍政治に対して声を上げ、体を張り、闘い続けなければなりません。

被曝労働拒否の闘い

名ばかり「復興」と常磐線開通に反対
 動労水戸書記長 照沼靖功さん



 この間、JRとの団体交渉の中で、会社側は再三「必要な除染は終了した。車両は高速で走行するから放射性物質は付着しない。だから線量測定はしない」と言ってきました。でも、車両が走ればそこにほこりはつきます。そのほこりの中に放射性物質が含まれていれば、必ず車両に付着します。
 私は車両のメンテナンス職場で働いています。床下は3カ月間走行しただけで真っ黒になるほど汚れます。その床下の検査を私たちはしなければいけない。
 私たちは組合独自で床下にある機器のほこりの線量測定を実施しました。その結果、福島県内を走行しない車両は1㌔グラムあたり101ベクレルでした。それに対して、たった5日間、常磐線の開通区間を試運転した車両は2350ベクレルでした。およそ23倍もの線量が検出されました。それに対してJRは一切調べようともせずに居直っています。
 鉄道の敷地内と町の一部だけが除染され避難指示が解除されても、人が帰れないところに電車を走らせる----これが本当に復興なのでしょうか。
 新型コロナウイルスは危険だ危険だと報道されています。だったら放射能だって危険だと報道するべきじゃないですか。でも絶対にそれはしない。オリンピックをやりたいから。こんなことが許されますか!
 名ばかり「復興」と、労働者・住民に被曝を強制する常磐線全線開通に、動労水戸は絶対反対を貫いて闘っていきます。

集会宣言

 安倍政権は、新型コロナウイルス対応の失敗を逆手にとり、「新型インフルエンザ特措法改正」をもって、いつでも私たちの自由と権利を制限できる「緊急事態宣言」を発動できる国家体制づくりを狙っている。「大規模集会の自粛要請」の圧力の中、今年の3・11反原発福島行動は、「オリンピックやってる場合か、子どもたちの命と未来を守ろう」というスローガンの文字通り死活をかけて、「安倍政権の下では、私たちの命と健康を守ることはできない。集会中止ではなく、一日も早く安倍政権を倒すために集会・デモを闘おう」と開催を決断しました。
 安倍首相みずから「福島は東京から250キロ離れており、皆さんが想像する危険性は東京にない」と発言し誘致した東京オリンピックは、原発事故から国民の目をそらすため、うそで始まった。今度は、偽りの復興を名目にしたオリンピックのために、新型コロナウイルスの検査をさせずに被害を全国に拡大させている。福島原発事故直後、甲状腺被ばく線量測定が中止され、いま237人を超える小児甲状腺がんが発症しているにもかかわらず甲状腺エコー検査そのものの縮小・打ち切りを迫られている福島の現実がすべてをものがたっている。
 JR常磐線の全線開通、帰還の強制、汚染水の海洋放出など、すべてがデータの改ざんに基づいてすすめられている。モリ・カケ、サクラ、そしてコロナと、国家を「私物化」してやまない安倍を福島の怒りは許さない。安倍政権と東京電力に原発事故の責任をとらせなければならない。
 原発も核兵器も戦争もない社会の実現へ、いまこそ安倍政権を倒そう。私たちの未来は私たちの力で切り開こう!
3・11反原発福島行動20
参加者一同

このエントリーをはてなブックマークに追加