3・11反原発福島行動へ 福島からの訴え① 「復興五輪」許さない

週刊『前進』02頁(3109号02面01)(2020/02/20)


3・11反原発福島行動へ
 福島からの訴え①
 「復興五輪」許さない

 3・11反原発福島行動20が郡山市で行われます。「復興五輪」を掲げる安倍政権の攻撃を打ち砕き、福島から被曝と戦争(核戦争)・改憲を阻む闘いを巻き起こしましょう。福島からの訴えを3回にわたり掲載します。(編集局)

この国変えるきっかけに
 ふくしま共同診療所院長 布施幸彦さん

 今年は世界史の転換点になりそうな出来事で幕を開けました。1月3日、アメリカがイラン革命防衛隊の司令官を殺害。報復として8日にイランがイラクの米軍基地2カ所に弾道ミサイルを撃ち込みました。
 日本では、安倍首相が年頭所感で「憲法改正」に強い意欲を表明し、中東へ自衛隊を派遣し、戦争の火中に飛び込もうとしています。それだけでなく7月24日に「復興オリンピック」が開幕します。これは全世界に向けた「福島原発事故収束宣言」です。その象徴が、3月14日の常磐線全面開通、聖火リレーのJヴィレッジからの出発、あづま球場で行われる野球とソフトボールの試合です。

3人の医師が登壇

 復興五輪を絶対認めるわけにはいきません。だから今年の3・11反原発福島行動のテーマは「原発事故は終わっていない オリンピックやってる場合か 子どもたちの命と未来を守ろう」です。
 今回は今までとはかなり違う集会となります。世界が変わろうとしているのですから、それに応える3・11にしなければなりません。発言や決意表明を減らし、二つのディスカッションを中心に行います。
 一つは、東京オリンピックに反対して海外から駆けつけてくださる医師、福島原発事故による健康被害を告発している県内の医師、そして私とでパネルディスカッションを行います。放射能汚染による小児甲状腺がんを始めとする健康被害や福島原発事故収束宣言を狙う東京オリンピックなどについて意見を交わします。「被曝・医療 福島シンポジウム」に続き、医師の国際連帯も徐々に広がっています。海外だけでなく日本の医療界でも被曝による健康被害を告発する声が高まっています。長らく沈黙してきた東京保険医協会が「診療研究552号」で「福島原発事故 その後」という特集を組み、小児甲状腺がん問題を取り上げています。
 全国・全世界の医師が被曝と向き合い反原発で声を上げる時代が来ようとしています。

沖縄と福島を結び

 もう一つは、沖縄県宜野湾市の緑ケ丘保育園の屋根に米軍機の部品が落下した事件に関し、子どもの命と安全な空を求めて署名活動や防衛省への申し入れを行っている「チーム緑ケ丘1207」のお母さん方の発言です。沖縄は辺野古基地建設阻止・普天間基地即時撤去で国と真っ向から闘っています。福島のお母さんたちも子どもを守るために文科省交渉を行い、国・東電と闘いました。そして今も県内外に4万人以上が避難という闘いを継続しています。闘う沖縄と福島のお母さんたちの3・11での邂逅(かいこう)がこの国を変えるきっかけとなります。
 今年の3・11から、大衆的な新しい運動を創っていきましょう。そして東京電力と安倍政権に原発事故の全責任を取らせ、安倍政権を倒しましょう。

福島から被曝拒否の声を
 福島診療所建設委員会代表 佐藤幸子さん

 東日本大震災・福島第一原発事故直後、私たちが放射能の危険性について話した時には、「危険をあおるな!」とバッシングを受けました。今回の新型コロナウイルスに対しては、ありがたいことに、政府も県も市町村も、そしてマスコミもこぞって危険性をあおってくれ、店頭からマスクが消えました。

「検査縮小」に反対

 原発事故直後、長崎大学の山下俊一教授は「100㍉シーベルト浴びても大丈夫。ニコニコしている人には放射能は来ません」と講演し、広島大学の神谷研二教授は記者会見で「屋内退避以外の場所ではマスクはいらない。子どもは外で遊ばせていい」と話し、安全キャンペーンを展開しました。
 元々の免疫力の低い人は、被曝による発病の確率が高くなることを考えれば、感染症と同じように「予防」として「被曝しないこと」が重要です。特に、放射能の感受性が高いと言われる子どもや持病のある人は原発爆発直後の避難は必須でした。
 「復興五輪」の名の下に、常磐線の全面開通、住宅支援打ち切り、避難者ゼロにして原発事故を無かったことにしようとしていますが、避難解除され、18年4月に学校が再開した川俣町の山木屋小学校はわずか1年で休校になりました。中学校も21年度は休校となります。故郷に帰っているのは高齢者がほとんどですから当然の結果です。
 甲状腺検査を縮小しようとしていますが、国はその他のがんは早期発見のために検診を呼び掛けています。矛盾だらけです。180人以上の小児甲状腺がんの手術の執刀をした福島医大の鈴木眞一教授が「過剰診断ではない。必要な手術だった」と言っているにもかかわらず、福島県の評価部会は昨年6月3日、「現時点で、発見されたがんと被曝の関連は認められない」と見解をまとめました。鈴木教授は、昨年10月11日開催の「第62回日本甲状腺学会学術集会」で「予後がいい」はずのがんなのに、45・7%の患者が甲状腺機能低下状態にあり、再発割合は7・3%であったことも発表しています。

子ども犠牲許さぬ

 新型コロナウイルスや、この冬、死者1万人以上とも言われてアメリカで猛威を振るっているインフルエンザは、感染から発病までの期間が数日で、検査ですぐに原因が突き止められます。それらと違って、被曝の場合は急性症状でない限り、数年後、数十年後に発病してもその原因を放射能と断定しにくく、本当に厄介な代物です。
 2月12日夜、福島県沖を震源とした地震があり、震度4でした。原発は大丈夫か? 地震のたびに肝を冷やします。子どもたちを犠牲にしながらの復興などいりません。
 二度と被曝させないために、報道に惑わされず、自分の感性を研ぎ澄まし、今年も福島の地で被曝拒否、再稼働反対の怒りの声を上げましょう。

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原発事故は終わっていない
オリンピックやってる場合か
子どもたちの命と未来を守ろう
3・11反原発福島行動20
 3月11日(水)午後1時開会(正午開場)
 けんしん郡山文化センター大ホール (郡山市堤下町1―2)
 ※集会終了後、郡山駅前までデモ行進
 主催 3・11反原発福島行動実行委員会

ビキニ事件から66年
避難できない 東海第二再稼働するな
3・1反原発ミーティング
 3月1日(日)午後2時/西荻南区民集会所 (杉並区西荻南3―5―23)
 主催 NAZEN東京

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