JR常磐線全線開通阻もう 試運転で23倍の放射能 動労水戸 車両床下のちり測定

週刊『前進』04頁(3114号01面01)(2020/03/09)


JR常磐線全線開通阻もう
 試運転で23倍の放射能
 動労水戸 車両床下のちり測定


 JR常磐線の全線開通によって労働者が被曝を強制されることが、2月28日に動労水戸が茨城県庁で開いた記者会見であらためて明らかになった。

1㌔グラム当たり2350ベクレルを検出

 JR東日本は3月14日のダイヤ改定で、2011年の3・11東日本大震災による大津波と原発事故によって放射線量が高いために不通区間となっていた常磐線の富岡―浪江間(20・8㌔)を開通させ、普通列車と特急列車を走らせようとしている。すでに試運転が行われている。
 動労水戸が放射能濃度を調べたのは、5日間の試運転を終えた車両だ。車両の床下にあるモーターのフィルターに付いたちりを勝田車両センターで採取したところ、1㌔グラム当たり2350ベクレルというとんでもない値が検出された。不通区間を通らない車両のフィルターと比べて23倍だ。フィルターは、走行中に熱せられた床下の機器を、空気を取り込んで冷やす時に、車輪の回転によって巻き上げられた線路上のちりなどを取り除くためのものだ。
 動労水戸は、不通区間を通らない通常運転の車両で3カ月使用したフィルターのちりも測っており、1㌔グラムあたり101ベクレルが検出された。今回の車両は5日間の試運転だったが、これからは3カ月に1度の検査でフィルターの清掃が行われる。3カ月間ため込まれたちりには、さらに膨大な放射性物質がふくまれることは明白だ。

放射線測定拒否し内部被曝を強いる

 動労水戸は3・11以降、被曝労働拒否と常磐線の全線開通反対を闘い続け、車両に放射性物質が付くことの危険性を指摘し、JR本社と水戸支社を追及してきた。
 しかし、動労水戸との団体交渉の場で、JRは「列車に放射性物質がつくとは考えていない」という主張を繰り返し、車両についた放射性物質を検査することを拒否し続けている。
 今回の測定で、列車に放射性物質が付いたという明らかな結果が出た。にもかかわらず、JRが全線開通を強行すれば、車両の検査・修繕作業を行う労働者が放射性物質を含むちりを吸い込み、内部被曝を強制されることは明らかだ。これはJRの犯罪行為だ。

マスクしても鼻の中まで黒く汚れる

 車両から取り外されたフィルターは、集塵(しゅうじん)室に運ばれる。そこで労働者が高圧の空気を当ててちりを吹き飛ばす。「気吹(きぶき)」という作業だ。勝田車両センターでこの作業にあたる動労水戸の照沼靖功書記長は「作業中はマスクとゴーグル、耳栓をするが作業後はマスクをしているにもかかわらず鼻の中まで黒く汚れる」と話す。勝田車両センターでは約50人の労働者がこの作業にあたる。木村郁夫委員長は「ベクレルは食べ物の基準として使われる単位ですが、今回の数値は、とても体内に取り入れられる数値ではない」と訴える。
 このフィルターは、モーターの付いている車両ごとに4枚付けられている。5両編成だと2両にモーターが付いており計8枚、10両編成だと4両にモーターが付いて計16枚ある。これらを1枚ずつ労働者が気吹をしていく。また、車両からフィルターを取りはずす時にも、労働者はちりで汚れた床下機器に抱きつくようにして作業するため、作業着は黒く汚れる。
 記者会見で、動労水戸の石井真一副委員長は「3月14日に開通させようとしている区間の脇には、中間貯蔵施設があり、そこでは1万ベクレルもの高濃度の汚泥や汚染土などが扱われている。海からの風でその放射性物質が拡散され、線路にはその一部がたまっているんだと思います」と危険性を訴えた。
 今回の動労水戸による測定結果は常磐線の全線開通に限らず、福島への帰還の強制がいかに危険であるかを示している。オリンピックのために福島の復興を演出する常磐線全線開通は絶対に許されない。動労水戸と共に闘おう。

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