2・1~2横須賀 自衛隊は中東へ行くな! 護衛艦「たかなみ」に肉薄 戦争阻む闘いはこれから

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週刊『前進』02頁(3105号01面01)(2020/02/06)


2・1~2横須賀
 自衛隊は中東へ行くな!
 護衛艦「たかなみ」に肉薄
 戦争阻む闘いはこれから

(写真 出港する護衛艦「たかなみ」に小型船が迫り海上抗議行動。)

(写真 陸上からも甲板に並ぶ自衛官に向かって「ともに戦争をとめよう」と訴えた【2月2日 横須賀市】)

(写真 「中東派兵反対」「出兵を拒否しよう」のボードを掲げ、改憲・戦争阻止!大行進神奈川の呼びかけで横須賀市内をデモ【1日午後】)



(写真 神奈川平和運動センターと三浦半島地区労センターが主催し海自横須賀総監部に向けて派兵中止を訴えた【1日午前】)


 2月2日、海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」の中東海域への派兵が強行され、同艦の母港がある横須賀ではその前日から2日間にわたって抗議行動が闘われた。隊員の家族が「行かないで!」と悲痛な声で訴える中、「自衛官も一緒に声を上げ、戦争をとめよう」と呼びかける行動が陸上と海上から同時に行われた。
 1日午前11時、海自横須賀基地に隣接するヴェルニー公園で、神奈川平和運動センターと三浦半島地区労センターの主催で「海自護衛艦『たかなみ』の中東派遣の中止を求める緊急行動」が行われた。改憲・戦争阻止!大行進の仲間も神奈川や関東各地から集まり、350人が海自横須賀総監部に向けて派兵中止を訴えた。ヨコスカ平和船団は2隻の小型船を出して海上抗議行動を行い、「中東派遣反対!」「中東へ行かないで!」と横断幕を掲げて「たかなみ」が停泊する基地に迫った。
 続いて午後0時30分から、改憲・戦争阻止!大行進神奈川が呼びかける横須賀市内デモが行われた。120人が「中東派兵反対」のボードを手に国道16号線を進み、米軍横須賀基地のゲート前を通って京急横須賀中央駅前まで行進した。デモコースは自衛隊員の家族や関係者もよく利用する道であり、沿道にはスマートフォンでデモを撮影する人や手を振って応える人も多かった。
 デモを主催した大行進神奈川の船木明貴さん(元中学校教員、横須賀市在住)は、「自衛官の夫が『たかなみ』に乗るという女性と話しました。子どもが生まれて間もないのに不安でたまらないと言っています。その切実な思いを共有して、自衛隊派兵絶対反対の声と運動を大きく広げたい」と決意を語った。
 翌2日も神奈川平和運動センターと三浦半島地区労センターの主催で集会が行われ、ヴェルニー公園に230人が集まった。安倍と防衛相・河野太郎が「たかなみ」艦上での出港式に姿を現す中、「派兵反対!」「憲法守れ!」のコールが海に響いた。ヨコスカ平和船団の小型船は出港する「たかなみ」に肉薄して抗議の声を上げた。海上行動の参加者は「出港してしまったが闘いはこれから。今後も海上行動を続けていく」と語った。

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〈解説〉派兵の拡大は不可避だ
ホルムズ海峡への投入も示唆

 今回の自衛隊派兵は、これまでの派兵とは次元の異なる、極めて重大な安保政策上の踏み込みにほかならない。政府は、防衛省設置法の「調査・研究」を拡大解釈して法的根拠とし、国会にもかけず閣議決定だけで今回の派兵を強行した上、状況次第でいつでも自衛隊法に基づく「海上警備行動」へと切り替えることを明言している。
 だが、ここで重要なことは、実際に起こりうる自衛隊の活動のエスカレーションは海上警備行動だけにとどまらないということだ。15年成立の安保戦争法に基づき、①「日本の安全保障に重要な影響を与える重要影響事態」、②「国際社会の平和と安全を脅かす国際共同対処事態」、③「日本の存立を脅かす存立危機事態」のどれかが認定された時点で、自衛隊の任務は一変する。防衛相・河野は1月17日の国会で「状況が大きく変われば国家安全保障会議(NSC)で検討する」と答弁しているが、①〜③の事態認定を行うのはこのNSCである。
 ①、②の場合は米軍などの他国軍との共同作戦に自衛隊が武器をとって加わり、主に兵員や物資の輸送など後方支援活動を行う。さらに③の場合は、集団的自衛権行使も含む一切の武力行使が可能となり、ミサイルを搭載した戦闘機や護衛艦など自衛隊が保有する一切の攻撃手段を投入して「国またはそれに準ずる組織」との戦争を始めることになる。①〜③のいずれの場合も本国からの部隊の大量増派が必須となる。
 もちろん国際関係や国内の階級的力関係からして、日本政府が一気に戦争突入を決断するのはけっして容易ではない。だが今回の派兵が後戻りのできない戦争への第一歩となる可能性は極めて高く、むしろ安倍政権はそれすらも利用して改憲への機運を一気につくりだそうとしているのだ。

UAE、オマーンに海自の補給拠点

 安倍は1月13日、アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド皇太子と会談し、UAE東部フジャイラ港を海自部隊の補給拠点とする方向で調整した。オマーンにも補給拠点をつくり、これらの拠点から燃料や食料の補給を行う予定だ。いずれも最も軍事的に緊迫するホルムズ海峡に近い。昨年12月の閣議決定では、自衛隊の活動範囲は「オマーン湾、アラビア海北部、アデン湾」の3海域の公海とされたが、17日の国会答弁では、海上警備行動が発令されれば「ホルムズ海峡での活動も排除しない」(河野防衛相)としている。
 安倍政権は、自衛隊をあえて危険な海域に突っ込ませることも狙いながら、「調査・研究」と称する派兵を強行しているのだ。部隊の交代は4カ月ごととされている。派兵反対の闘いはこれからだ。自衛隊即時撤退・安倍政権打倒へ全国で闘いを広げよう。

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