大阪都構想は民営化の実験場 労働組合の闘いで葬ろう
週刊『前進』04頁(3116号02面03)(2020/03/16)
大阪都構想は民営化の実験場
労働組合の闘いで葬ろう
大阪都構想の2度目の住民投票が11月に行われようとしています。大阪維新の会と自民党は「憲法改正」で一致しており、「世界で一番企業が活躍しやすい国」(2013年・安倍)を目指すという意味でも同じ方向を向いています。都構想に向けて今大阪市で起きていることは、改憲で安倍が狙っていることでもあるのです。
都構想は国鉄分割・民営化の自治体版です。維新のブレーンである上山信一は「大阪都構想は、国鉄・郵政に次ぐ戦後日本の三つ目の大改革である」とし、都構想を「集権化・分権化・民営化」だと規定しています。「府市統合」が万能薬であるかのように見せて、実は全面的な民営化が本質です。大阪市の所有する土地までも「約6兆円のストック」とみなし、民間に引き渡すべきだとしています。
要するに「民営化すれば金になる」という単純な発想です。最近では水道の管路交換の民間委託、動物園の法人化などが打ち出されましたが、どちらも全国初です。大阪市を民営化の実験場にしています。
絶対反対を貫こう
しかし上山は、民営化された現場のことには全く触れていません。「国鉄は民営化されて税金を納める優良企業になった」と言うだけで、その現場の実態には触れることができないのです。都構想絶対反対―民営化絶対反対は社会を食い物にしようとする連中に対する、正義の闘いです。本来、下水道の上下分離も交通局や保育所の民営化も、2015年の住民投票後に本格実施が狙われていました。マスコミを使って労働組合を徹底的にたたき、住民投票で労働組合にとどめをさしてから、これらの攻撃に突き進もうとしていたのです。
しかし、どんな処分恫喝を振りかざしても現場の抵抗が続き、民間労組も共に市役所前に結集して当時の市長である橋下打倒集会が何度も開催され、橋下徹は次々と不当労働行為を認定され、15年の住民投票で都構想は否決され、橋下の政治家引退という勝利が勝ち取られました。
今、都構想は、当初橋下の言っていた「都構想から道州制へ」というプランからすれば、大きくスケールダウンして、なんの説得力もないものになっています。すでに民営化の矛盾が現場で爆発している中で、労働組合の闘いがなくなっていないからです。労働組合が絶対反対の闘いを続ければ、必ず勝機が来ます。
維新は、都構想施行後の具体的なことはほとんど示していません。職員数の検討は投票後。人事給与制度の構築は来年。新たな社会設計があるのではなく、住民投票の結果を圧力にして労働組合をつぶすことで、徹底的な民営化や職場・地域の破壊を強行しようとしているのです。逆に言えば、住民投票によっては何も決まらないということです。労働組合の闘いが禁止されるわけではないし、地域住民も黙っていません。現場労働者や地域住民の決断があれば、いくらでも闘えます。
学校統廃合に怒り
いよいよ住民の決起が始まっています。生野区の小中学校17校を4校にまで減らしてすべて「義務教育学校」「小中一貫校」にする統廃合計画に対し、地元の反対の声がやまない中、1月15日の総合教育会議で生野区の学校の統廃合にかかるルールを変え、20日には地元無視で統廃合の説明会を開催することを発表し、2月21日には小中学校の統廃合に関する条例を市議会で強行可決して、トップダウンで統廃合を強行しようとしています。「産官学と地域の連携」「習熟度別クラス」を新しい素晴らしい教育とうたう市教委に対し、説明会で「学校は地域コミュニティーの中心」「地域の団結で子どもを育ててきたのにそれを破壊するのか」という根底的な怒りが表明されています。
改憲・戦争が暴力的に進められる中で、職場・地域への激しい分断攻撃、団結破壊が始まっています。しかしこの分断攻撃は必ず闘いを呼び起こします。弾圧を打ち破って突き進む関西生コン支部の闘いを引き継ぎ、都構想反対の闘いを爆発させて、都構想と改憲をまとめて葬り去りましょう。
(大阪 自治体労働者・志川隆一)