3・11反原発福島行動へ福島からの訴え③

週刊『前進』02頁(3113号02面01)(2020/03/05)


3・11反原発福島行動へ
福島からの訴え③

全国の力で成功させよう
 動労福島委員長
 3・11反原発福島行動実行委員長 橋本光一さん

 「福島だけが20㍉シーベルト基準なのはおかしい」「小児甲状腺がんの発症率が通常の60倍なのに原発事故の影響ではないというのはおかしい」----みんな分かっているのに声を大にして言う人は少なくなっています。職場でそのことを話して否定する人はいないが、同調して積極的に話す人もいません。
 原発事故の実態を知ってほしいと全国で写真展と講演を行っている方は、依頼先は圧倒的に県外で県内は少ないと嘆いていました。東京新聞は記事にしてくれるが、地元紙から声をかけられることはないとも言っていました。帰還困難区域の撮影に入ったとき、除染作業員がマスクも防護服も着ていないので、大丈夫なのか尋ねたら「国が安全だと言っているんだからそれに従うしかない」との言葉が返ってきたそうです。
 また先日、東大に推薦入学が決まった高校生が「核融合の研究で社会の役に立ちたい」と言っているというニュースが地元紙に載っていて驚きました。福島の「安全安心」キャンペーンを許していることがこんな若者を生み出してしまったのだと責任を感じます。

闘い続ける人いる

 しかし、私たちと同じく諦めていない人もいるのです。前述した写真家の方、農地裁判、被曝裁判、避難者裁判で国と東電の責任を追及して闘い続けている人たちがいます。実行委員会では、とにかく壁をつくらない、広げよう繋(つな)がろうということを最優先に進めてきました。その結果、対立的な関係だった人たちとも接近し、今までにない広がりが出来ています。先日の郡山駅前街宣では、「原発反対!」という声掛けに反応し、足を止めてチラシを受け取る人が1割はいたと思います。職場でも1対1なら本音を話してくれる人がいます。
 私の義理の両親は7年間の仮設住宅生活ですっかり弱ってしまいました。阿武隈山地にある山村の唯一の鉄工所で、農耕具の修理などでみんなに尊敬されていました。小さな畑の野菜と豊富な山菜と川魚を食し、そんな生活が続いていればもっと元気であったはずです。今は、いつまた爆発するかわからない原発から20㌔しかない実家で暮らしています。事故から9年が経ちますが、何も解決していないのです。

職場で反原発貫く

 動労水戸と動労総連合は常磐線全線開通反対の闘いを展開しています。開通すれば帰還困難区域を走る列車が、いずれ私の働く郡山総合車両センターに定期検査で入場してきます。車両に付着した粉じんによる内部被曝の危険があります。今やっている職場代表選挙の主張に放射能対策を入れました。動労福島として、職場での被曝労働反対の闘いで反原発の運動を広めていきたいと思っています。
 福島の反原発運動を「復興・安全」キャンペーンにも、オリンピックにもつぶされてはなりません。全国の皆さんの力を貸して頂いて3・11反原発福島行動を成功させたいと思います。

国・県が偽りの復興宣言
 福島県労組交流センター運営委員 渡辺 誠さん

 2011年3月11日の東日本大震災・福島第一原発事故から9年を迎えようとしていますが、福島の現状は原発事故当時からなんら変わっていません。

コメの検査を縮小

 逆に避難指示区域だった所への帰還が強制され、オリンピック開催に向けた聖火リレーがそうした地域を走ることで偽りの「復興」がアピールされようとしています。国や東京電力、そして福島県と福島医大が放射線被害を一切認めない姿勢であることによって、内部被曝の現実や子どもたちの甲状腺がん発症などが深刻な状況になっています。
 私が住む福島市では、12年から玄米の放射性物質の検査を、主食米、飼料用米、くず米など生産された全てのコメを対象に毎年約33万袋(1袋30㌔グラム)行ってきました。しかし、今年から約40の旧市町村(現在の福島市の戦後間もなくの行政区分)ごとに3検体のみの抽出検査で合計約120袋だけに変えようとしています。放射性物質の検出機器は、ベルトコンベヤー式の測定器で、そこを通過する数秒間で測定するため誤差の範囲が1㌔グラム当たり25ベクレルあり、高い値を示した玄米は後日、詳細検査をします。
 今年は、原発事故後、水田の土壌から稲が放射性物質を吸収しないように行ってきた塩化カリ(塩化カリウム)を使った吸収抑制対策も行わない予定でした。しかし、昨年の台風19号で河川から水田に土砂が流れこんだり、稲刈り後の切りわらが流出したり甚大な被害が出ました。そのため、土壌中のカリ濃度の低下と流入した土砂に付着した放射性物質の吸着の懸念から、今年だけは塩化カリの散布を実施することになりました。土壌に付着した放射性物質(セシウム)は若干減少しているものの無くなったわけではありません。コメの検査をやめてしまうことは、毎日食べる主食からの放射性物質による内部被曝を考えると大いに問題があります。
 また、農作業の多くは被曝労働です。特に春先は、トラクターで田起こしをする際など土ぼこりが舞う中でマスクも着けずに作業をしている方が多いのです。

国・東電の責任追及

 福島県は、原子力災害対策特別措置法に基づき「原子力緊急事態宣言」が発動されたままで、いまだ解除されていません。「原子力災害の拡大防止を図るための応急の対策がまだ必要」であり「帰還困難区域が残っている」からです。安倍政権は、放射線量を偽ってまで強行するJR常磐線の全線開通を呼び水に帰還困難区域の避難解除を狙っています。
 国は、裁判でも放射性物質の農地への拡散の責任を居直っています。さらに損害賠償の打ち切りを狙ってコメの検査を縮小することなど絶対に認めることはできません。3・11郡山に集まって、福島の怒りでつながり、どこまでも国と東電の責任を追及しましょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加