労基法を解体する歴史的攻撃 労使協定なしに条例で導入 労働者性を否定する給特法
週刊『前進』04頁(3088号02面02)(2019/11/25)
労基法を解体する歴史的攻撃
労使協定なしに条例で導入
労働者性を否定する給特法
公立学校への「1年単位の変形労働時間制」は、8時間労働制を解体・一掃し、給特法改定で労働基準法を無視・抹殺する、全労働者にかけられた歴史的な大攻撃である。そして、労働条件の根幹である労働時間規制の改悪は、戦後労働法制の解体を通して「労組なき社会」をつくり出す重大な攻撃と見なければならない。
変形労働時間制は「1日8時間、週40時間」という労基法で定められた「最低基準」を逸脱する。繁忙期には労働時間を最高1日10時間、週52時間まで延ばし、閑散期は短くするか休日にする。だから労働者の健康と生活を守るために、対象者や対象期間、労働日ごとの労働時間を労使協定で締結することが導入に際して義務付けられている。
地方公務員の場合、地方公務員法上、変形制は適用除外とされてきた。
ところが今回、労使協定もなしに自治体の条例で教員に導入するというのだ。
労使協定は当該労働者との同意を必要とするが、条例での導入はこれを必要としない。労使対等を原則とする労基法を踏みにじるものだ。
また改定案は労基法の重大な変更を給特法で読み替えようとしている(労使「協定」を「条例」に読み替えて教員に適用する)。こんなやり方を認めたら、憲法も労基法も簡単に改悪されてしまう。これは憲法も労基法も解体するクーデターである。
今求められていることは、給特法廃止へ教職員組合が絶対反対の声を上げることだ。
給特法制定の1971年以前、教員は労基法上の8時間労働制のもとにあり、超勤手当を要求する権利を有していた。それが教員が労働者として闘う重要な武器となっていた。また訴訟を起こせば日教組が勝訴する状況だった。
だが給特法は、4%の教職調整額と引き換えに、労基法上の超勤手当条項を適用除外にした。その根拠は、教員の勤務は「自主性・自発性」に基づくものだから時間で計量化できないとする教師「専門職」論(形を変えた教師「聖職論」)であった。教員の労働者性を否定し、日教組の弱体化を狙った重大な攻撃である。背景には戦後教育政策の転換を狙った71年中央教育審議会答申があった。
そして今日、安倍政権は改憲・戦争に突進し、戦争教育と教育の民営化を本質とする新学習指導要領を貫徹しようとしている。だが現場では「定額働かせ放題」で過労死レベルの労働を強いられてきた怒りと不満が充満している。だからこそ安倍政権は、教育労働者の決起を恐れて、労働者として団結することを破壊するために、労働者性を否定する給特法の維持に固執しているのだ。
しかし安倍政権は崩壊の危機に立っている。安倍―萩生田文科相を倒し、過労死のない社会へ、教育労働者は全労働者と連帯して闘おう。