伊方原発 あわや大惨事 3号機も即時廃炉しかない
伊方原発 あわや大惨事
3号機も即時廃炉しかない
四国電力伊方原発(愛媛県)で1月25日、発電所内に電気を送る4つの送電線からの電気供給がストップし、1、2、3号機ある全原子炉への送電がすべて止まる大事故が発生した。
事故は午後3時44分、3号機の定期検査中に起こった。四国電によると、停電は電気を供給する送電線の部品の取り換え作業中に発生した。四国電はその状況を「本日15時44分、保護装置の動作により18万7千㌾送電線4回線からの受電が停止」と極めて緊迫した事態だったと発表している。
その後、廃炉が決まっている1、2号機は別の電源から受電し、3号機は非常用ディーゼル発電機が起動した。だが復旧には約十秒もの時間を要し、四国電自身が「ほぼすべての電源が一時的に喪失した」「外部からの電力供給が途絶えたもので、重大なものと認識している」と認めざるをえないほどの大事故だった。
原発の核燃料は、運転を停止しても膨大な熱を発する。だから、注水し続けて冷やさなければ核燃料が熱で溶けだし、大事故となる。11年の福島原発事故は地震と津波ですべての外部電源を失い、非常用の発電機まで使用不能となり、ポンプを稼働できずに核燃料を冷却することが不可能となり大核惨事に至った。
今回、伊方原発の1号機は廃炉で燃料が搬出済みだったとはいえ、事故はひとつ間違えば2、3号機の核燃料の冷却が不能化し溶け出して大破局に至るという震えあがるような事態だった。「別の電源」や「非常用ディーゼル発電機」が作動したから大丈夫だったなどということでは断じてない。問題は逆だ。この二つも稼働しなければ大惨事につながっていたのだ。四国西部と瀬戸内海、中国地方や九州まで放射能に汚染されて、柑橘類生産量全国一を誇る愛媛県などの農業や、豊かな漁獲量の漁業も破壊され、何万何十万もの人が避難せざるをえないかもしれなかったのだ。とくに荒天であれば、原発の立地する伊方町の人口約1万1千人のうち、佐田岬側に住む約5千人といわれる住人は孤立するような事態が現出していたのだ。
伊方原発はこういった重大事故が連続しており、今年1月12日には3号機で制御棒1体を誤って引き抜く事故が起こった。
山口県の住民が伊方原発3号機の運転差し止めを求めた仮処分申請の即時抗告審で、広島高裁は運転を認めなかった。当然の決定だ。伊方原発3号機の稼働など絶対に認めることはできない。伊方3号機をこのまま廃炉に追い込もう。