豊洲裁判 審理ぬきの結審強行 耐震偽装の暴露に恐怖

週刊『前進』04頁(3112号02面05)(2020/03/02)


豊洲裁判
 審理ぬきの結審強行
 耐震偽装の暴露に恐怖


 豊洲耐震偽装裁判が2月20日、東京地裁民事51部(清水知恵子裁判長)で開かれた。同裁判は、日建設計が設計した豊洲市場6街区(水産仲卸売場棟)の耐震偽装について、豊洲仲卸業者が原告となり、東京都・小池百合子知事を相手どり建物の除却・使用禁止などの是正措置を求めて2018年6月29日に提訴した。
 1階柱脚の鉄量が建築基準法令で定められた規定量の56%しかないなど、耐震偽装の事実は明らかである。都自身がこれまでの裁判で、柱脚の鉄量は規定量の59%であると認めている。にもかかわらず、清水裁判長が建築基準法令違反の審理に入ることをかたくなに拒み、審理を行わずに裁判を打ち切ろうとするでたらめな訴訟指揮を行ってきたことに対して、原告と弁護団は昨年1月、裁判官忌避を申し立てた。以来、裁判の進行が停止していた。忌避却下の判断を受けて、東京地裁・清水裁判長のもとでの裁判が再開された。
 開廷後、直ちに武内更一弁護士が陳述に立ち、裁判が停止している間に、設計者が同じ日建設計で同時期に建設された豊洲市場の建築物に、耐震強度上見過ごすことのできない事態が生じている新たな証拠を示した。7街区(水産卸売場)で15㌢メートルもの大きな壁のずれや亀裂が発見され、今年1月15日付日刊ゲンダイが報じた。そして、「東京都が建築物の所有者である都知事に対し、違法の通知・是正の要請を行えば、何もしないことはあり得ない。都の処分性(都の建築物に対して是正措置を命令する権限があること)は明らか」「放置すれば、市場で働いている人や買い出し人の生命、身体、財産が侵害される。裁判所の責任は重大だ」と述べ、清水裁判長が実体審理に入ることを強く迫った。
 ところが、清水裁判長は審理を行わないまま「裁判を終結する」とのみ告げ、この日の裁判を打ち切った。判決は5月19日。傍聴人から怒りの声が上がる中、裁判官らは法廷から逃げ去った。
 裁判後、弁護士会館で総括会議が開かれた。武内弁護士が「法廷は全社会。裁くのは全人民」という自身のスローガンを紹介し、裁判闘争と大衆運動を両輪で進めることを訴え、藤田城治弁護士が「今後も声を上げ続けることが大事」と述べた。
 原告の仲卸・宮原洋志さんは「今からが正念場。今後も長続きするように闘っていく。これだけ証拠がそろっているのに裁判所が見ようともしないのは本当に理不尽なこと」と怒りを表明した。さらに、「建物の縦揺れがひどい。このままではいけない」と豊洲で闘い続ける意思を示した(写真)。運動を広げるために何ができるかなど、活発な討論が行われた。

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