大幅賃下げ・団結破壊許すな 東京23区で2年連続マイナス勧告 特区連 昨秋に続き総決起を
週刊『前進』04頁(3082号02面01)(2019/11/04)
大幅賃下げ・団結破壊許すな
東京23区で2年連続マイナス勧告
特区連 昨秋に続き総決起を
10月21日、東京・特別区(23区)人事委員会は、月例給平均2235円削減という大幅賃下げ勧告を行った。昨年の1~2万円賃下げ勧告に続く2年連続の大攻撃だ。18秋闘では特区連(特別区職員労組連合会、4万人)と東京清掃労組(4500人)は総力で闘い、ストライキの力で最悪の人勧実施を阻止した。労働組合の闘う団結を固め、19秋闘に総決起しよう。
東京の自治体労働者狙い撃ち
国家公務員への人事院勧告や全国の自治体の人事委員会勧告は、民間賃金との比較でごくわずかとはいえ賃上げを求めている。それに対して、物価・家賃などが全国で最も高い東京・特別区の人事委員会だけが基本給の大幅マイナス勧告を行った。10月からの消費税増税と医療・介護保険料などの軒並みアップで生計費が大幅に増えている。10月から東京の最低賃金は1013円に上がった。そうであるにもかかわらず、マイナス人勧とは東京23区の自治体労働者を狙い撃ちする賃金破壊・生活破壊だ。公務員の賃下げは労働者全体の賃金水準を引き下げる役割を果たす。攻撃は民間労働者に波及することになる。
評価制度で分断の勤勉手当増額
昨年4月に導入された特別区の新人事制度は、それまでの多くの主任・係長級職員を下位に落とした。その状況は今年も変わっていない。人事委員会はそこにつけ込み、昨年と同様に役職の低い民間労働者との比較を行うことで、再び大幅賃下げを勧告した。同時に、新規採用者の初任給だけは「人材確保の観点から据え置き」とした。何が「人材確保」だ。高卒新採労働者の時間当たり賃金は、地域手当などを含めなければ最低賃金以下だ。賃金は評価制度や試験で昇級・昇格しなければわずかしか上がらない。それも50歳で頭打ちになる。青年労働者には初めから「一生低賃金」が押し付けられているのだ。労働条件・職場環境の悪化で、希望を見いだせず離職を余儀なくされる青年が増えている。基本給引き下げは、それを一層進めることになる。
特別区人勧は大幅賃下げの一方で、一時金は「勤勉手当」の形で増額するとした。しかし勤勉手当とは何か。「勤勉かどうか」を管理職が評価・判断して、手当額をプラスにもマイナスにもできる許しがたい仕組みだ。労働者は管理職に対し意見を言えなくなる。わずかの原資をめぐって労働者同士の競争になる。職場の労働者を分断し団結を破壊する攻撃だ。
人事委員会は、この勤勉手当のアップで「年間給与は約2万2千円の増」だと強弁する。しかし基本給を大幅に下げることと評価制度に基づく勤勉手当を増やすことはまったく違う。基本給は全ての基準だ。基本給削減はイコール生涯賃金削減であり、現に退職金だけで14万円も減らされる職員が出る。非正規職をはじめ職場の全労働者の賃下げに直結する。
労働組合再生し賃下げ絶対阻止
10月11日、安倍政権は自治体に国や民間を上回る賃金分の削減と評価制度の徹底を求める閣議決定を行った。公務員を水路に賃金破壊・団結破壊を進めようとしているのだ。その意を受けて特別区人事委員会が極悪の勧告を出した。これまで人勧制度は公務員労働者のスト権など労働基本権制約の「代償措置」であるかのように言われてきた。しかしその制度を人事委員会が自ら踏みにじったのだ。これに屈するわけにはいかない。職場を日々回している労働者の最大の武器は団結の力だ。怒りを解き放とう。昨秋に続き、ストで闘う労働組合の団結をよみがえらせよう。賃下げ絶対阻止・一律大幅賃上げ、評価制度廃止・新人事制度撤廃へ闘おう。