全国農民会議が総会 「安倍農政打ち破り声上げよう」

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週刊『前進』04頁(3112号03面03)(2020/03/02)


全国農民会議が総会
 「安倍農政打ち破り声上げよう」

(写真 全国農民会議第8回総会に全国から80人の農民、農業関係者、労働者が参加した【2月9日 新潟県長岡市】)

 2月9〜10日、「魚沼産コシヒカリ」産地である新潟県長岡市で全国農民会議第8回総会が行われ、全国から80人の農民、農業関係者、労働者が参加した。
 初日の「地域農業を守ろう! 安倍農政を葬ろう! 全国農民の知恵を出し合おう」講演集会には、地元の農家や農業関係者が多く集まった。
 まず、新潟県を中心に活動してきた堀井修さんが、種子法廃止と種苗法改悪を批判した。「国・県が保障していた種を民間から買わなければならなくなる。もうけのために企業はもうかる品種に絞って、高い種を農家に売りつけるようになる。この通常国会に提出される種苗法改悪で、在来種の栽培さえ制限される」
 福島県いわき市の畜産農家の斎藤栄一さんは、3月に常磐線が全線開通され、県内で五輪聖火リレーが進められようとしていると報告し、「動労水戸は被曝労働拒否で闘っている。福島の農家も日々被曝労働を強制されている。郡山で開かれる3・11反原発福島行動へ集まろう」と訴えた。
 福島県から新潟県に避難してきたIさんは「地震・津波があったから放射能を出していいというものではない。原発を造ったことが人災だ。人が口にするものに悪いものが入ったらダメ。目標、夢を持ち新潟で農業をやる」と語った。
 三里塚反対同盟の萩原富夫さんは、農地取り上げ強制執行に反対する請求異議控訴審闘争への支援を訴え、続いて市東孝雄さんは「耕作者である父が知らないうちに底地を買収し、NAAは今、私に対して出て行けと迫る。こんなことは許せない。3・29全国集会へ結集を」と訴えた。
 「アベノミクス農政への反撃は農民自らの手で」と題した記念講演を、大学研究者のIさんが行った。「安倍の施政方針演説は、農業に関して中身がなかった。新潟市での企業の農業参入は進んでいない。企業が農業をやれないと示した壮大な社会実験だった。60㌔あたりの米価格を2千円上げれば今の農家の疲弊(ひへい)を解消できる。農家だけでなく、農協、米屋などの農業関係者も含め、地域の経済も回るような要求を突きつけよう。農水省は3月末に出す新基本計画で、兼業農家や小規模農家への支援を言わざるをえなくなっている」と述べ、安倍農政を打ち破り、農民自身が声を上げることを呼びかけた。会場からも意見が活発に出された。
 夜には夕食を囲んで交流会が開かれ、地元新潟と全国の仲間が胸襟を開いて語り合い、親睦を深めた。
 2日目の総会議事は、共同代表の鈴木光一郎さんのあいさつで始まり、新潟県労組交流センターの鰕名一男代表が「既成の労働運動を左から批判するあり方を転換し組織を拡大する」と決意を表明。佐藤幸子さんが福島の現状を報告した。
 秋山和雄事務局長が議案を読み上げ、①農家所得保障の要求を掲げ安倍農政に反撃を。日米FTA(自由貿易協定)反対、種苗法改悪反対。②戦争・改憲に突き進む安倍政権打倒、沖縄米軍基地撤去を。③三里塚連帯、市東さんの農地強奪を許さない。④福島の闘いを軸に再稼働阻止、全原発廃炉へ。⑤支部活動を強化し農民会議の会員拡大・組織建設を進める——との方針を提起した。参加者から技能実習生など外国人労働者の待遇改善の意見が出され、議案に盛り込まれた。
 最後に、小川浩共同代表が「具体的に農民を組織する闘いに踏み出す。農業が持続できる所得保障・農産物価格を求めていく。全国農民の力で市東さんの農地を守ろう」とまとめ、総会を締めくくった。
(全国農民会議・内藤大一)
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