国鉄解雇めぐり反動判決 千葉県労委の審理拒否を容認

週刊『前進』04頁(3082号01面02)(2019/11/04)


国鉄解雇めぐり反動判決
 千葉県労委の審理拒否を容認

(写真 裁判後の総括集会で、動労千葉の関道利委員長が反動判決を弾劾し11・3集会の大成功で反撃に立とうと訴えた【10月29日 千葉市】)

「絶対諦めず闘う」

 国鉄分割・民営化による組合員の解雇の撤回を求めた動労総連合の申し立てを、まともな審理もせずに打ち切った千葉県労働委員会を弾劾する裁判で、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)は10月29日、不当な却下判決を出した。裁判長は判決主文だけを読み上げて、逃げるように法廷から姿を消した。この判決は絶対に認められない。
 昨年5月、動労総連合は国鉄分割・民営化による解雇の撤回を求め、千葉県労働委員会に申し立てた。しかし千葉県労働委は一切の事実調べもせずに結審を宣告した。動労総連合は事件の審理を担当した村上典子公益委員の忌避を申し立てたが、それも拒否された。
 これに対し動労総連合は昨年10月に裁判を起こし、村上委員の忌避を認めること、裁判の判決確定までは県労働委での審理を停止することを求めた。ところが県労委は裁判継続中の今年5月、動労総連合の申し立てをすべて否定する不当な却下決定を出してきた。
 裁判で動労総連合は、その不当性を徹底的に追及した。裁判長も一時はこの問題に強い関心を示した。
 しかし、29日に出された判決は、「原告の訴えは裁判所で扱う問題ではない」という門前払いの却下判決になった。県労働委が事実調べもせずに却下決定を出したことや、公益委員の忌避を認めなかったことは、中央労働委員会で争えばいいと言うのだ。
 判決はまた、県労働委が原告の権利を侵害したことも否定した。だが、労働委に不当労働行為を申し立てても審理もなされずに切り捨てられて、どうして労働者の権利が損なわれていないと言えるのか。
 裁判後の総括集会で、動労千葉争議団の高石正博さんは「敵は解雇の真相に触れることを嫌がっている。ならばわれわれはそこを突き、あきらめずに闘う」と表明した。動労千葉の関道利委員長も「われわれが国鉄解雇の真相を暴いた。県労働委も裁判所もその中身に踏み込むことを恐れている。真相をさらに明らかにし解雇撤回まで闘う」と宣言し、11・3労働者集会で総反撃に立とうと訴えた。

示された敵の危機

 国鉄分割・民営化に際し動労総連合の組合員らをJRから排除するための不採用基準の策定が不当労働行為だったことは、15年6月の最高裁決定で確定している。動労総連合はさらに、その基準がJR設立委員会によって作られた事実を暴いた。したがって、JRには解雇を撤回する義務がある。これは、国労の裁判などで出された「国鉄労働者の解雇が不当だったとしても、その責任は旧国鉄にあってJRにはない」という最高裁判決を根本から覆すものだ。
 国鉄分割・民営化による1047名の解雇を撤回させれば、それ以来の民営化・外注化・非正規職化の攻撃は打ち砕かれ、安倍の「働き方改革」も総破産する。解雇の真相を暴かれて危機にあるのは国家権力とJRだ。だから今回の反動判決が出されたのだ。本来は労働者の団結権を擁護すべき労働委員会も安倍の手先になっている。これは全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への弾圧やJRの労組解体攻撃と一体だ。
 国鉄解雇撤回闘争を復権させよう。それは闘う労働運動を取り戻す原動力だ。

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