パレスチナ トランプ「和平案」に怒り 土地強奪=入植を合法化

週刊『前進』02頁(3105号02面02)(2020/02/06)


パレスチナ
 トランプ「和平案」に怒り
 土地強奪=入植を合法化




(写真 米帝トランプの「中東和平案」に抗議し、デモで怒りを爆発させるパレスチナの人々【1月28日 ガザ】)

 1月28日、米大統領トランプが「中東和平案」なるものを発表した。パレスチナ人の土地と水を強奪し、それに反対する者を暴力的に弾圧して追放するという許しがたいものだ。
 この「和平案」は第一に、イスラエルとパレスチナの国境線をイスラエルにとって圧倒的に有利な形で引き直すとしている。国際法に違反して建設されたユダヤ人入植地やヨルダン渓谷の大部分がイスラエルの領土に組み込まれるのだ。ユダヤ人入植地は現在245カ所もあり、西岸の面積の1割を占める。入植地が合法化されれば入植地建設は爆発的に増大し、さらに広大な土地がイスラエルに併合される。
 トランプはこの案でパレスチナ国家の樹立と2国家併存を認めるかのような姿勢を示している。だが、パレスチナ国家の領土である西岸地区の土地がイスラエルに併合されるなら、パレスチナ国家樹立など空論となる。
 「和平案」は第二に、東エルサレムを含めたエルサレム全域をイスラエルの不可分な首都と定義し、東エルサレムのごく一部をパレスチナ国家の首都として認めるとした。
 だが、パレスチナ国家の樹立は、「パレスチナ人民が治安上の脅威をイスラエルに与えない」ことを条件としている。
 これが意味するのは、東エルサレムをイスラエルの首都とすることや西岸でのユダヤ人入植地のイスラエルへの併合に反対しているパレスチナ人民が闘いを一切やめなければ、パレスチナ国家の樹立を認めないということだ。
 なお、この案では、重要な懸案事項であった難民の帰還権と難民への補償問題については一言も言及されていない。

イスラエルに有利な案示し再選狙う

 米帝はこの「和平案」をパレスチナ人民に押し付けるために実に卑劣な計画を立てている。米帝は案を経済面と政治面に分けているのだ。
 1月22日に発表された米帝の「パレスチナ支援計画」なるものは、パレスチナ支援国際会議で中東産油国などから集める予定の総額600億㌦(約7兆円)という巨額の支援金を、パレスチナ自治政府やパレスチナ難民を多数抱えるエジプトやヨルダンの支配層に供与するという計画だ。
 トランプはこの経済分野の支援というアメを先に提示してパレスチナ自治政府やエジプト、ヨルダンの支配層を揺さぶり、買収しようとしている。その後に3月のイスラエル総選挙でイスラエルに有利な「和平案」をトランプと交渉して獲得したネタニヤフを当選させた上で政権を安定させ、政治分野での交渉を開始しようと計画している。
 トランプが政治交渉を開始する以前の段階で早めにイスラエルに有利な案を提示したのはなぜか。それは、今年11月の大統領選挙でトランプが自分の支持基盤であるキリスト教福音派からの支持を得て再選されることを狙っているからだ。
 イスラエルを強力に支援している米国内のキリスト教福音派は8千万人いるが、そのうち5千万人近くがトランプの支持基盤となっている。トランプは、イスラエルに有利な「和平案」の内容が周知されれば大統領選で勝てると期待しているのだ。

パレスチナ人民が新たな闘いを開始

 トランプの、ヨルダン川西岸地区をイスラエルに全面的に併合する超反動的な「和平案」に対し、パレスチナ人民は直ちに反撃した。西岸地区とガザ地区では1月28日、パレスチナ人民数千人が断固たる抗議行動を行い、このような「和平」提案を絶対に拒否する決意を固めている。パレスチナ人民の新たな闘いの爆発は不可避であり、それに対するアラブ諸国人民のパレスチナ人民との連帯闘争も激化する。
 パレスチナ人民と連帯し、米帝の新たなパレスチナ・中東侵略戦争を阻止しよう。

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