『介護職のリアルと突破口』を推薦 杉並・介護医療福祉労働者 TK

週刊『前進』04頁(3096号04面03)(2019/12/23)


『介護職のリアルと突破口』を推薦
 杉並・介護医療福祉労働者 TK


「介護職の仲間に読んでほしい本」
職場で自分を取り戻す実践訴える

 「あらかん」さんが介護現場で働きながら書かれた『介護職のリアルと突破口 2012〜2018の記録と考察』(千葉合同労組発行)を一気に読みました。
 私も、介護の資格を取り、介護労働者の組合をつくったり、有料老人ホームで組合の職場委員をしながら11月集会に組織したり、ケアマネとして働きながら、医療介護現場の労働組合活動もしています。そうした私の体験からも、『介護職のリアルと突破口』は、介護現場の労働者を組織していくための必読本として、お薦めします。
 筆者は前書きで、「この本をいちばん読んでほしいのは、全国の同じ介護職の仲間です。仕事以外の時間はほとんど身体を休めるだけに費やされ、なんかこの仕事おかしいな?」「自分は相当無理をしてるな〜とか、本来自分はこんな人間じゃなかったと思って、職場で自分を取り戻すちょっとした実践をしてほしいと願っています。そうすれば、やがて労働者はつながることができるのではないかと思います」と述べています。
 筆者は最後に、「介護保険下での介護労働者は家族の無償労働の代替えではない。介護労働者の十分な人員配置と最低賃金制度を設け、落ち着いた職場環境で、専門家としての知識と経験を積んでもらうことが大事だ」と述べ、さらに「ケアというのは手助けする仕事。老人や障がい者と呼ばれる人から教えられることも多く、労働者に大きな幸福感をもたらしてくれるものなのです。次はそのようなテーマで書いてみたいです」と述べています。
 第1章は、介護労働のリアルです。
 筆者は、初めての介護職場である「お泊まりデイサービス・初めての介護現場」を書いています。無資格でも働ける職場として、民家を改造しただけの職場で、たった2人で10人までの認知症の高齢者の介護をする様子と、そこの職場での労働環境改善のための闘いを紹介しています。
 次に「高級有料老人ホーム・ハラスメント」として紹介しています。筆者自身が新人教育の現場でのモラルハラスメントを受けた実態を暴露し、闘いの報告をしています。
 第2章の「介護労働者の突破口」では、介護現場で、労働者としての権利を守りながら働くためのレシピを紹介。介護現場での労働組合のつくり方についても書いています。とても参考になります。
 第3章は、介護労働体験記として「格安有料老人ホームの正体」を現場で働いた労働者の立場から書いています。そこでの危険性として、「会社のルールがすべて。仕事への判断や決定の主体性が損なわれた状態で教育され、連日の過酷な労働でさらに判断力や分析力がもぎ取られる」と。一人勤務での休憩もない中での「介護」が、高齢者に対する「虐待」が起こる原因だとしています。
 介護労働者の団結をつくり、組合をつくるための絶好の本です。

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