広島 拡声器条例で公開討論会 深まる議論、反対署名も開始
週刊『前進』02頁(3081号02面04)(2019/10/31)
広島
拡声器条例で公開討論会
深まる議論、反対署名も開始
(写真 会場の参加者からも積極的な意見が相次いだ【10月22日 広島市】)
10月22日、「ヒロシマの危機にどう立ち向かうか」と題して、8・6ヒロシマ大行動実行委員会の主催で拡声器規制条例に関する第2回公開討論会が行われました。
広島市が8月6日の式典参加者に行ったアンケートでは、条例などの規制よりも話し合いを求める回答が多かったにもかかわらず、松井一実・広島市長は10月3日の記者会見で、あくまでも条例規制を含めた対応策を検討していると表明しています。
公開討論会には70人が参加。8・6実行委員会事務局長の宮原亮さんが司会を行い、柿木伸之さん(広島市立大学教員)、山田延廣さん(弁護士)、福井利明さん(広島市職員)の3人のパネリストが、それぞれの視点から提案を行いました。
柿木さんは、「公権力によって表現の自由が奪われる。異なった立場の人が出会い対話する空間が閉ざされつつある。この息苦しさ」と、あいちトリエンナーレの問題を取り上げ、「なぜ今、規制なのか? 人権を『公益及び公の秩序』に従属させる憲法改定に向けて利用しようとしている」と口火を切りました。
山田さんは、「デモや拡声器の使用は、経済的に貧しい庶民が心に思っていることを対外的に訴える最も有効な手段。憲法の中で最も大切なのは表現の自由だ。規制は違った意見を持つ者同士が討論で合意を形成する機会を奪うもの。民主的な討論の対極には戦争がある」と、規制条例反対の立場を鮮明にしました。
福井さんは、「核兵器禁止条約に反対する安倍首相に対して、抗議の声を上げるのは当然の権利。松井市長のトップダウンのやり方に対して、市の内部から声を上げることが大切だ。世界のヒロシマで規制条例をつくらせるわけにはいかない」と決意を述べました。
参加者からは、広島大学での文化活動に対する補助の打ち切り、天皇「即位の礼」への怒り、ヘイトスピーチの問題、教育労働者の現状の訴え、平和公園の原点とは、等々の意見が次々と出されました。これらの意見に対応したパネリストの発言が互いにかみ合いながら、「公とは?」、「民主主義とは?」をめぐって討論が深まりました。
討論の終盤で、「8月6日は広島市民にとっての第一優先は原爆犠牲者への祈りであり、様々なデモが不快」という、ある市民からのメールが司会から紹介され、この意見について参加者で考えました。
山田さんは「祈っただけでは平和は来ない。行動が重要」と。柿木さんは、「1人の思いを一般化するのは危険。慰霊することの意味や現在の時代背景を考える必要がある」と述べ、私たちの今後の課題として、多様な意見と向き合いながら日常的に広く伝える必要性を訴えました。
参加者からは、「平和公園の慰霊碑には、慰霊と誓いの言葉が刻まれている。誓いは実践を伴う」「何が正しいのか皆で討議する。間接民主主義(代議制)のもとで、特殊な専門集団としての政治家という分業が発生し、労働者が自らの政治的能力を育成する機会を奪ってきた。間接民主制のもとでこそ、直接民主主義の運動が重要」という意見も。「まだまだ話し足りない。次回へ!」と、今後の公開討論への期待が高まる中での閉会となりました。
この日より、「拡声器規制条例反対署名」がスタートしました。これまで以上に広く深く、これまでの枠を越えて運動を大きくしていきたいと思います。
(8・6ヒロシマ大行動実行委員会 M)