焦点 日本とインドが初の2プラス2 対中対決で軍事協力宣言
焦点
日本とインドが初の2プラス2
対中対決で軍事協力宣言
●9条踏みにじる改憲攻撃
日印両政府は11月30日、初の外務・防衛担当閣僚会議(2プラス2)をインドの首都ニューデリーで開いた。今後軍事協力を進めていくことで一致し共同声明を発表した。次回は東京で開くとしている。
共同声明の内容は、軍事一色である。①自衛隊とインド軍の「物品役務相互提供協定(ACSA)」の年内締結をめざす、②日本で初の日印合同の戦闘機訓練を行う、③陸上無人車両や軍事用ロボットなどの兵器の共同研究・開発を進める、④南中国海や北朝鮮問題で協力する----などである。これらの軍事協力は、「戦争放棄」「戦力不保持」を規定した憲法9条を踏みにじる既成事実を積み重ね、自衛隊明記=9条空文化の明文改憲に持ち込もうとするものである。
インドのモディ政権はこの夏、イスラム教徒が多数を占めパキスタンと領有権を争う北部のジャム・カシミール州の自治権を剥奪(はくだつ)するなどの強権的な政治を進めている。安倍政権はそうしたモディ政権の反人民的政治をすべて容認し、アメリカ帝国主義・トランプ政権と一体となって「自由で開かれたインド太平洋」という美名で軍事協力を強めている。
●戦争のためACSA締結
①のACSAは、弾薬や燃料、食料などの物資を融通したり、輸送・医療などの役務で相互に協力するものであり、共同訓練・共同作戦のためのものである。自衛隊はこれまで米英仏加豪と結んでおり、インドは6番目の締結国となる。15日から安倍がインドを訪問し、モディ首相と日印首脳会談を行い、ACSAを締結する方針である。
②は、来年インド空軍の部隊が日本に来て行われる。海上自衛隊はすでにインド海軍と、南中国海での機雷掃海や対潜水艦の共同訓練を重ねている。陸上自衛隊は昨年インドを訪れ、インド陸軍と「対テロ」の共同訓練を行った。今回の合意は、陸海空のすべてで共同訓練を一層拡大しようとするものである。
③は、これをきっかけに日本が日本製の兵器をインドに積極的に売り込む狙いがある。11月に幕張メッセ(千葉市)で世界最大規模の国際兵器見本市(DSEI)が初めて日本で開催され、三菱重工業、川崎重工業など日本企業約50社、海外企業約100社が出展した。こうした米日欧の兵器メーカーにとって、人口13億のインドは兵器売り込み競争の熾烈(しれつ)な戦場である。明治以来、戦争で肥え太ってきた三菱重工などの戦犯企業は安倍政権のもとで、再び「死の商人」として武器輸出に延命の道を求めている。
●日米安保のグローバル化
新たな日印軍事協力は、米トランプ政権の中国・習近平政権に対する対決政策と一体であり、その一翼を担うものである。中国は南中国海の軍事拠点化や「一帯一路」経済圏構想を進めている。没落著しい米帝は、中国の対抗的な台頭を粉砕しようと対決策を強めている。
その一環として米軍は昨年5月に太平洋軍(司令部ハワイ)を「インド太平洋軍」と名称変更した。在日米軍もこの傘下にある。11月に来日したミリー米統合参謀本部議長は、「単なる名称変更ではなく、戦闘や指揮においても変化し、この地域の重要性を強化するものだ」と述べている。
日印軍事協力はこうした米帝の対中戦略と連動し、日米安保の全アジア・太平洋―中東への拡大を狙うものである。「調査・研究」名目での自衛隊の中東派兵と一体である。断じて許せない。
だが、韓国のろうそく革命、香港の200万人デモと実力闘争など、アジア全体が激動を迎えている。この中で、日米安保はアジア人民すべてと激突するものであり、日本帝国主義の弱点、破綻点だ。沖縄の辺野古新基地建設反対の闘いをはじめ、世界大恐慌下で日米安保の危機と矛盾はいよいよ深まっていく。改憲・戦争阻止、日米安保粉砕の闘いを爆発させ、巨大な激動情勢をプロレタリア革命の勝利に転化しよう。