処分撤回闘い自治会建設へ 京大学生運動の大衆的発展を

週刊『前進』04頁(3112号04面01)(2020/03/02)


処分撤回闘い自治会建設へ
 京大学生運動の大衆的発展を

若者の大決起生み出そう

 マル学同京大支部は、このかん処分撤回運動に全力で取り組み、全学を組織する巨大な学生運動を作る挑戦を始めている。その中で見えた課題と展望について提起する。
 世界は今、「革命情勢」である。世界中で労働者民衆が立ち上がり、「資本主義の終焉(しゅうえん)」を感じる人は確実に増えている。
 米大手広報会社エデルマンが日本を含む27カ国と香港を対象に行った世論調査(1月19日発表)では、資本主義について「善より害悪をもたらす」と答えた人は実に56%に及ぶ。だが日本では、「害悪をもたらす」が対象国最低の35%であるにもかかわらず、今後5年間で暮らし向きが「良くなる」と答えた人はわずか15%と、これも最低だ。
 国鉄分割・民営化と総評の解体から30年以上にわたる労働運動の停滞を経験した労働者階級は、未来に展望を描くことができず、しかし資本主義を受け入れざるを得ない矛盾の中で苦しみ、日々闘っている。
 こうした困難の中で日本の若者は明確に「左傾化」している。しかしその政治意識は個人主義が前提されるがゆえに、国家体制を問う改憲阻止の闘いにストレートにはつながらない。
 「革命情勢」を本物の革命に変える挑戦、数十万・数百万の若者の決起を生み出す挑戦は、この現実と真正面から向き合うことから始めなければならない。

同学会が守ってきた文化

 04年の国立大学法人化以来激しく進行した大学改革は、全国の大学を「競争社会で生き残るための教育サービスを提供する場」に変えた。
 そうした中で我々は2011年福島第一原発事故をきっかけに同学会再建運動を闘い、大学改革に対抗する自治会建設をキャンパス全体に提起し続けてきた。そしてどれだけ学生の声を集めても交渉を拒否する京大当局に対し、同学会中執が先頭に立って実力闘争を構え、2015年10月反戦バリストまで闘い抜いた。
 大学運営をストップさせる学生の力=ストライキの復権に衝撃を受けた京大当局と国家権力は、それ以来中執に対してすさまじい弾圧をかけてきた。しかし中執をはじめとする京大生は団結を求めて孤立を恐れず、立て看板やビラでの主張、職員の弾圧をはねのけてのキャンパス集会開催などを通じて学生の「闘う文化」を守り抜いてきた。

団結をかちとってきたこの間の闘い

 一つ目の転機は2018年5月の立て看板規制の施行だ。表現の自由、受け継がれてきた学生文化……立て看板を通して守りたいものは人それぞれあれど、それを当局が暴力的に規制し撤去するのを目撃して、力をもって抵抗することの必要性を誰もが感じた。同学会中執を先頭にした規制施行日の立て看板撤去阻止闘争を皮切りに、何度撤去されても多くの学生が次々に立て看板を立て、その運動は京大にとどまらず全国に広がった。そして6月には京大で「タテカンフェス」が開催され、キャンパスのど真ん中で堂々と立て看板を作る学生たちが現れた。「団結して闘う文化」が復活した瞬間であった。
 二つ目の転機は、大衆的反撃に対応して京大当局が2019年9月、熊野寮生3名への無期停学処分と、「オルガ像」設置者への処分策動を振り下ろしたことから始まった。これまで同学会運動に集中していた弾圧が一気に拡大した衝撃も相まって、多くの京大生がこの処分に怒り、行動を始めた。同学会の10・3処分撤回集会で処分当該の一人が「見せしめの処分を許さない!」と決起したのに始まり、熊野寮自治会が署名運動を開始、そして12月には教授や市民を含む様々な潮流が合流する全学集会が開催され、弾圧にきた職員を参加者が追い返すという大勝利を切り開いた。全学連大会で京大処分撤回を運動の軸に据えた我々は、この過程を多くの大衆と討論し、ともに闘い抜いた。

京大全学の運動の中心に

 重要なことは、今や京大生は現状の社会秩序が正義でないこと、その裏側に暴力の存在があることを経験したことだ。そして京大当局が学生に振るう最大の暴力である処分に対して、阻止・撤回を求めて真っ向から闘い始めた。
 法大闘争の総括の中に、次のものがある。「『全学連には0と100しかない。だから1〜99を包摂する運動が必要だ』と述べ、そのような空間の確保のために大学当局と手を結ぶ潮流が現れたとき、そこには私たちの側の運動の弱さであり、法大闘争が残した課題が表れていた。『先頭』に立てない『中心』は無意味だが、『先頭』だけで常識を覆す闘いはやはりできなかった」
 10年以上にわたる闘いを経て、改めて我々は京大でこの課題に挑戦している。全学自治とは1から100を本気で組織する運動であり、同時に権力に対抗する学生の側の権力だ。処分撤回闘争は改憲=戦争国家化を現場からひっくり返す闘いとして発展しつつある。
 我々京大支部は、始まった処分撤回運動の先頭かつ中心に立ち、今後ますます激しくなる弾圧に対して京大生大衆とともに闘い、経験と総括を共有し、改めて大学改革を討つ学生自治会建設に向けて実践を積み重ねていく決意である。
〔マル学同中核派・京都大学支部〕
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