全産別で評価制度粉砕を ランク付けで団結破壊許すな 草津病院労組の勝利に続こう

週刊『前進』04頁(3096号02面01)(2019/12/23)


全産別で評価制度粉砕を
 ランク付けで団結破壊許すな
 草津病院労組の勝利に続こう


 職場で広がる人事評価制度は労働者をランク付けして分断し団結を破壊する許しがたい攻撃だ。賃金・一時金カットや雇い止めの口実とされる。安倍政権や資本、当局が進める成果主義賃金や会計年度任用職員制度の土台だ。広島・草津病院労組はこれと闘い組合破壊の不当労働行為を粉砕した。この勝利に続こう。

不当労働行為と賠償認める判決

 広島連帯ユニオン・草津病院支部は2006年の結成以来、評価制度と闘ってきた。「国際労働運動」第51巻(19年12月1日発行)に掲載された闘いの報告は教訓に満ちている。
 組合は今秋、医療法人社団更生会・草津病院(広島市)による評価制度を使った組合員への賃下げを不当労働行為として損害賠償を命じる広島高裁判決と、評価の2段階引き下げによる再雇用拒否は不当労働行為とする中央労働委員会決定を確定させる東京高裁判決をかちとった。病院側は上告できず両判決が確定。判決を武器に新たな闘いが始まっている。
 組合は結成以来、定年後の再雇用をめぐる闘い、労働者代表選挙、労働時間や有給休暇をめぐる闘い、そして病棟再編の大合理化攻撃に対する08年10月ストライキに至る職場闘争を積み重ねてきた。病院の不当な労働者支配を暴き、評価制度に対する怒りをあふれさせて団結と組合への支持を拡大してきた。その地平の上に、ストの前に「人事考課表」提出拒否闘争を開始。そして長年の闘いを通して、ついに労働委員会や裁判でも組合側の主張を認めさせたのだ。
 今や医療現場をはじめあらゆる職場で、評価制度を使った労働者分断・団結破壊、賃下げと雇い止め、組合破壊が横行している。これに対して労働組合に団結して闘いぬけば勝利できる展望を示したのである。

「公正・公平」のうそを暴き闘う

 病院はよりもうかる医療分野の選択と非正規職化、差別選別・解雇自由の大合理化を狙い、評価制度を核とする新賃金制度を導入してきた。制度は「職員一人ひとりの能力向上のため」「良い評価を受ければ賃金が上がる」と宣伝した。しかし「公正・公平な評価」などありえない。賃金・昇給昇進とリンクして職場に競争・分断を持ち込み、首を切りたい労働者には最低評価が付き、会社側が取り込み管理職に昇進させたい労働者には高評価が付く。サービス残業を強要し職場の安全と人間関係を破壊する。新自由主義の労働者政策の根幹をなす攻撃だ。
 そもそもチームワークで成り立つ医療現場、精神科の病院に評価制度を導入すること自体が不合理であり現場の怒りは大きい。病院の評価基準(表)を見てほしい。最低評価の「D」ランクとは「周囲に悪影響を与えるレベル」とされる。労働組合を嫌悪しつぶそうとする意図は明白だ。
 組合は春闘アンケートの上に、08年10月「評価制度はいらない」など五つのスローガンを掲げてストに決起。人事考課表提出拒否の闘いに、病院は処分の脅しと評価の2段階引き下げを行ってきた。さらに闘いの波及を恐れ病院と結託した警察権力は10年6月、当時の支部委員長を「窃盗罪」ででっち上げ逮捕。露骨な労働組合つぶしだ。この不当弾圧に怒った青年が組合員通告を行い、弾圧を粉砕する決定的な力となった。

労働者の怒りを組織して闘おう

 組合当該は述べている。「闘い方は一様ではない。提出を拒否することは大変な決断だ。労働者にとっては賃金削減で打撃を受けるし、管理職との関係も緊張するようになる。また一人で拒否するだけでは、職場の団結は作れないかもしれない。戦術はいろいろあってよい。人事考課制度は労働者全員が屈服すればデタラメがいくらでもまかり通る。それが経営者の狙いだ。しかし組合が労働者と情報を交換して職場で可能な闘いを組織すれば、評価が恣意(しい)的でデタラメであるがゆえに必ず矛盾が見えて、闘いの芽が出てくる......労働組合が立って職場全体と結びつき、団結の強化を総括軸に大衆的で柔軟な闘いを組み立てるなら、必ず粉砕できる」
 危機に立つ安倍政権は、改憲・戦争と組合破壊に絶望的な延命の道を見い出そうとしている。労働者の団結破壊ぬきには搾取の強化も反乱を抑え込むこともできない。その攻撃の核となるのが評価制度だ。
 経団連は、評価制度に基づく成果主義賃金への移行を、年功賃金制の廃止と共に主張し、推し進めようとしている。安倍政権の意を受けた人事院・人事委員会は公務員への評価制度の拡大を勧告。自治体の会計年度任用職員制度は、評価制度と試用期間で労働者を縛り解雇自由にすることを狙う。新規採用教員の評価による解雇が横行し、郵政職場での非正規職へのスキル評価に対して憤激が高まっている。こんなランク付けで賃下げされ解雇されてたまるか! 理不尽な攻撃に怒りが満ちている。団結を総括軸に現場の思いを総結集し、全産別で評価制度粉砕へ闘おう。

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草津病院の評価基準
上司までにも良い影響を与えるレベル
周囲・同僚に良い影響を与えるレベル
決められたことをきちんとこなすレベル
本人のみが後ろ向きのレベル
周囲に悪影響を与えるレベル
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