収容と送還をやめろ 2・11東京入管包囲デモへ 団結した労働者の力示そう

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週刊『前進』04頁(3104号04面01)(2020/02/03)


収容と送還をやめろ
 2・11東京入管包囲デモへ
 団結した労働者の力示そう

(写真 昨年の6・20東京入管包囲デモ)

入管が外国人虐待

 11・3労働者集会で「トルコのエルドアン大統領は『クルド人はテロリスト』と言っているが、私たちはテロリストではない。私たちはここ(日本)で生きたい」と訴えたクルド出身のデニズさん。彼は11月7日、仮放免が延長されず、茨城県牛久市にある東日本入国管理センター(牛久入管)に連れ戻されてしまった。その日から職員に対する抗弁を理由にデニズさんは5日間の懲罰房入りとなり、再び抗議のハンストに入った。現在、3度目の仮放免を待っている。
 そのデニズさんが国に損害賠償を求めた民事裁判が、12月19日に東京地裁で開かれた。そこに被告・国側が証拠として提出した記録映像には、牛久入管で多数の職員がデニズさんを集団暴行する衝撃のシーンが約1時間にわたって映し出されていた。
 半裸のデニズさんを多数の職員が押さえ込む。「腕、痛い!」「首、痛い!」と絶叫するデニズさん。職員は「痛いか? 痛いかー!」とデニズさんを締め上げ、「制圧!制圧!」「わっぱ(手錠)、わっぱかけろ!」と、デニズさんに後ろ手錠をかける。
 発端は、昨年1月19日深夜、デニズさんが要求した向精神薬を職員が拒否したことだった。抗議するデニズさんに集団暴行が加えられ、デニズさんは5日間、懲罰房に閉じ込められた。
 テレビニュースでも、この映像が報道された。「ひどい!」「こんなことが入管収容所で起きているのか」----映像を見た人々に衝撃が走った。
 しかし、この映像を「抵抗する外国人に対する正当な行為だ」と証拠として出したのは入管当局だ。この恐るべき人権感覚!

無期限の長期収容

 昨年6月末、全国の入管収容施設の被収容者は1246人、うち6カ月以上の長期収容が681人(約54%)に上った。特に牛久入管では被収容者325人のうち6カ月以上が306人(約94%)、2年以上114人、3年以上が13人。長崎県の大村入国管理センターでも被収容者100人中、6カ月以上が94人(94%)、3年以上も12人だった。東京オリンピックに向け、「我が国社会に不安を与える外国人の大幅縮減」を掲げ、仮放免の許可を抑制したためだ。
 牛久入管で5月、抗議のハンガーストライキが始まった。入管当局は、ハンストで体重が激減したり体調不良に陥った被収容者に対し、ハンストを中断すれば仮放免を許可するという方針を打ち出す。しかし、仮放免期間を「2週間」とし、更新を認めず再収容するというものだった。
 期限のない長期収容が、どれほど被収容者の心身をむしばんでいることか。その地獄から解放されたのもつかの間、また地獄に帰れというのだ。こんな残酷な仕打ちがあるだろうか。恐怖のあまり出頭できずに逃げ出す仮放免者が続出しているが、これこそ入管の政策の結果だ。一切の責任は入管当局にある。
 このさなか、6月24日に大村入管でハンストを行ったナイジェリア人男性が亡くなるという事件が起きた。彼も3年を超える長期収容に苦しんでいた。

刑事罰の強化狙う

 昨年末、保釈中だったゴーン被告の国外逃亡によって面目をつぶされた安倍政権・法務省は、保釈の厳格化を叫び、あろうことか保釈中の被告にGPS(全地球測位システム)の発信機を装着させようと検討を始めている(1月16日付産経新聞)。
 このGPS装着による電子監視を、入管収容施設から仮放免となった外国人にも行おうかという論議が行われている。これも法務大臣の私的懇談会である「出入国管理政策懇談会」のもとに設置された「収容・送還に関する専門部会」でのことだ。
 昨年10月1日、法務省は「大村入国管理センター被収容者死亡事案に関する調査報告書」で死亡した被収容者の死因を「飢餓死」と発表。同時に報告書「送還忌避者の実態について」を発表した。そこで長期収容の要因として、退去強制令書が発付されても送還を拒む外国人がいることをあげ、さらに、送還忌避者が難民認定制度を乱用していると断定している。
 この報告書を踏まえ、専門部会では、送還忌避者や難民申請を繰り返す者、逃亡した仮放免者などに刑事罰を科すことが議論されている。3月に意見書をまとめ提言を行うというが、刑事罰を盛り込むための入管法改悪を狙っていることは明らかだ。
 在日外国人の人権を踏みにじり、何がオリンピックか! 入管法改悪を許さず、今こそ入管収容所を解体しよう。3団体が呼びかける2・11東京入管包囲デモで東京入管に怒りの声をぶつけ、収容されている外国人労働者を激励しよう!

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