IRで腐敗きわめる安倍 国会議員5人が賄賂受け取る 「カジノ事業」の何が成長戦略だ

週刊『前進』02頁(3099号02面03)(2020/01/16)


IRで腐敗きわめる安倍
 国会議員5人が賄賂受け取る
 「カジノ事業」の何が成長戦略だ


 安倍政権が「成長戦略のかなめ」として推進する統合型リゾート(IR)事業をめぐって、すさまじい腐敗が明るみになっている。昨年10月までIR担当の内閣府副大臣を務めた自民党の衆院議員・秋元司が、中国のカジノ企業「500ドットコム」から370万円相当の賄賂を受け取っていたとして、12月25日に東京地検に逮捕された。さらに国会議員5人も同社からそれぞれ100万円前後の賄賂を受け取っていた。5人は、岩屋毅・元防衛相ら自民党議員4人と、下地幹郎(日本維新の会=当時)である。自民4議員は「受け取っていない」としらを切っているが、5人は全員、カジノ実現をめざす「国際観光産業振興議員連盟」の幹部(幹事長、副会長、事務局次長)か、または500ドットコムがIR参入をめざす北海道・九州・沖縄選出の議員である。
 賄賂を受けた議員は即刻監獄にぶち込むべきだが、現在までのところ、秋元1人が逮捕されただけだ。多数の自民党現職議員が賄賂を受け取っていたのに、首相であり党総裁である安倍は、この問題について責任を明らかにせず、居直っている。絶対に許せない。

安倍の意を受け法案を強行採決

 IR事業とは、これまで刑法で禁止されてきた賭博を、一定の条件下で合法化し、官許のカジノ(賭博場。ルーレットなどのゲームで金銭を賭ける場所)を全国に建設する事業である。これまで例外的に競馬、競輪、競艇などが公営ギャンブルとして認められてきたが、安倍政権が初めて民間賭博を解禁した。
 2014年5月に安倍がシンガポールのカジノを視察し、「カジノを日本の成長戦略の目玉に」と発言、これ以降カジノ解禁の動きを加速させた。安倍政権は16年12月、多くの人びとが反対の声を上げる中、わずか5時間半で審議を打ち切ってカジノ解禁法案を強行採決した。この時の衆院内閣委の委員長は秋元だった。この頃、安倍は数回、秋元と会談・会食している。問答無用の強行採決は、安倍の意向であったろう。
 同法が成立すると内閣府に担当の大臣・副大臣を置き、17年3月に内閣官房にIR推進室を発足させた。そして18年7月にIR実施法を成立させた。秋元は17年8月から昨年10月までIR担当の内閣府副大臣を務め、この期間に中国企業から賄賂を受け取っていた。他の5議員も17年9〜10月に賄賂を受けていた。

最大で3自治体での設置を計画

 ところで、まるでこの汚職事件を開き直るように安倍政権は今月7日、IR事業者を規制・監督する「カジノ管理委員会」を発足させた。計画では、この委員会が候補地の中からIR設置場所を選定し、20年代半ばに全国最大3カ所でIRを開業する計画である。
 誘致を目指す自治体はIR事業者とともに整備計画を策定し、国に認定を申請する(21年1〜7月)。このため大手カジノ資本は今、誘致を目指す自治体への食い込みを狙って、すさまじい暗闘を繰り広げている。米トランプ政権は、大手カジノ企業でありトランプの有力なスポンサーである「ラスベガス・サンズ」の日本市場への参入を安倍政権に強く働きかけている。今回の汚職事件は、札束が飛び交う国際的なカジノ資本の暗闘の一端を明るみに出した。これはほんの氷山の一角だ。
 自民党の二階俊博幹事長は、秋元が逮捕されても「安倍政権そのものが関与したわけではない」と強弁している。安倍は、相変わらずカジノ建設を「成長戦略」の中心に据えている。なんと腐りきった政権か!
 政府は、金持ちと大資本の金もうけのために労働者人民からかすめ取るIR事業の推進をやめろ! 汚職の温床、IR事業を即刻中止せよ! 横浜市、大阪府・市など自治体はIR誘致をやめろ! 改憲と戦争、金権腐敗の安倍政権を打倒しよう。

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▼IR 統合型リゾート。カジノのほかホテルや劇場、国際会議場、展示会場、ショッピングモールなどが集まる複合的施設。

【関連年表】
2010年 「国際観光産業振興議員連盟」発足
2014年 安倍がシンガポールのカジノ視察
2016年 カジノ解禁法案を強行採決
2017年 内閣官房にIR推進室
    秋元と岩屋・下地ら5議員が中国のカジノ企業から賄賂を受け取る
2018年 IR実施法成立

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