革共同政治局の2020年1・1アピール 改憲阻止・日帝打倒へ

週刊『前進』08頁(3097号05面01)(2020/01/01)


革共同政治局の2020年1・1アピール
 改憲阻止・日帝打倒へ


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全世界で決起する労働者と連帯し、腐敗と戦争の安倍政権を倒そう!
関生弾圧粉砕・国鉄決戦勝利を

(写真 東京・日比谷野音で開催された11・3労働者集会の開会時、全国の労組や団体が旗を掲げて登壇)

(写真 星野文昭さんの命を奪った法務省を弾劾するとともに星野精神継承を誓った7月5日のデモ)

はじめに

 激動の2020年が幕を開けた。「激動の時代」とは、労働者階級人民が団結して立ち上がれば、自分たちの意思と行動によって歴史を動かし、世界を変革することができる――そのような胸躍る好機の到来を意味している。すでに多くの人々がそうした時代を感じとり、青年世代を先頭に世界各地で巨万のストライキや実力闘争が激しく、生き生きと自己解放的に闘われている。
 米欧日などの資本主義・帝国主義諸国、そしてその延命を支えてきた旧スターリン主義・ロシアや残存スターリン主義・中国などの諸国は、いずれも歴史的命脈が尽き果て、世界中に貧困を蔓延(まんえん)させながら、核戦争・世界戦争の破局へと全人類を引きずり込もうとしている。だが、労働者階級はこうした支配階級や権力者の暴虐に翻弄(ほんろう)されるだけの存在ではないということは、この間の国際階級闘争の大高揚が証明している。
 昨年、第26回全国委員会総会(26全総)を経て党の根底的再生と変革の闘いを開始したわが革命的共産主義者同盟は、2020年の劈頭(へきとう)に立って、歴史が要請する党の飛躍をなんとしても成し遂げ、日本と世界の労働者階級人民とともに反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命を実現することを決意し、激動の時代に生きる喜びと革命の未来への確信をもって、この1・1アピールを発する。
 とりわけ強く訴えたいことは、改憲阻止決戦の歴史的な重大さとその勝利の展望である。革共同は「改憲阻止・日帝打倒」の戦略的スローガンのもと、日本革命勝利に向けた一大階級決戦としてこれを闘う。すなわち戦後憲法体制の擁護者としてではなく、日本帝国主義を打倒して社会を根本から変革する「革命の実践者」として、改憲阻止決戦に全力で決起する。安倍政権が狙う改憲・戦争は日帝の延命のための最後のあがきであり、これを労働者階級の総決起で迎え撃ち粉砕する闘いは、いや応なく日帝打倒をたぐり寄せることになるからである。
 その勝敗は何よりも、全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部への大弾圧を打ち破り、JRにおける「労組なき社会」化の攻撃を粉砕し、あらゆる職場に階級的労働運動をよみがえらせること、それを通じて青年世代の巨万の決起を実現することにかかっている。
 青年労働者・学生を先頭に、2020年の激闘へ躍り出よう。

―Ⅰ― 党の大変革をかけ闘いとった26全総と11月集会の到達地平

⑴7回大会の路線的誤りを克服する道つかんだ26全総

 革共同は昨年9月に開催した26全総において、これまでの党の闘い、とりわけ2015年1月の第7回大会以来の闘いを総括し、そこにはらまれていた重大な路線的誤りをえぐり出し、これを推進した中央指導部(旧政治局)の組織指導の破産を明らかにした。26全総は中央労働者組織委員会の主導のもと、全国の各地区、同盟本部(前進社本社)、青年・学生党員から選出された全国委員が結集し、とりわけ国鉄決戦の先頭に立ってきた現場の同志をはじめとする労働者党員によって終始討論が牽引(けんいん)された。そしてそのような白熱的討論を通して、現代革命に勝利する党の総路線の再確立に向けて新たな一歩を踏み出すとともに、第8回大会までの暫定中央指導体制(清水丈夫議長―秋月丈志書記長)を選出した。
 26全総が明らかにした7回大会路線の誤りとは何か。それは何よりも、2010年代階級闘争の厳しさと激しさの前にたじろぎ、屈服し、そこから身をそらそうとした党中央指導部(旧政治局)の腐敗と日和見主義の産物であった。
 振り返れば、2010年4・9政治和解による国鉄闘争解体の危機、11年3・11東日本大震災と福島第一原発事故がもたらした未曽有の事態、12年末の第2次安倍政権の登場と14年7・1閣議決定(集団的自衛権の行使容認)、15年安保戦争法制定の強行といった激動の中で、党がいかなる路線と方針をもって臨むのかが7回大会において鋭く問われていた。この過程は同時に、動労千葉が10年以上にわたって止めてきたJRの検修・構内業務の全面外注化が一気に強行される過程でもあり、まさに党と階級的労働運動にとって新たな試練の時でもあった。
 ところが、旧政治局の主導で開催された7回大会は、この階級闘争の歴史的転換情勢に応えうるものとはならなかった。その問題性は大会の「第2報告」と「特別報告2」に顕著に示された。そこでは、外注化攻撃との闘いを不屈に貫いてきた動労千葉から真摯(しんし)に学び、現場に身を投じて共に闘いの路線・方針をつくりだしていくのではなく、「たとえ動労千葉といえども、労働組合だけの力ではとうてい(外注化攻撃に)太刀打ちできるものではなかった。労働組合の枠をこえた革命党の分厚い建設と一体化しなかったら......勝利することはできない」(第2報告)などとあからさまに動労千葉を蔑視する態度をとっていた。そして外注化攻撃と闘う路線も具体的方針も一切提起せず、「『動労総連合を全国に』の大方針こそ......最大の獲得地平であり実践方針」「それは国労か動労かという次元をこえて......革共同の労働運動をつくりだすということだ」(同)「革共同の労働組合、動労総連合を全国に1000人規模でうち立てることが唯一の回答」(特別報告2)とまで断言した。
 このように7回大会は、4・9政治和解がもたらした日本階級闘争の主体の危機をいかにのりこえるかという課題を真剣に見すえることができず、職場から外注化阻止の闘いをつくりだすという国鉄決戦の正面任務から逃亡して、「革共同の労働組合」「革共同の労働運動」を空論的に対置したのみだった。それは、外注化攻撃と対決する労働者同志の苦闘を踏みにじり、職場の団結を破壊し、革共同を「労働者階級の本体から孤立したセクト集団」に転落させようとするものでしかなかった。
 26全総は、こうした旧政治局の組織指導の破産とそのもとで引き起こされた女性差別事件に対して、党の根底的変革をかけて決起した全国の労働者同志、とりわけ青年・女性同志の力でかちとられた。そして旧政治局を打倒しのりこえて、7回大会路線からの決別とその克服を断固として宣言したのである。党の危機を突破したこの26全総の開催を可能にしたのは、旧政治局指導の誤りにもかかわらず、国鉄(JR)をはじめあらゆる職場・地域で労働者階級を組織化するための必死の努力を続けてきた現場の細胞や地区党の同志の力であった。青年・学生を先頭に全国の同志が決起してかちとられた4月東京・杉並区議選の勝利(ほらぐちともこ候補が3275票・18位で当選)も決定的だった。
 現代革命勝利への総路線と実践的・理論的・組織的任務を日本階級闘争の全分野において確立していく闘いは、まだこれからである。ここから前進するためには、激動する情勢への感受性を高め、情勢を主体化し、主体を情勢化する(主体的行動によって新しい情勢をつくりだす)構想を必死でつくりあげ実践に踏み出すこと、その経験の中から階級状況と深く結びつくために行動の能力、活動の方法・内容を高めていくという実践的=組織的立場に立つ以外にない。26全総後、全国の同志が直ちにそうした立場で、11月集会の組織化に職場・学園・地域、自らの持ち場で総決起していった。

⑵11月労働者集会が示した国際連帯と改憲阻止の展望

 11月3日に東京・日比谷野外音楽堂で開催された全国労働者総決起集会/改憲阻止!1万人行進の歴史的意義は、第一に、安倍政権が体制の存亡をかけて改憲攻撃に踏み出したことに対し、闘う労働組合を先頭に改憲阻止決戦への総決起を宣言したことである。とりわけ18年3月に呼びかけられた「改憲・戦争阻止!大行進」運動の神奈川や広島など全国各地での経験を踏まえ、この運動の原則的・大衆的組織化をさらに推し進めていくことを確認したことは決定的だった。
 第二に、関生支部に対する大弾圧とJR職場で進む労組破壊攻撃を打ち破ることこそ、すべての労働者の未来をかけた当面する最大の課題であることを明確にさせた。「関生支部とJR、この二つの攻防に勝ち抜くことができるか否かに日本の労働者と労働組合の未来がかかっている」(動労千葉・関道利委員長)。このことは、多くの人々の実感であり認識である。国鉄闘争陣形を軸に、関生支部弾圧粉砕へ階級的反撃ののろしを上げたことにこそ、昨年の11月集会の決定的な意義があった。
 第三に、現代革命の核心問題としての国際連帯闘争の新たな地平、新たな前進をかちとったことである。韓国の「ろうそく革命」が日本の労働者階級に波及することを何よりも恐れた安倍政権が、韓国敵視政策と排外主義の大宣伝を繰り広げる状況下では、民主労総ソウル地域本部との連帯闘争を継続・発展させることもあらかじめ保証されたものではなかった。こうした中で、われわれは4月入管集会、8月反戦闘争、11月東京―ソウル共同行動を歴史的な日韓連帯闘争として実現した。また安倍政権による外国人労働力導入(「現代の徴用工」)政策と滞日・在日外国人に対する強制収容・追放攻撃の激化と対決し、関西や川崎などでの在日人民との連帯闘争をつくりだしてきた。こうしたすべてにおいて、7回大会における空論主義的な国際連帯論(実体なき「インターナショナル建設」論)を実践的にのりこえる地平を切り開いてきた。
 総じて11月集会に至る2019年の闘いは、「11月集会陣形」の重大な階級的意義をわれわれ自身が再認識する過程であった。そして国鉄闘争をはじめとする階級的労働運動、学生運動、沖縄闘争、星野闘争、三里塚闘争、反原発闘争、入管闘争、部落解放闘争、女性解放闘争、障害者解放闘争など日本階級闘争の最前線で闘う諸団体が結集して、改憲・戦争阻止の大闘争を実現していく巨大な可能性をつくりだした。問われているのは、それを本当に生かし、可能性を現実に変える党の意識的な努力、共産主義的政治を行う力、プロレタリア独裁を実現する政治的能力である。それは、中央・地区党・細胞が一体となって職場・地域で労働者階級と結合し、経済闘争・政治闘争・理論闘争の全分野において日常的闘争=組織実践を行うことによってのみ獲得される。
 26全総と11月集会は、プロレタリア革命への道を切り開く党の再生と変革、そして巨万の労働者階級人民と結合・再結合する出発点を築いた。だが、すべてはこれからである。2020年改憲阻止決戦、国鉄・関生決戦を闘い抜きながら8回大会を準備し、改憲阻止・日帝打倒からプロレタリア世界革命へ向かう党の本格的建設をかちとろう。

⑶星野同志の精神を継承し国賠請求・再審貫徹を誓う

 2019年の闘いの総括において特筆しなければならないことは、星野闘争である。
 5月30日、われわれは、44年に及ぶ非転向の獄中闘争を貫いてきた星野文昭同志を、思いもかけない形で奪われた。その時の衝撃、悲しみ、悔しさ、星野同志の命を奪った国家権力への階級的な怒りと憎しみを、われわれは絶対に忘れない。
 沖縄米軍基地を最大実体とする日米安保体制を根底から揺るがし、今日に至るまで日本帝国主義の改憲・戦争を阻んできたともいえる70年安保・沖縄決戦の先頭に立った星野同志。この70年決戦への国家権力の憎悪に満ちた報復弾圧―殺人罪でっち上げ・無期懲役攻撃と対決し、プロレタリア解放・全人間解放に向かって獄中から党と労働者階級人民を鼓舞し導き続けてきた星野同志。この星野同志の存在と闘いこそ、革共同の魂であり、誇りであり、党と労働者階級の団結の中心であった。
 われわれは星野同志、そして彼の最愛の妻であり同志である星野暁子さんと共に再審闘争を闘い、徳島刑務所闘争を闘い、有罪・無期懲役確定30年となる2017年から更生保護委員会闘争を開始した。「星野さんを今すぐ奪還する!」----このことに全党の同志、全国の星野救援会と弁護団、そして星野同志の存在と闘いを知ったすべての人々が本気になって燃え上がり、奮い立った。
 全国各地で星野絵画展が開催され、仮釈放を審理する四国地方更生保護委員会への要望書が続々と集まった。元参議院副議長の角田義一氏や元衆院議員の小森龍邦氏、沖縄の糸数慶子参院議員らが、人生をかけて星野解放を訴え、新聞広告に名を連ねた。高松の地で1千人を超える大集会とパレードが実現された。昨年1月には韓国のテグで詩画展と暁子さんの講演会が開催され、闘いは海を越えて広がった。更生保護委員会闘争は、星野闘争史上最高の大衆的な広がりと高揚をつくりだし、四国地方更生保護委員会は容易には結論を出せない状況となった。この広範な労働者階級大衆と結びついた星野解放の闘いは、26全総への道を実践的に切り開くものともなったことも確認したい。
 しかし日帝国家権力の圧力に屈した四国地方更生保護委員会は、昨年3月に「仮釈放不許可」の決定を出し、井坂巧委員長らはそのまま逃亡した。そして何より許しがたいのは、徳島刑務所がエコー検査で星野同志の肝臓の異常を知りながら、更生保護委員会の決定が出るまでそれを隠し続けたこと、仮釈放不許可後の4月になって、東京・昭島市の成人矯正医療センターに星野同志を長時間車中に拘束して移送したことである。われわれは星野同志の命を脅かす日帝国家権力への怒りに燃えながらも、医療センターでの星野同志の治療と快復をもって、星野解放の新たな段階に進む決意を固めていた。星野同志も同じ決意で、「巨大な腫瘍」となるまで放置された肝臓がんの手術に立ち向かった。だが、国家権力はついに星野同志の命を奪い去ったのだ!
 星野同志を獄死させたのは、腐り果てた姿をさらしながら、改憲と戦争への道を開こうとする日帝・安倍である。これに対する労働者階級人民の怒りは、改憲・戦争への怒り、沖縄の怒りと一つになって、これからさらに深く激しく広がっていく。星野精神の継承者は、獄死への国家責任追及の闘い、暁子さんが引き継ぐ再審闘争、星野絵画展、そして星野同志の分身となって闘う大坂正明同志の裁判闘争をとおして無数につくりだされるだろう。

―Ⅱ― 加速する内外情勢の大激動と日本階級闘争の世界史的位置

⑴安倍政権の末期的危機と新自由主義の全世界的破産

 革共同は26全総と11月集会の成功をもって党の革命的再生・再出発を果たし、2020年の階級決戦へ重大な決意をもって突入した。この2020年改憲阻止決戦、国鉄・関生決戦への全党と全労働者階級人民の総決起をかちとるために、この決戦の世界史的意義を内外情勢から鮮明にさせなければならない。

改憲への求心力失う

 昨年7月参院選で「改憲」を争点に掲げ、9月内閣改造で「改憲突撃内閣」ともいうべき陣容を固めた安倍政権は、秋の天皇代替わり儀式を通じて天皇制国家暴力・天皇制イデオロギー攻撃で社会を覆い尽くそうと狙い、その中で臨時国会での国民投票法改定と憲法審査会での審議進行をもくろんだ。だがその構想は大破産した。菅義偉官房長官の抜擢(ばってき)で入閣した経産相、法相が相次いで辞任に追い込まれ、安倍の最側近の萩生田光一文科相も大学入試改革をめぐって怒りの的となり、ついには安倍自身が「桜を見る会」問題で不正・腐敗を暴かれ「改憲どころではない」状況に追い込まれた。天皇代替わり儀式も、台風・洪水被害の甚大化と労働者階級人民の生活苦の中で、贅(ぜい)を尽くした儀式を強行した天皇制の反人民性を浮き彫りにする結果にしかならなかった。
 安倍への労働者人民の不信はもはや拭えず、改憲への「最後の切り札」だった安倍への求心力はいまや決定的に失われている。「史上最長政権」なるものの実態は「代わりがいない」ということにすぎず、日帝の末期的状況を示すものだ。だがこの安倍と日帝支配階級の「異常な危機」は、労働者階級の革命に転化されない限り、より凶暴で絶望的な反動・反革命の結集を生み出し、改憲・戦争へのさらなる突進をもたらすほかない。それは以下のような新自由主義と戦後世界体制の大崩壊の情勢に規定されている。

新自由主義とは何か

 民営化、規制緩和、労働者保護制度と社会保障の解体、外注化・非正規職化、低賃金労働力を求めてのグローバル化・世界的分業体制、生産性向上への労働者の果てしない駆り立て、AI(人工知能)との競争、ICT(情報通信技術)によるマネーゲーム・金融バブル、バブル崩壊と大恐慌の爆発を繰り延べるための超金融緩和の継続、1%への富の集中と貧困の蔓延、これらに対する怒りと不満をすべて「テロリズム」とみなして弾圧するための治安弾圧機構・国家暴力装置の肥大化。これらが新自由主義と呼ばれる、帝国主義の最末期の延命政策、絶望的な延命形態である。
 新自由主義は、歴史的に形成された過剰資本・過剰生産力状態に根本的に規定された利潤率の低下、経済成長の停滞と慢性的不況、財政危機----一言で言って資本主義・帝国主義の危機に際して、1917年ロシア革命以来の資本家階級と労働者階級の力関係を反革命的に逆転させ、それを19世紀の工場法以前の時代にまで引き戻し、もって資本家階級の延命と彼らへの富の集中を図ろうとするものだった。それは、サッチャー、レーガン、中曽根以来約40年、破産し崩壊したスターリン主義と串刺しにする形で労働組合やマルクス主義的なもの、およそ階級的な組織や運動のことごとくを徹底的に攻撃し、弱体化させることによって世界中を覆い、暴れ回ってきた。マルクスが『資本論』において「全資本家階級の標語」として皮肉った「われ亡き後に大洪水よ来たれ!」をそのままに、自らの利益と延命のために全地球上であくことなく搾取の自由を追い求めたのである。
 こうして新自由主義は、階級対立を極限的に激化させ、世界大恐慌の危機をもたらした。米日欧の政府と中央銀行は、2008年リーマン・ショック後、恐慌対策として「異常な」超金融緩和・量的緩和を展開し、以来10年以上にわたって空前の金融バブルを膨張させてきた。そして新自由主義は、貧困の拡大と社会の分断・荒廃・崩壊、さらには地球的規模での環境破壊・気候変動(文字通りの「大洪水」!)をも引き起こしながら、人類全体の生存をも脅かす恐るべき破局へと全世界を引きずり込もうとしている。
 新自由主義政策を推進してきたブルジョアジー自身は、この自分たちが招き寄せた絶望的事態を前に、何の解決策も持てず、いかなる未来も示すことができない。米帝トランプを筆頭に「自国第一」で分断と排外主義をあおり、自分たちに怒りが向かって来ないようにすること、ただこれのみに必死になっている。こうして本格的な大恐慌の爆発を引き寄せつつ、市場・貿易・金融・通貨・情報技術・資源・労働力・勢力圏・領土をめぐる国家間の利害対立を果てしなく激化させている。これは国内階級支配の危機と体制存続の問題と直結し、先鋭化させ、ますます非和解化していく。

⑵全情勢の根幹を規定する米中対立の非和解的な進展

 その最大の焦点は、米中貿易戦争、米中対立である。この間、米中貿易交渉の合意か決裂かをめぐって世界の株式市場は一喜一憂し、乱高下しているが、この対立はあまりにも世界史的に巨大であり、21世紀プロレタリア世界革命情勢を大きく決するものとして大局的にとらえていく必要がある。
 中国共産党スターリン主義は、「一国社会主義」の矛盾の爆発、ソ連・東欧に続く体制崩壊の危機から逃れる唯一の方策として、1989年6・4天安門事件に象徴される人民への政治的抑圧と弾圧を強めつつ、帝国主義諸国からの資本の導入を積極的に進めてきた。そしてその専制的国家権力をてこにして、すでに70年代末の「改革・開放」路線から開始していた市場経済化を猛烈な勢いで加速した。安価で膨大な労働力と広大な領土・市場を武器に、一気に「世界第2の経済大国」にまで成長し、中国のGDP(国内総生産)は89年から30年間で30倍になった。ここで確認しておくべきことは、中国のこうした経済大国化、さらに「一帯一路」構想によるユーラシア大陸的な対外展開は、あくまでも中国のスターリン主義体制(共産党支配の国家・地方官僚支配機構と巨大利権)を維持するという政治目的を第一として進められているということだ。それは中国の帝国主義化ではなく、「破産した一国社会主義路線のなれの果て」というべきものである。
 中国が「世界の工場」として経済大国化することは、一定レベルまでは米帝や他の帝国主義にとっても利益であった。だが、米国内製造業の衰退が一線を越えて地域社会の崩壊をもたらし、さらに米帝の世界支配の最後の支え=「世界最強の米軍」の源でもあるハイテク情報通信分野をも脅かすに至って、米中の対立は一気に非和解化した。経済大国化した中国に制裁を行えば、世界経済全体が打撃を受けて収縮することになるのは明らかであり、すでにその影響は日本、アジア各国、ヨーロッパなどに出ている。それは当然にもアメリカにも及ぶ。このような経済的合理性などを無視した非合理的な制裁・報復の論理がまかり通ったのが1930年代であり、それは米英仏と独日の対立を軸に世界戦争にまで行き着いた。それが今、アメリカ帝国主義と帝国主義世界経済に深々とビルトインされた残存スターリン主義・中国という2大大陸国家・核軍事大国同士がぶつかりあうという、世界史上かつてない事態となっているのである。
 この2大国間の激突には妥協点がない。まずアメリカ帝国主義にとって、何よりも最後の砦(とりで)というべきハイテク情報通信分野での優位性を失うことは絶対に容認できないし、今年11月の大統領選を前に、中国との貿易不均衡の劇的解消は、弾劾訴追にもさらされているトランプにとってますます第一の国内政策となっていかざるをえない。中国にとっても、ここで米帝に屈し、譲歩し、すでに始まっている景気後退・経済成長鈍化をさらに激化させることは、天安門事件以来抑え続けてきた国内の不満、怒りを一挙に爆発させることになる。それは体制の崩壊に直結する事態であり、絶対に受け入れられない。
 中国スターリン主義体制においては、経済と政治は、資本主義のように原理的に「分離」されてはおらず、経済危機の爆発はストレートに体制危機・体制崩壊に結びつく問題となる。だからこそ、今の危機的情勢において爆発している香港の労働者、青年・学生らによる、中国共産党の専制的支配を断固として拒絶する大衆的実力闘争は、中国スターリン主義として絶対に許容できないのである。

⑶世界戦争・核戦争の切迫に焦り、参戦を狙う日帝・安倍

 この米中対立とともに、米欧間においても決定的亀裂が深まっている。NATO(北大西洋条約機構)創立70年は、米帝基軸の戦後世界体制、安保同盟体制がいまや完全に形骸化し、崩壊しつつあることを突き出した。米帝はEU(欧州連合)諸国に国防費増額を約束させ、韓国には米軍駐留費負担の5倍化(=全額負担)を要求している。日本に対しても、すでにトランプが米軍駐留費4倍化を要求していることが一部で報じられている。米帝はもはや全世界に巨大な軍隊を配置し続ける力を失っている。しかしながら、米軍を「世界最強の軍隊」として維持することは、米帝の利害を押し貫いていくためにますます必要となっている。そこで米帝は「同盟国」のEU、日本、韓国などが、中国やロシア、北朝鮮に対して米軍抜きでは対応できないことを見透かしながら、「米軍撤退」をもちらつかせて最大限の負担を迫っているのだ。
 同時に米帝は、米地上軍を投じた「地上制圧」型の大戦争を実行することは極めて困難という現実を突きつけられ、あらためて核兵器を世界支配と争闘戦の「安上がりの」武器として位置づけ直している。それがトランプの新たなNPR(核戦略見直し)であり、「使える核」としての小型核兵器の開発、INF(中距離核戦力)全廃条約の破棄と新たなミサイル開発、沖縄などへの大量配備計画の存在であり、さらに「宇宙軍」の創設である。これら「没落期」の米帝の争闘戦政策は、結局は世界経済・政治・軍事体制のさらなる分裂化・多基軸化を不可逆的に進行させ、世界戦争・核戦争の危機を急速に切迫させることになる。
 こうした情勢が加速度的に進む中、現在も依然として憲法9条の戦後的制約から自由になれない日帝は、米中対立にも、米・イラン対立が深まる中東情勢に対しても対応できない。また対北朝鮮という点でも、米帝トランプは米朝首脳会談以来の小康状態を脱し、追いつめられた北朝鮮スターリン主義の新たな軍事的挑発を口実に再び戦争策動を強めているが、これに対して日帝は最後の一線を踏み越えて「実際に参戦する」国内的な準備が十分にできていない。このままでは帝国主義として完全にずり落ち、没落していくしかない。だからこそ日帝は、どんなに絶望的でも改憲に向かって突進する以外にないのである。

⑷革命を求める労働者階級の全世界的反乱が始まった

 新自由主義と戦後世界体制の最後的な崩壊過程において、帝国主義と残存スターリン主義、旧スターリン主義の大国の支配階級らは、自らの支配と腐敗した体制を維持するために、世界中でぶつかり合いながら全人類を戦争・核戦争の破滅に導いていくしかなくなっている。その一方で、世界の労働者階級は青年を先頭に、自らの力で新しい時代を切り開くしかないことを予感し、明らかにこれまでとは次元を異にする質と規模で立ち上がりはじめた。
 韓国では民主労総100万人を先頭にろうそく革命完遂への闘いが不屈に継続されている。香港でのスターリン主義的圧制と対決する労働者・学生の決起、アメリカの教員スト、自動車労組の正規・非正規の分断を打ち破る大ストライキ、フランス「黄色いベスト運動」の1年を超えた継続と年金ゼネストの爆発、イタリア・ローマの公務員ゼネスト、かつて「新自由主義の実験場」とされたチリでの労働者・学生の反乱、11月集会にも合流した台湾の鉄道や航空での労働運動の新潮流、さらにイラク、イランで、ロシア、東欧、トルコ、インドなどで独裁と腐敗に怒りが燃え広がり、生き抜くための闘いが続いている。
 これら全世界の闘いはすべて、新自由主義が全世界で生み出したプロレタリアートの反乱にほかならず、そのいずれもが最終的には反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命の勝利をもってしか決着のつかない闘いである。破産した支配階級に代わって新しい社会を建設する労働者階級の革命的決起、そしてその先頭に立つ革命的労働者党の主導権の確立なしに、今日の新自由主義とその崩壊が生み出している危機からのいかなる出口もない。
 求められているのは日本における階級的労働運動の再生、階級闘争の復権、安倍打倒・改憲阻止の闘いの爆発である。そしてそれをつくりだす革命的共産主義者の党の飛躍である。これを実現したときに、全世界の労働者階級人民の闘いに巨大な影響を与え、世界革命への突破口を切り開くことができる。日本における改憲阻止決戦はその意味で国際階級闘争の一大焦点である。このことを確信して、2020年改憲阻止、国鉄・関生決戦へ躍り込もう。

―Ⅲ― 戦争か革命かの歴史選択かけ改憲を阻む階級決戦に突入を

⑴改憲とは日帝支配階級の延命のためのクーデターだ

 前章で見たような情勢に規定されて、日帝は改憲をクーデター的に強行するしかないところに追いつめられている。憲法に「9条の2」を新設し「自衛隊」を明記することと、緊急事態条項を新設することを2本柱とする安倍・自民党の改憲案は、現行憲法の「一部修正」という程度のものでは断じてない。それは現行憲法を根本的に否定し転覆するものにほかならない。
 憲法9条の次に、新たに「前条の規定は......必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として自衛隊を保持する」という条文の「9条の2」を導入するということは、何を意味するか。それは「戦争放棄」「戦力不保持・交戦権否認」を規定した9条1項2項を完全に死文化させることにほかならない。ここで注意すべきなのは、この改憲案は単なる「自衛隊」の明記にとどまらず、「自衛の措置」という現行憲法には存在しない新概念をも一体で導入しようとしていることである。これにより、従来は「武力による威嚇又は武力の行使」(9条1項)にあたるとして禁じられてきた一切の戦争行為(集団的自衛権行使や先制攻撃も含む)が、「自衛の措置」という名ですべて合憲化されることになる。そしてこの「自衛の措置」をとるための「必要な実力組織」を保持し続けることが憲法上の政府の義務となり、果てしない軍事力の増強と軍事予算の拡大、自衛隊の兵員確保、そのための学校や自治体への隊員募集の義務化や徴兵制にまで道を開くことになるのだ。
 改憲をめぐる争点は、安倍などが言うように「自衛隊違憲論争に決着をつける」ことでも「北朝鮮のミサイルや中国の軍事大国化に備える」ことでもない。真の問題はこうである。労働者人民を非正規職化と貧困に追い込む日帝ブルジョアジーや安倍のような腐敗した権力者たちの延命のために、労働者人民、とりわけ青年・学生の命を奪う改憲・戦争攻撃を許すのか、それともこれを粉砕するのか。戦後体制のクーデター的転覆と再びの戦争と破滅への道か、それとも日帝・安倍を打倒して労働者人民が主人公となった新しい社会をつくりだすのか。この歴史選択をかけた戦後最大の階級決戦、政治決戦こそが改憲阻止決戦である。

現憲法の核心は9条

 日本国憲法の「原理」は、一言で言えば「二度と日本政府に戦争をさせない」ということにつきる。「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」という前文に始まり、奴隷的拘束・苦役からの自由(18条)、思想・良心の自由(19条)、国の宗教活動の禁止(20条)、集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密(21条)、スト権を含む労働三権の保障(28条)、法定手続きの保障、逮捕の要件、抑留・拘禁・捜索・押収に対する保障、拷問・自白強制の禁止、刑事被告人の権利(31〜38条)、軍法会議・軍事法廷を含む特別裁判所の禁止(76条)、地方自治の基本原則(92条)、地方公共団体の権能(94条)、憲法の最高法規性(98条)、天皇・大臣・議員・裁判官・公務員の憲法尊重擁護義務(99条)などにいたる諸規定----。
 これらの一切が、戦前の日帝の戦争体制を支えた軍・徴兵制度、内務省・特高警察・思想検察を解体し、その復活を阻止し、政府による国家総動員体制の構築を不可能にするものであり、その全体系の頂点に「戦争放棄」を規定した9条がある。したがって、9条を否定することは憲法全体の転覆を意味する。これと一体で戒厳令を復活させる緊急事態条項が導入され、「戦争する国」への大転換が現実化すれば、先に挙げた諸条文も戦争遂行の妨げになるものとしてただちに形骸化され、遠からず明文改憲の対象となることは不可避なのだ。

⑵戦後階級闘争の全歴史の総括と突破が問われている

 9条を最大の特徴とする戦後憲法は、帝国主義国の憲法として、いやブルジョア憲法一般としても他に例を見ないものである。そこには、一方で第2次大戦終結後の日帝と米帝との関係、他方で日帝と世界の労働者階級人民との関係という、「二重の力関係」が刻み込まれている。
 米帝は、中国・アジア支配をめぐる日帝との「強盗同士の戦争」で、日帝を圧倒的な力で軍事的に壊滅させ屈服させた。しかしその直後、中国・朝鮮をはじめアジア全域で帝国主義支配の空白が生じ、中国革命を先頭に民族解放の闘いが燃え広がった。また日本国内でも戦争責任追及と生きるための闘いが労働組合の結成を伴って一気に爆発し、戦後革命情勢が進んでいた。この戦後革命の波がアジア全域を覆うことは、帝国主義世界支配の確立をめざす米帝にとって絶対に阻止しなければならないことだった。
 ここで米帝と日帝は「日本のプロレタリア革命阻止」で一致し、まず天皇制の維持に全力をあげた。天皇制の崩壊と「民主共和制」の成立は、マルクスが述べたように、階級闘争がむき出しの形で闘われる事態を招き、ロシアで1917年2月革命から10月革命へ進んだような情勢をもたらすことが容易に想像されたからである。しかし天皇・天皇制は日本の軍国主義と分かちがたく一体であったし、内外の労働者人民にとって天皇制の存続などとうてい容認できなかった。ここで日帝支配階級は、沖縄と本土に駐留する強大な米軍の存在を担保として、「戦争放棄」を規定した9条を自ら積極的に受け入れ、それと引き換えに天皇制の承認を求めたのだ。このように憲法9条は、日帝支配階級の命綱としての天皇制の存続、沖縄・本土への米軍駐留(後の日米安保体制)と三位一体の関係にあった。
 米帝と日帝は、戦後革命を敗北させたソ連および日本共産党スターリン主義に助けられ、中国革命のアジア革命―世界革命への発展を阻止し、1950年朝鮮戦争と朝鮮半島の南北分断固定化をもって戦後体制を確立した。その後、米帝による占領期間を終えた日帝は改憲を通じて再び「戦争のできる国」になることを最大の課題とした。米帝もまた日帝を自らのアジア支配・世界支配の補完物として動員するために改憲を容認するようになっていくが、これを許さなかったのは、日本とアジアの労働者階級人民の闘いだった。

連綿と続く反戦闘争

 日帝の侵略戦争は2千万人ものアジア人民を虐殺し、日本の人民も沖縄での地上戦、東京をはじめとする各地の空襲、広島・長崎の原爆被爆を含め310万人が命を奪われる凄絶(せいぜつ)な結果をもたらした。「戦争絶対反対」という強烈な反戦意識は日本労働者階級の階級意識の土台となり、戦後の労働運動の出発点をなした。50年朝鮮戦争と再軍備に反対する闘い、60年安保闘争、70年安保・沖縄闘争、ベトナム反戦闘争、三里塚闘争、広島・長崎の反戦反核闘争----これらの連綿と続く闘いの中心には常に「憲法改悪阻止」があり、それは職場の諸権利をめぐる闘争と一体で闘われてきた。日帝の改憲攻撃は、この日本の労働者階級の意思と闘いに阻まれ続けてきたのである。
 だが70年代には日帝の戦後発展が行き詰まり、支配階級も戦後的なあり方を続けられなくなった。82年に「戦後政治の総決算」を掲げる中曽根政権が登場し、「反戦の砦」=三里塚で空港完成への二期工事を強行すると共に、「国鉄労働運動を解体し、総評・社会党を解体して立派な憲法を安置する」ことを狙い、戦後最大の労働運動解体攻撃として国鉄分割・民営化攻撃をしかけた。実際、国鉄分割・民営化を契機とする労働運動の後退は、今も日本の階級闘争を規定している。だが、支配階級は国鉄分割・民営化から30年以上が過ぎても改憲を達成できず、中曽根自身も改憲を見ることなく死んだ。中曽根以来の改憲攻撃の前に断固として立ちはだかったのは、動労千葉を先頭とする国鉄闘争である。85〜86年の2波の大ストライキ、1047名解雇撤回闘争、外注化阻止闘争、2010年の4・9政治和解をのりこえて進んできた国鉄闘争全国運動。そしてこの国鉄闘争を軸に階級的労働運動をすべての職場でよみがえらせるための必死の努力が続けられてきた。この国鉄分割・民営化から30年を超える闘い、4・9政治和解からも10年近い営々たる闘いが、日本労働運動の崩壊的現実を最後の一線でくい止め、労働組合の産業報国会化を阻止し、改憲・戦争阻止!大行進運動の新たな飛躍を可能としているのだ。
 ここまでの闘いを根底で支えてきたのは、「改憲だけは絶対に許してはならない」という、広範な日本労働者階級の絶対に譲れない意思だった。「日の丸・君が代」強制による激しい教組つぶし攻撃がしかけられた被爆地・広島から「改憲・戦争阻止!教職員100人声明」のような決起が生み出されたこともその証左である。7回大会路線の誤りを総括したわれわれは、改めて国鉄闘争を闘い抜き、ここまで改憲を阻止してきた戦後日本階級闘争の地平に立って、労働者階級と深く広く結合していく闘いとして改憲阻止決戦を闘う。何よりも安倍をはじめ改憲勢力が「最大の障壁」とみなす日教組・自治労において、職場からの改憲阻止の闘いを、広島からの決起にも応えて絶対につくりだそう。

⑶職場で資本と闘う団結の形成と改憲阻止との結合を

 その上で改めて見すえなければならないのは、日本階級闘争・労働運動は今も深刻な危機に直面し続けているということだ。われわれは改憲阻止闘争においてそれを直視し、この危機をのりこえるために、革命的共産主義者として、その党として何をなすべきかを明確にしなければならない。
 70年代まで世界有数ともいえる戦闘性を示してきた日本の労働運動が、国鉄分割・民営化を経て後退を強いられ、「労働運動の不在」とまで言われるような現在の状況に立ち至ったのはなぜか。それはやはり、職場での資本との闘いと反戦政治闘争とが分離され、とりわけ資本の合理化攻撃に直面して前者の闘いが放棄されていったことが大きい。そのことで組合的団結は形骸化し、反戦政治闘争もただの「動員」となり、敵が本気で攻めてきた瞬間に急速に力を失ってしまった。ここに日本労働運動の決定的な弱点があった。
 動労千葉が国鉄分割・民営化に立ち向かい、改憲阻止闘争や国際連帯闘争の先頭にも立つことができたのは、反合理化・運転保安闘争路線を貫いて資本との闘争を組織し、そのことによって日常的な階級的団結をつくりあげてきたからだ。
 「改憲阻止決戦を闘う立場に立ちきるとき、どんなに小さくとも職場生産点で階級的労働運動・労働組合をつくりあげるための努力が、はっきりと階級全体の決戦の重要な一環であることが鮮明になり、資本との闘い、階級的団結への労働者の確信が強化される。労働者が職場での日々の苦闘の経験をとおして、みずからの存在と闘いの社会的な意味や正しさをつかみとったとき、どれほど大きな力を発揮するのか。『戦争だけは許してはならない、そのために労働者は団結しなければならない』という普遍的な課題と、職場での苦闘とを結合させる努力の中に、そうした階級の力を引き出す正しい政治指導が生まれます」
 「反戦闘争に職場から労働者の総決起を実現しようと真剣に考えれば、職場における資本との闘いを何倍にも強化しなければならないという課題に直面することになります。また、職場からの決起が土台となったときに真の意味で改憲阻止闘争の本格的発展がかちとられます。そうした相互作用の中からこそ、階級的労働運動が形成されます」(『共産主義者』197号松丘静司論文)
 動労千葉労働運動の総括として出されたこの提起を、今こそ全党をあげて実践しよう。

マルクス主義の復権を

 われわれが革命的共産主義者の党として、改憲阻止闘争を改憲阻止・日帝打倒のプロレタリア革命に向かって意識的に組織していくためには、今こそ階級闘争の思想、マルクス主義を労働者階級の中に復権させるために闘わなければならない。
 とりわけ、改憲派を自認する枝野幸男ら立憲民主党との「野党共闘」に一切を託し、1月の党大会での綱領改定で階級的なものの見方、考え方そのものを一掃しようとしている日本共産党スターリン主義との対決は、改憲阻止闘争が全人民的に高揚していく中でますます激化していく。2015年の安保戦争法をめぐる国会闘争では、数万人の労働者・学生・市民が「戦争絶対反対」の思いで集まり、警察の規制線をも越えて国会に迫ろうとしたとき、これを「野党がんばれ」「立憲主義を守れ」などというスローガンにすり替え、闘いを規制線の内部に封じ込めるために立ち回ったのが日本共産党だった。そしてその後も「選挙で野党統一候補に投票すること」だけを方針とし、反戦政治闘争の発展を抑えつけてきたのである。
 今、改憲を阻止するために本当に求められていることは、安倍・自民党と同じ改憲勢力でしかない野党に一票を託すことでは断じてない。韓国のろうそく革命や香港の青年を先頭とする実力闘争のように、労働者階級人民がストライキや街頭デモを荒々しく展開し、腐りきった政治と社会を根底的に変革する歴史の担い手=社会の真の主人公として登場することである。それは動労千葉の反合・運転保安闘争のように、労働者の職場生産点での団結と日常的な闘いを土台にしてこそ可能となる。この闘いを通じて労働者は、資本家階級とその国家権力が自分たちとは絶対的に非和解だということを学ぶ。だからこそ職場から階級的労働運動をもう一度つくりあげていくことが最大の課題となるのである。

―Ⅳ― 国鉄・関生決戦に絶対勝利し「改憲阻止!大行進」の発展へ

⑴「労組なき社会」をめざす前代未聞の大攻撃を許すな

 日帝は改憲・戦争への正面突破の攻撃として、直接的な権力的・暴力的手段による労働組合と労働運動への絶滅攻撃をしかけてきた。
 一つは、警察権力による関西生コン支部への大弾圧である。18年7月以降のべ89人が逮捕され、その8割が起訴され、武建一委員長らは1年半も勾留され続けている。通常の労組活動をすべて「犯罪」にでっち上げ、警察権力によって労働組合の組織を丸ごと壊滅させようとする、かつてない組織絶滅型の弾圧だ。もう一つは、JR資本と安倍首相官邸が直結して行っているJRでの「労組なき社会」化攻撃である。
 国鉄分割・民営化から三十数年、戦闘的・原則的に闘い続け、日本における階級的労働運動再生の闘いを牽引してきた関生支部と動労千葉―動労総連合を先頭とする勢力をつぶそうとするこの攻撃は、日本を文字通り「労働組合のない社会」に変えようとするものだ。総非正規職化と改憲・戦争攻撃に対して労働者階級が団結して闘うことを不可能にしようとしているのである。改憲・戦争を許すのか否かの決戦は、関生・国鉄をめぐる攻防に絶対に勝ち抜くことにかかっている。
 関生支部は、大手ゼネコン資本の支配下でバラバラに分断されてきたミキサー車の運転手や中小零細の事業者を産別労組、協同組合に組織して、大資本による収奪と闘い、一定水準の生コン価格を大資本に強制すると共に、労働者の賃金・雇用を守ってきた。日帝は総非正規職化によって労働者を徹底的に分断し、一切の階級的・組織的団結を奪おうとしているが、関生型労働運動の拡大は、この日帝の労働者支配の攻撃を根底から覆すものでもある。
 それは今、「元日スト」を呼びかけ、まさしく一点の火花から燎原(りょうげん)の火のように燃え広がろうとするコンビニ関連ユニオンの闘いをはじめ、新自由主義資本の専制的支配に対する大反乱にも連なる。日帝支配階級は、労働者階級の闘いの火の手を鎮めようとなりふり構わない弾圧に出ているが、それは新自由主義30年の間に蓄積されてきた日本労働者階級の怒りのマグマの爆発が迫っていること、戦闘的・階級的労働運動再生の現実性に対する敵の恐怖の表れなのだ。

弾圧への怒り広がる

 関生支部への敵の一線を越えた弾圧は、逆に全階級的な危機感と怒りを呼び起こしている。重要なことは、この弾圧の本質が改憲・戦争に向けた労働組合・労働運動つぶしにあることを鮮明にさせる中で、関生弾圧粉砕の一大支援運動が従来の様々な運動の枠を超えて組織されていることだ。敵はショック・ドクトリン的な弾圧で関生支部の一挙的な壊滅を狙ってきたが、そのもくろみはすでに完全に打ち砕かれている。関生支部は獄中の武委員長を中心に団結を固め、国家権力を逆包囲する階級的陣形を形成しつつある。
 関生支部と共に国鉄決戦を闘い11月労働者集会を闘いとってきたわれわれこそ、関生弾圧粉砕の先頭に立とう。関生弾圧は労働運動絶滅を狙う弾圧であり、それを根底的に粉砕するのは労働運動の復権だ。今春闘過程において、東京をはじめ全国で支援集会や武委員長の映画「棘(とげ)」の上映会などを組織し、関生支部弾圧粉砕を国鉄闘争と共に階級的労働運動再生と改憲阻止の決戦として闘い抜こう。

総非正規職化許すな

 関生弾圧と対をなす攻撃がJRにおける「労組なき社会」化の攻撃である。それは、安倍政権が「戦後最大の改革」と言い切った「働き方改革」攻撃を全社会化する突破口である。改憲・戦争に向かって戦後的労使関係、労働者支配の方法を根本から転換するこの攻撃の歴史的重大性を改めて真正面から見すえなければならない。
 「働き方改革」をめぐる議論で第一に強調されていたことは、「正社員改革」である。「正社員は特権的に保護されている」とし、このような正社員はなくすということがまず確認された。第二に、解雇の自由化である。安倍政権は「非正規という言葉をなくす」と宣言したが、それは労働者はいつでも解雇できる非正規職であるのが当たり前の社会、「非正規だけの社会」にするということだ。第三に、就業規則の法的位置づけの改定や労働者代表制の法制化である。労働組合を無視して、名ばかりの「社員代表」との合意だけで就業規則の不利益変更などを押し通せるようにしようと狙っている。そして8時間労働制の根本的解体、労働基準法の最後的解体である。
 重要なことは、このすべてをJRで実際にやり、「労組なき社会」のモデルをつくることで社会全体に貫徹しようとしているのだ。それがJR東労組の解体と「社友会」の組織化、乗務員勤務制度改悪、運転士・車掌を廃止する「新たなジョブローテーション」提案である。これらは中曽根の国鉄分割・民営化による「国労解体」などをはるかに超えた、労働組合そのものをなくす攻撃、現代の産業報国会づくりへの歴史転換的な攻撃である。

全産別で反撃開始を

 JRだけではない。自治体における会計年度任用職員導入、教育における教育職員給与特別措置法改悪=変形労働時間制導入、医療における424公立・公的病院再編統合攻撃など、全産別で一斉に攻撃が起きている。事態は重大だが、これは動労千葉―動労総連合を先頭にJRをはじめ全産別での労働者階級の反転攻勢、総反乱をつくりだす決定的チャンスを迎えているということだ。
 国鉄―JRにおける「労組なき社会」化攻撃との闘いと関生弾圧粉砕闘争は、二つにして一つの決戦であり、日本における労働運動の再生と未来をかけた決戦だ。改憲・戦争阻止の闘いもこの国鉄・関生決戦にかかっている。このことを全国の職場・地域の労組、労働者に全力で訴えよう。国鉄1047名解雇撤回闘争を再び社会の焦点に押し上げ、JR不採用・国鉄解雇33年の2・16国鉄集会への大結集をかちとろう。

⑵全社会に渦巻くあらゆる怒りを一つの力に束ねよう

 労働運動をめぐる激突と一体で、「改憲・戦争阻止!大行進」運動の一大発展をかちとろう。安倍政権と日帝支配階級へのあらゆる怒りをこの場に集約し、改憲阻止・日帝打倒への突破口を切り開こう。

■学生戦線

 日帝国家権力と新自由主義資本との結託を深める大学当局による学生運動・自治会運動絶滅攻撃との闘いは、国鉄・関生決戦と並ぶ現在の改憲・戦争攻撃との闘いの最先端をなしている。
 1920〜30年代の歴史を見ても明らかなように、戦争体制づくりは労働運動弾圧と共に学生運動つぶしとして先行的に行われる。戦争は青年・学生の動員なくしてありえないからである。この間の京都大学での立て看板撤去、闘う学生の学内立ち入り禁止、不当処分乱発、国家権力の介入、自治寮つぶし攻撃などは、関生支部への弾圧と同質である。学生戦線における党の役割は、これに対する大衆的反撃の先頭に立ち、この攻撃が改憲・戦争に向けた攻撃そのものであることを全面的に暴露し、学内闘争と改憲阻止の政治闘争を一体のものとして組織することにある。
 大学をも純然たる資本・権力の奉仕者、戦争の道具とする資本主義、新自由主義には、いかなる展望もない。改憲とは、青年・学生の命と人生を奪う戦争によって古い体制を延命させるためのものにほかならない。改憲阻止決戦の最大の当事者は青年・学生だ。日帝・安倍や支配階級の私利私欲と延命のために未来を奪われてたまるか! 香港をはじめ全世界で立ち上がる青年・学生とつながり、改憲阻止・日帝打倒へ立ち上がろう。

■沖縄

 日帝・安倍政権が沖縄県民の辺野古新基地建設反対の意思を暴力的に踏みにじって強行した辺野古への土砂投入から1年が過ぎた。しかし、1年で投入された土砂は埋め立て完了に必要な総土量の1%。もちろん1%でも断じて許すことはできないが、土砂搬入阻止の不屈の座り込みや様々な抵抗が、このままでは100年かかっても基地が完成しないという現実を日帝に突き付けている。県民の4人に1人が犠牲になった沖縄戦の体験、戦後75年も続く「米軍基地の島」の現実への抑えがたい怒り。日帝・安倍には、この沖縄の怒りと闘いを屈服させることは絶対にできない。
 沖縄米軍基地を最大の実体とする日米安保体制は、米中激突情勢下での米帝の対中国・対北朝鮮、対中東の侵略戦争・核戦争体制にとってますます不可欠である。それは崩壊する新自由主義と戦後世界体制の軍事的支柱であり、韓国や香港ですでに燃え上がっている東アジアにおける国際プロレタリアートの革命を圧殺する米日帝国主義の反革命的暴力装置である。沖縄はこの日米安保体制の矛盾の集中点であり、日本革命の火薬庫だ。
 改憲阻止は、沖縄と本土を貫く「沖縄米軍基地撤去、安保粉砕・日帝打倒」の闘いとしてこそ貫徹される。
 日帝・安倍政権と沖縄の労働者階級人民との対立がますます非和解的になっていく中で、70年安保・沖縄闘争時のような実力闘争、全島ゼネストが真に求められる情勢がやってくる。辺野古現地の闘いと結合し、沖縄における階級的労働運動の再生をかちとることこそ唯一の勝利の道だ。一切は沖縄現地の苦闘に真に連帯し、応えることのできる本土における階級的労働運動、階級的闘いの前進にかかっている。
 今や沖縄のみならず日本全土で、陸上配備型迎撃ミサイル「イージス・アショア」やオスプレイ配備などの基地強化の攻撃が進んでいる。これと対決し、「大行進」運動を軸に戦争・核戦争絶対阻止の大運動を巻き起こそう。百万人署名運動をその一環としてさらに発展させよう。

■三里塚

 三里塚闘争は今年、成田空港の第3滑走路建設・空港拡張攻撃との大決戦に突入する。国土交通省は昨年11月、基本計画を改定して4000㍍滑走路1本と3500㍍滑走路2本を備えた巨大空港の建設を正式に打ち出し、この2020年から本格的な用地買収攻撃を開始しようとしている。これは千数百軒の住民を住み慣れた土地から新たに追い出し、周辺全域を耐え難い騒音地獄にたたき込むものだ。そして安倍政権がもくろむ朝鮮半島への侵略戦争のための空輸と出撃の拠点となる、一大軍事空港の建設を狙うものだ。絶対に許してはならない。三里塚芝山連合空港反対同盟はすでに弾劾声明を発して、地元住民の怒りを組織する新たな闘争に全力で立ち上がっている。反対同盟と共に総決起しよう。
 市東孝雄さんの農地を守り抜く闘いはその最先端だ。日帝権力はこの農地強奪に三里塚闘争つぶしのすべてをかけて襲いかかったが、一昨年の請求異議裁判の一審不当判決から1年を経ても強制執行への着手などできず、人民の怒りの拡大に追いつめられている。この闘いはまた、日帝が推進する農業・農民つぶし攻撃との闘いの最前線でもある。農地死守の裁判闘争を断固として継続・発展させよう。三里塚現地での3・29全国集会に総結集して闘おう。

■福島

 2011年3・11の福島原発大事故から9年、「福島の怒り」をさらに大爆発させる決戦の時が来ている。日帝・安倍政権は東京オリンピックを最大の武器として「福島はもう安全」の許しがたいデマを全国・全世界に流し、原発再稼働反対の声を圧殺し尽くそうと必死になっている。だが原発事故は何一つ終わっていない! 今もなお続く放射能汚染の現実を直視し、子どもたちの命と未来を守る闘いは急務だ。「復興オリンピック」なるものの犯罪性を徹底的に暴き、被曝と帰還の強制を実力で打ち破る闘いに決起しよう。3・11反原発福島行動に全国から総結集して闘おう。
 日帝による福島圧殺攻撃の最先兵となっているのがJR資本だ。JRによる3・14常磐線全線開通の攻撃に対し、被曝労働拒否を掲げて真っ向から立ち向かっている動労水戸と固く連帯して立ち上がろう。
 「福島の怒り」の圧殺を狙う攻撃は、被爆者、被爆2世・3世の怒りと闘いを最後的に解体しようと狙う攻撃とも完全に一体である。東京オリンピックのさなかで迎える被爆75周年の8月広島・長崎闘争を改憲・戦争阻止の大闘争として闘おう。

排外主義うち破ろう

 日帝・安倍の改憲・戦争攻撃は、極右勢力の総動員による極悪の排外主義と全社会的な差別・分断・対立を激しくあおりながら進んでいる。またそれなしには貫徹できない。しかしこれは、労働者階級の中からこの排外主義と分断を打ち破る決定的な決起が開始された時、逆に敵の最大の弱点に転化する。
 入管闘争、部落解放闘争、女性解放闘争、障害者解放闘争などをはじめ、社会的差別とヘイト攻撃の歴史的な激化に怒りをもって立ち向かう人々の力、さらに言論・表現の自由や民衆の諸権利の圧殺、監視社会化などの攻撃に危機感を強めるあらゆる人々の力を、今こそ改憲・戦争阻止の一点に結集しよう。星野闘争が切り開いてきた地平に全面的に学び、安倍政権を実力で打ち倒す全民衆総蜂起にまで攻め上れるような一大統一戦線をつくりだそう。各地の「大行進」運動がその牽引車となって闘おう。
 杉並をはじめとする地域住民運動の前進、「軍服を着た労働者」である自衛隊兵士獲得の闘い、反弾圧・弁護士戦線の強化もその重要な一環だ。2020年、階級的労働運動の復権を軸に、闘う全人民の力を集めて勝利への道を切り開こう。

―Ⅴ― 革命に勝利する労働者の党を青年・学生とともにつくろう

 26全総は、党の変革の課題を明らかにするとともに、その変革の主体をつくりだした。革共同はこの地平に立って、2020年改憲阻止・国鉄決戦をとおして本格的な労働者党建設の飛躍的前進をかちとる。
 改憲阻止決戦を真に労働者階級人民の決戦とするための土台は、革共同の原点である3全総(1962年)で提起された課題を現代的にやりぬくことである。すなわち「労働運動内部におけるわが同盟の活動の方法と内容、行動の能力をいかにたかめるか、戦闘的労働者との結合を拡大しつつ職場細胞を基礎とした産別委・地区党の建設をいかにすすめるのか」(本多延嘉元書記長「3全総と革命的共産主義運動の現段階」)を実践と討論を通じてつかみとることである。
 セクト主義や空理空論を排し、職場の労働者、労働組合の状況をしっかりつかみ、踏まえながら、資本と労働者との矛盾・対立を職場の具体的闘争へと転化していくことが求められている。ここで重要なことは、「産別労働者委員会とその基礎である職場細胞は、このような闘争の前線にたった指導部であり、先頭部隊であり、産業別に生起する労働者の闘争と不断の交通を確保する革命の橋頭堡(きょうとうほ)である」(同)ということだ。だが、われわれはただちに次のことを確認する。「それゆえに、職業上の、また、産業別の偏狭な意識の革命党への侵入との困難な闘争にうちかたねばならないのであり、このような闘争は、同時に、全国的=階級的な革命党への統一の過程として実現されていく」(同)
 この「全国的=階級的な革命党への統一の過程」として、地区党建設がある。職場細胞(そしてあらゆる戦線における細胞)は、いくつかの細胞が集まった地区党の討議と実践をとおして、自身の組織と闘争をプロレタリア革命に向かっての闘いの全体の中に不断に位置づけ直し、党的全体性と革命への意識性をもった細胞として再び職場へ戻り労働者階級を組織化する。中央委員会と細胞の一体性(相互の変革と獲得)も地区党をとおして実現される。
 機関紙活動について、3全総政治局報告は次のように提起している。「われわれは『前進』や『最前線』(マル青労同機関誌)を同盟員や政治的同調者の狭い枠から解きはなち、職場で苦闘する戦闘的労働者のなかに大胆にもちこみ機関紙の購読をとおして政治的同調者に、そして同志に獲得していくというやり方に明瞭に転換するべきであろう」
 この機関紙活動は、職場で無差別に「ばらまく」ことではなく、また組合機関紙や職場ビラの代わりにすることではもちろんない。職場細胞が先頭に立って資本との具体的闘争を組織し、党と現場労働者の接近、信頼を実際につくりだす過程なしに、機関紙を「大胆に持ち込む」ことはできない。また機関紙は購読されてこそ党と階級を「実際に」結び付ける力になる。さらに「編集局に通信と紙代を送り、読者や細胞の批判を伝える活動」(3全総報告)を、中央と職場細胞・地区党の一体化をつくりだす党建設の基軸的活動として強化しよう。

非合法・非公然の党

 26全総は、「絶対に革命に勝利する党をつくる、この目的意識性において、非合法・非公然の党建設と合・非の厳格な区別と柔軟な結合を、党中央の責任においてかちとる」ことを確認した。労働者階級による政治権力獲得への道は、職場生産点での組織化を基礎に、工場・職場、地域、全国にわたる労働者の自主的組織―労働者評議会(ソビエト)を形成する革命的大衆行動によってのみ切り開かれる。この大衆行動が労働者権力の樹立にまで至るかどうかは、その行動主体の意識性次第であり、それを保障するのは党と労働者階級の結びつきである。
 そのためにも党は、戦時を含めいかなる時にも労働者階級全体との広く深い結びつきを形成しつつ、自らを非合法・非公然の党として建設しなければならない。それを保障するのは「あらゆる種類の合法的な労働者団体のできるだけ広い網に取り巻かれた非合法の党細胞」(レーニン)である。労働組合や大衆団体・地域の中に無数の細胞を建設し、人民大衆の無限の力に依拠するならば、どんな弾圧も粉砕できる。

青年・学生を先頭に

 もはや未来のない資本主義・帝国主義のもとで、誰よりも社会変革を求めているのは青年世代である。すでに全世界で青年・学生が続々と立ち上がっている。26全総は、革共同を青年・学生の党へ、もっと大胆に生まれ変わらせようと呼びかけた。マルクス主義青年労働者同盟、マルクス主義学生同盟をとおして革共同につながってきた青年・学生党員を最大の主体として、このことを絶対に成し遂げよう。革命の未来はここにかかっている。
 青年・学生を先頭に革命的共産主義運動の一大飛躍をかちとり、改憲阻止・日帝打倒―世界革命の道を切り開こう。(了)

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