卸売市場条例改悪阻もう
　都が仲卸と公的市場つぶしを策動

　２０１８年に安倍政権が大改悪した卸売市場法の来年６月21日からの施行にあわせ、東京都は卸売市場条例改悪案を今年12月の都議会に上程し可決を狙っている。10月28日に提示し11月５日の卸売市場審議会で了承された同条例と同規則の改悪の中身は、「食品流通の合理化」「取引の活性化を図るための規制緩和」と称して、公的卸売市場制度を根幹から破壊・解体し「仲卸はいらない」とするすさまじい規制緩和である。さらに都は、市場会計の赤字を口実として11中央卸売市場（表）の「民間経営手法の検討」を含む経営計画を来年度末までに策定するとしている。「公設卸売市場などいらない」として民営化に突き進もうとしている。

市場の赤字口実に民営化を狙う

　国鉄分割・民営化の時と同様に、「赤字の責任は公的卸売市場にある」とすり替えるデマ宣伝で公的市場をつぶし、資本による市場の私物化を狙う大陰謀だ。
　小池百合子知事は５日の審議会後、「丁寧な審議と（市場の）皆さんの声を聞くことが必要だ」と白々しく述べた。だが、大多数の仲卸の仲間の移転反対の声も決議も無視し踏みにじって豊洲移転を強行し、営業権を掲げて築地で営業を継続した仲卸に営業停止処分まで行ったのが小池だ。小池は東京魚市場卸協同組合（東卸組合）の一部幹部だけを合意させ、市場で働く仲間に対する説明の場すら全く持たず、東卸がアリバイ的な説明をして強行しようとしている。仲卸の権利を奪い生業を破壊する条例改悪に怒りが爆発することを恐れているのである。

大資本優遇する大幅な規制緩和

　都の条例案は卸売市場の取引の規制を大幅緩和し、卸売業者・仲卸業者の業務の許可制を廃止する。卸売業者と仲卸の目利きによって品質重視で公正に価格が決定されてきた卸売市場のシステムは徹底的に破壊され、市場流通の独占を狙う大資本やアマゾンなどの多国籍資本が独占価格を設定できるようになる。
　仲卸の倒産・失業が加速され市場で働く仲間の解雇にも直結する。市場流通を牛耳る大資本は生産者を買いたたく一方、売り惜しみや価格のつり上げで過剰な利益を得ることも可能となる。食の安全の崩壊にもつながる。消費者にとっても絶対反対あるのみだ。
　都は「国が法律を変えたのだから条例を改定することは当然」とミスリードしているが、法律が改悪されても自治体が条例を改悪する義務はなく、現行の規定を維持することは全く可能である。実際に札幌市は「卸・仲卸・買い受け人による市場流通を堅持」をはじめとして現行の規定をほぼ残すことを決定し、市議会に提出する。仙台市は卸売業者や仲卸業者らを対象にアンケートを実施し、引き続き同市が市場の開設者となると決定した。だが都は仲卸へのアンケートも行わないで、とんでもない改悪を押し通そうとしているのである。
　国の卸売市場法改悪では従来83あった条文が19にまで削減された。都道府県や人口20万人以上の市に限っている中央卸売市場の開設要件を撤廃し、民間事業者でも「中央卸売市場」を名乗り開設できるとした。さらに卸や仲卸の許可制度も全部が削除された。「せり売り」や「市場外取引の禁止」など売買取引の規定も廃止され、市場の開設者が自由に取引ルールや施設の使用料を定めるとした。仲卸の必置義務もなくし、せりもなくそうとしている。

１２月都議会での改悪強行阻止を

　これを受けて都が成立を狙う条例改悪は、①卸売業者が仲卸業者以外に商品を売る「第三者販売」を原則禁止してきた規制を撤廃し（せり・入札を除く）相対品目については仲卸業者以外にも販売できるとする、②産地から卸売業者、仲卸業者を通さず直接に取引する商物分離を自由化する、③仲卸業者が卸売業者を介さずに生産者などから直接商品を仕入れる「直（じか）荷引き」の原則禁止を廃止する、④卸売業者、仲卸業者の業務の許可制度を廃止し単なる施設の使用許可とする、などである。
　これらの規制緩和は、１９１８年の米騒動を経てつくられた市場での取引の規制を廃止するものであり、卸売市場制度を廃止するに等しい。公的卸売市場の破壊と民営化は、市場の管理・運営を担う都の労働者の団結と職場を奪う労組破壊だ。市場で働く全ての仲間と都の労働者はともに、仲卸と公的卸売市場の命を絶つ条例改悪に絶対反対の声を上げよう。

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東京都に11ある中央卸売市場

場名　　　　部類
豊洲　　水産　青果
食肉（芝浦）　 食肉
大田　　青果　水産　花き
豊島　　青果
淀橋　　青果
足立　　水産
板橋　　青果　花き
世田谷　青果　花き
北足立　青果　花き
多摩ニュータウン　青果
葛西　　青果　花き