市東さんの農地奪うな 請求異議控訴審 NAAを徹底追及

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週刊『前進』02頁(3101号01面02)(2020/01/23)


市東さんの農地奪うな
 請求異議控訴審
 NAAを徹底追及

(写真 三里塚反対同盟先頭に霞が関をデモ 請求異議控訴審第2回の開廷に先立ち、「農地死守」を訴え日比谷公園からデモに出発【1月16日】)

(写真 閉廷後の裁判報告集会)


 1月16日、東京高裁第4民事部(菅野雅之裁判長)で、市東孝雄さんの請求異議控訴審の第2回が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民125人は、「農地死守」の決意で一丸となり闘った。
 開廷に先立つ午前11時30分、日比谷公園霞門前に集合し、太郎良陽一さんの司会でデモ前の打ち合わせを行った。反対同盟事務局を代表して東峰の萩原富夫さんが決意を表した。「国とNAA(成田空港会社)は耕作者の権利を無視して土地を取り上げようとしている。こんなことがまかり通れば農民は生きていけない。『強制的手段は二度と用いない』と口にしたNAAが自らそれを踏み破ることを許さない」
 さらに動労千葉の中村仁さんなどから連帯発言を受け、力強くシュプレヒコールを上げ、「市東さんの農地を守ろう/第3滑走路計画粉砕」の横断幕を高く掲げデモに出発。「農地強奪やめろ」「早期結審策動を許さない」のコールを霞が関一帯に響かせて裁判所に迫った。

強制執行許さない

 午後2時、102号法廷を100人近い傍聴者で埋めて開廷。最初に補佐人として専修大学法学部の内藤光博教授(憲法学)が陳述に立った。「千葉地裁による原判決は、市東さんに対し農民としての死を宣告するものであり、重大な誤り。民事訴訟を使った公用収用の代替行為は許されない。農業による食糧供給は人々の平和と幸福、生存権の基盤であり、憲法的意義がある」と訴えた。
 続いて弁護団が総力でNAA追及に立った。
 NAAが出してきた1月10日付「準備書面1」は怒りなしには読めないものだ。かつて空港公団(NAAの前身)が「B滑走路の用地取得において、あらゆる意味で二度と強制的手段を用いない」と社会的に公約したことについて、「話し合いが頓挫した場合にまで言及したものではない」「民事訴訟で土地明け渡し強制執行を求めることを放棄すると約束したわけではない」「1億8千万円の離作補償をくれてやるのだから問題ない」----こうした臆面もない居直りの主張を繰り返している。
 「話し合いが頓挫」うんぬんは、農地法裁判一審判決で千葉地裁・多見谷裁判長が勝手にひねり出した理屈だ。NAAはそれをありがたがって何度も援用し、強制執行の根拠にしようとしている。だが「あらゆる意味で」と表明した以上、後になってから「民事訴訟は別」という珍解釈が入り込む余地はない。NAAの対応は常識に反しており、極めて不誠実だ。
 「用地買収」は耕作者である市東家に無断で行われた。実際には転用計画がないのに「車両・コンテナ置き場にする」と後付けで偽りの申請をした。公団は東京に本社があり、「不在地主」だった。こうした違法の数々を重ねたNAAが「地主」として土地明け渡しを求める権利はない。
 そして、金をやれば問題ないという暴言! 実際には離作補償として算出された1億8千万円は「完全な補償」とは程遠い。民事訴訟の体をとっていても、実質上は国策による強制収用であり、「完全な補償」なしに私有財産を没収することは、憲法第29条(財産権)違反だ。市東さんの営農権をふみにじり、「農業をやめてこの金を残りの人生にあてろ」というものだ。絶対に認められない!
 弁護団はさらに、今回の最重要焦点である、「強制的手段をとらないといっても、民事訴訟に基づく強制執行は別」というNAAがひねり出した理屈を追及した。だがその点についてNAAはこれ以上「主張立証するつもりはない」と無責任にも言い放った。
 「NAAに立証責任があることを通告し、釈明に応じるよう促せ」という弁護団の要求に対し、菅野裁判長は、「裁判所が適切に判断する」と露骨にNAAをかばい立てする姿勢を表した。法廷は傍聴者からの怒りの声で満たされた。
 最後に裁判長は今後の進行について、「人証調べについては、市東さん本人と平野靖識さんの2人を採用、その他6人は採用せず。補佐人の石原健二氏を加え、3月25日に行う。最終陳述のためにもう1開廷必要との控訴人の求めがあり、3月27日に臨時開廷を予定する」と一方的に述べ立て、怒号の中で閉廷を宣した。

3・29全国集会へ

 弁護士会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。最初に市東さんがあいさつに立ち、「NAAの不誠実な態度を弾劾し、裁判所を揺るがす闘いをやりましょう」と訴え、大きな拍手を浴びた。
 さらに、葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団全員が発言し、裁判長の訴訟指揮とNAA代理人の居直りを鋭く批判した。裁判長の「年度内結審」策動を打ち砕き、重要局面を迎えている他の三里塚裁判についても一つもおろそかにせず闘うことを確認し合った。
 最後に萩原富夫さんが、「われわれの奮闘が敵を追いつめている。連続して裁判が続くが全力で闘おう。3・29全国集会に大結集しよう」と呼びかけて、一日の激闘を締めくくった。

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