団結ひろば 投稿コーナー
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危険な都心低空飛行やめろ
合同・一般労組全国協議会事務局長 小泉義秀
『パイロットは知っている/羽田増便・都心低空飛行が危険なこれだけの理由』(杉江弘・山口宏弥著)は必読の書である。
「羽田空港は、世界一着陸が難しい空港になる! 現場の声、乗客の命を軽視・住民の暮らしを無視する無謀な羽田増便計画と米軍横田基地との危ない関係」「羽田増便が引き起こす5つの大問題①都心上空から落下物が降ってくる②尻もち事故を誘発する急降下アプローチ③騒音被害④ニアミスを誘発する進入方式⑤住民や自治体の意思を無視した行政手法」という核心点が表紙に書かれている。
著者の杉江氏は航空評論家・元日本航空機長、山口氏は元航空労組連絡会議長・元日本航空機長だ。要点がわかりやすく書かれた本書は、3月末から開始される羽田増便・都心低空飛行の危険性を暴いている。
2月7日の定例会見で小池都知事は「降下角については、国から国際的な安全基準に則ったものであると聞いている」と述べたが、本書を読むと安全性は確保されていない。「ジェットコースターのような急降下」「3・5度の降下角の空港があるという嘘」と杉江氏は書いている。国交省はサンディエゴなど20の空港が3・5度を採用しているというが、サンディエゴは大型機は飛来せず、実際には有視界飛行で3・0度で進入しているという。世界一着陸が難しかった香港の旧啓徳空港でも降下角は3・1度だそうだ。都心上空からの3・5度はあり得ないという。氷や部品の落下は不可避であり、墜落事故が都心で起きる可能性も否定できない。米軍横田基地があるために様々な危険が強いられていることを本書を読むとよくわかる。
棘上映と評伝『棘男』に感動
東京東部 高村宏信
2月9日杉並区で、東京で初めて上映されたドキュメンタリー映画「棘(とげ)―ひとの痛みは己の痛み。武建一」を見、その場で評伝『棘男』(平林猛著)を買い、その日のうちに読みました。
私は、身が震えるほどの感動と、自分が今まで詳しく知らなかったことの恥を感じ、無責任な言い方になりますが、「武建一のファン」になりました。同時に、武氏とほとんど同じ年齢の平林猛氏が、病身でありながら武氏の故郷の徳之島まで飛んで、短い期間に貴重な本を出版したことにも感動しました。
現在東京での上映会が4回企画されていますが、私も宣伝のビラまきをしました。「何の映画ですか」と質問されたとき、「関生」を知っている人なら、「関生の委員長が...」と説明できますが、中々そうはいかない。しかし、組合活動でストライキをやれば「威力業務妨害」、要求すれば「強要」、賃上げすれば「恐喝」という前代未聞の労働組合弾圧が起こっていること、武委員長は未決のまま1年半以上も勾留され、関生組合員ほか逮捕者89名、起訴70名を超えていることなどの弾圧状況を、今こそ東京と全国津々浦々に伝え、多くの人々に知ってもらわなくてはならないと思います。東京東部で行われる3・6上映会では、会場周辺に住む家に説明書き入りのポスティングをしようと決意しました。
「国鉄・関生決戦に絶対勝利し」と言いますが、この関生弾圧を粉砕することなくして「改憲阻止!大行進」の発展もないと強く感じました。
運転士廃止阻止で駅頭宣伝
神奈川労組交流センター 上田豊
動労千葉を支援する会から運転士・車掌の職名廃止阻止に向けて駅頭街宣行動が呼びかけられました。神奈川でも2月15日、JR東神奈川駅前で街頭宣伝を行いました。参加者は5人と少なかったのですが、反応は想像以上でした。
チラシは200セット(4種類)。〝「運転士」「車掌」がなくなる〟―動労千葉を支援する会のチラシ、動労神奈川機関紙41号、2・29関西生コンを支援する神奈川の会結成集会の呼びかけも配布しました。プラカード「運転士・車掌の職名廃止反対」はインパクトがありました。
チラシの受け取りは良く、「運転士」「車掌」職名が4月1日から廃止されることの訴えに「本当なの?」「それは大変だ」との声も。マイクでの訴えを聞いてチラシを受け取る人も多くいました。
東急の運転士や相模鉄道バスの元運転士と会話になりました。「父も(JRで)運動やっています」と横断幕をスマホで撮っていった若い女性もいました。
4月1日から「運転士」「車掌」職名が廃止されることはまったく知られていません。その次に自動運転を狙っていること、そうなれば乗客の安全や列車の安全な運行が破壊されることになること、このことをもっと訴えていくことが必要だと痛感しました。
「パラサイト」の異様な迫力
東京 新谷洋介
英語以外の言語で初めてアカデミー賞の作品賞、脚本賞、監督賞などを獲得した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」は、ポンジュノ監督と主演ソンガンホ(「タクシー運転手」などに出演)が組んだ4本目の映画です。ものすごい迫力に圧倒されます。
ソウルの下町には、実際に「半地下」の家がたくさんあるそうです。窓の高さに地面があって、窓から道を歩く人の足が見える。高台の富裕層と、半地下の貧乏人の対比が、実に分かりやすく示されます。高台のIT会社社長邸に偽名と奸計(かんけい)を使って家庭教師や運転手や家政婦として雇われる形で次々と侵食(パラサイト)していく半地下の家族。そこから話は複雑にもつれて、とんでもない事件に発展していくのです。
この二つの家族の格差を表すキーは「におい」です。階級対立の非和解性がそういう形で示される、ということに慄然(りつぜん)とします。高台の幼い子が、侵食してきた半地下の家族を「みんな同じにおいがする」と言い当てる場面がありますが、それがすごい伏線になって最後の大事件に至るのです。
もう一組のとんでもない登場人物も出てきて、最後まで一瞬も目を離せない、怒涛(どとう)の展開です。
ポンジュノ監督は、「本作は、ますます二極化の進む今日の社会の中で、二つの階級がぶつかり合う時に生じる、避けられない亀裂を描いているのです」と言っています。映画の内容を的確に表現した、「そそられる」宣伝文句ですが、決して期待を裏切らない作品です。