女川原発の再稼働許さない 3・11大事故を繰り返させるな
週刊『前進』04頁(3092号02面04)(2019/12/09)
女川原発の再稼働許さない
3・11大事故を繰り返させるな
原子力規制委員会が11月27日、東北電力女川(おながわ)原発2号機(宮城県、出力82・5万㌔ワット)が新規制基準を満たしているとの審査書案を了承した。これは、事実上の再稼働認可だ。絶対に許せない。
原発を動かせば、2011年の3・11福島第一原発事故のような核惨事が再び起こる。
女川原発も震災時大事故寸前だった
忘れてはならないのは、3月11日の大震災では、福一原発と同じく大地震と津波に襲われた東日本の太平洋岸に立地する福島第二原発、女川原発、東海第二原発(茨城県)のいずれもが大事故寸前だったことだ。女川原発では震度6弱の地震で敷地の地盤が約1㍍も沈下し、最大13㍍の津波が到来した。それにより1号機は地震直後にタービン建屋地下で火災が発生し、変圧器が故障して外部電源が使用不能となった。非常用ディーゼル発電機で11時間もしのぎ、事故を免れたのだ。2号機では原子炉建屋の地下が浸水し、非常用発電機3台のうち2台までが起動できない状態になってしまった。4月7日の余震でも、5系統ある外部電源のうち3系統が使用不能に陥った。残りの1系統が点検中だったことから、最後の1系統で冷却を続ける事態となったのだ。
地震や津波の発生は今後も避けられない。特に女川原発が面している宮城県沖は、1923年から2011年の大震災までにマグニチュード7級の地震が6〜7回発生しており、今後30年以内に発生する確率は90%もある。
3・11では、女川原発は寸前のところで大事故を回避できたにすぎない。大事故となった福島第一と女川は、紙一重の違いでしかなかった。こんな事態を二度と繰り返してはならない。
原発は、万が一、大事故を回避できたとしても人類にとって有害であり、廃炉にする以外ない。例えば100万㌔ワットの原発を稼働すると、たった1日で広島型原爆3発分、1年では1千発分もの「死の灰」が生み出される。しかも、この「死の灰」を原発内に完全に封じ込めておくことなどできない。原発は日常的に気体や液体の放射能を外界に放出しているのだ。そのため、原発で働く労働者や周辺住民を絶えず被曝させ健康を破壊し、じわじわと命まで奪っていくのだ。
今も継続している福島第一原発事故
そして大事故となってしまえば、これが外界に放出される事態となる。福島第一原発事故では、放射性物質(死の灰)のうちセシウム137だけで1・5×10の16乗ベクレルもの量、広島原爆にすると168発分もが大気中に放出された。これだけの放射能が福島や東日本一帯と太平洋を汚染し、今もそのほとんどが残ったままだ。福島原発も収束の道は遠い。3・11大事故は今も継続中なのだ。
1968年1月、東北電力が女川原発の建設を決定すると、周辺の漁民などが反対運動に立ち上がり、77年5月には「女川原発絶対阻止県民1万人集会」を開催するなど激しい闘いを展開し抜いた。この闘いを引き継ぎ、宮城の漁民・労働者・学生とともに女川原発の再稼働を阻止しよう。