スト復権の20春闘へ 雇用破壊を狙う経団連 「働き方改革」うち砕こう
週刊『前進』02頁(3101号02面01)(2020/01/23)
スト復権の20春闘へ
雇用破壊を狙う経団連
「働き方改革」うち砕こう
経団連会長の中西宏明は年頭記者会見で次のように発言した。「新卒一括採用、終身雇用、年功序列型賃金が特徴の日本型雇用は矛盾を抱え始めた。雇用制度全般の見直しを含めた取り組みが重要だ」。今や、「働き方改革のフェーズⅡに進む」が、経団連など資本家階級の合言葉になっている。20春闘はこれとの全面対決となる。
正社員なくす攻撃
安倍政権は18年夏、労働基準法制定以来「70年ぶりの大改革」と叫んで、「働き方改革関連法」を成立させた。経団連が狙っていることは、改悪された法制の中身を職場で現実のものにするというだけにとどまらない。資本は、正社員をなくし、労働者をすべて非正規職にすることに、本格的に手を着けようとしているのだ。「働き方改革」法案がまとめられるのに先立って、規制改革会議や産業競争力会議でなされた議論が、資本の本音を示している。そこでは、非正規職の労働者が解雇されることが問題なのではなく、正社員が保護されすぎていることが問題だとして、「正社員改革が第一の課題」とされた。
なされた発言は、具体的には次のようなものだ。
「労働契約法16条は解雇を規制していない。『客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない』解雇を権利濫用(らんよう)として無効としているだけ。解雇できるのが原則」(労働政策研究・研修機構/濱口圭一郎)。「規制で守られるものは、すでに雇用保障の対象となっている労働者だけであり、それ以外の労働者の雇用機会を損ない、失業リスクを高める場合が多い」「『同一労働・同一賃金』の原則を適用するためには、それに反する場合の多い年功賃金の見直しが避けられない」(国際基督教大学客員教授/八代尚宏)
「人事評価でベア」
経団連を先頭とする資本家階級は、抜本的な雇用破壊を押し貫く場として、20春闘に臨もうとしている。連合幹部もこれに呼応し、一層の屈服と裏切りに走っている。その先頭に立っているのが、賃金相場に強い影響力を持つトヨタ労組だ。
トヨタ労組は昨年末、「各組合員の人事評価に応じてベースアップの額に差がつく制度を提案する」という方針を決めた。「人事評価が低い労働者は、ベアがゼロになる可能性もある」と同労組は公言する。
終身雇用と年功賃金の最終的な解体に、労組の側から踏み込んだのだ。
昨春闘でトヨタは、社長の豊田章男自身が労資交渉に乗り込んで、「当社が厳しい競争環境にあるという危機感が社内で共有されていない」と労組を恫喝(どうかつ)した。そして、トヨタの昨春闘は、労資双方がベアの妥結額を公表しないとする異例の展開になった。その後も豊田章男は「終身雇用を続けるのは難しい」などの発言を繰り返し、人事・賃金制度の改悪をめぐる交渉に労組を引き込んだ。
そうした経過の上に出された「人事評価でベア額を決める」というトヨタ労組の提案は、労資交渉で賃金水準を決めるというあり方を根本的に否定するものだ。春闘と労働組合自体が存続の瀬戸際にある。
安倍政権と資本は、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への弾圧を仕掛け、JRを先頭に「労働組合のない社会」をつくる攻撃を強めている。
関生支部にこたえ
関西生コン支部は弾圧と必死に闘いつつ、「各職場でストライキに立つことが関生支部への最大の支援」と訴えている。連合幹部の裏切りが深々と進行する一方で、佐野サービスエリアのストライキが示したように、今まで労働組合活動の経験が全くなかった労働者が、あまりにひどい職場の現実に対しやむにやまれず立ち上がり、直ちにストライキに入っていく情勢も存在する。
あらゆる怒りを束ね、労働組合の存立をかけて20春闘に立とう。