中東へ自衛隊増派狙う安倍 石油をめぐる戦争に踏み出す
週刊『前進』04頁(3080号03面02)(2019/10/28)
中東へ自衛隊増派狙う安倍
石油をめぐる戦争に踏み出す
10月18日、安倍政権は中東のホルムズ海峡周辺のオマーン湾などへ新たに自衛隊の派兵を検討することを決定した。中東の石油をめぐる争いに、日本帝国主義が参戦していくための決定的な一歩を踏み出そうとしている。菅義偉官房長官は、米トランプ政権が呼びかける有志連合・海洋安全保障イニシアチブには当面参加しないとする一方で、アメリカとは緊密に連携していくと述べた。
内閣改造を経て、天皇即位儀式のキャンペーンとともに臨時国会での改憲発議の強行を狙いつつ、改憲を待たずに自衛隊の侵略派兵へと踏み出そうとしているのだ。絶対に許せない。
国会で議論せずに防衛相判断で派兵
今回の自衛隊派兵の検討は、安倍が首相官邸で開いた国家安全保障会議(NSC)の会合で直接指示したものだ。菅官房長官は記者会見で、派遣先としてホルムズ海峡東側のオマーン湾、アラビア海北部の公海、バブルマンデブ海峡東側の公海を挙げた。派兵の根拠としては、防衛省設置法の4条にある「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行う」という規定に基づくとしている。この「調査・研究」での派兵は国会の承認が不要とされ、河野太郎防衛相の判断で実施されることになる。国会での論戦を嫌い、労働者人民の怒りに恐怖していることの現れだ。
中東にはすでに「海賊対策」と称して、ジブチに拠点を置いて海上自衛隊の護衛艦とP3C哨戒機がソマリア沖のアデン湾に派遣されている。帝国主義としての延命をかけて、自衛隊の中東への大量増派・参戦を狙っており、それを今後どのように拡大していくかの「調査・研究」が今回の派兵の狙いなのだ。
11・3集会の成功で改憲をとめよう
「調査・研究」を理由にしていることから日本のタンカーなどの船舶の護衛は主目的にはならないとされるが、攻撃を受けるなどした場合は自衛隊の武器使用が可能となり、他国軍が交戦状態になった場合には集団的自衛権の行使という形で参戦もありうる。ホルムズ海峡周辺は、今年5月から船舶への攻撃が続き、アメリカ、ロシア、イランがそれぞれの有志連合を画策し、軍事的ににらみ合う石油資源のぶんどりあいの戦場となっている。安倍政権は今回、2015年9月に強行成立させた安保戦争法をただちに発動することや、新たに特別措置法を成立させた上で自衛隊を派兵するといったやり方を避けた。国会で論議が紛糾し、安保戦争法の時のように労働者人民の闘いが起こることで、臨時国会での改憲論議が停止されることを恐れたからだ。
だが、安倍が狙う改憲の行き着く先は、資源のぶんどりあいのために自衛隊員を戦地に送りだす戦争国家だ。自衛隊派兵と改憲に絶対反対で闘おう。国際連帯で戦争をとめよう。11月3日、日比谷に大結集し労働者集会と改憲阻止!1万人行進を大成功させよう。