ライドシェア導入阻止へ タクシー労働者の統一ストを

週刊『前進』04頁(3078号03面04)(2019/10/21)


ライドシェア導入阻止へ
 タクシー労働者の統一ストを


 「自家用車ライドシェア=白タク合法化」をめぐる数年来の攻防が全く新たな段階に突入しようとしています。安倍・自民党政権が「白ナンバー車での有償旅客運送」を可能とする制度の創設を打ち出し、白タク合法化に大きく道を開く道路運送法の改定を閣議決定したからです。
 政府の未来投資会議は6月5日、「白ナンバーの自家用有償旅客運送に参画・協力する制度の創設」を決め、6月21日には「経済財政運営と改革の基本方針2019」と「成長戦略実行計画案」を閣議決定。その中で「マイカーの有償運送にタクシー事業者が参入しやすくする」と明記し、道路運送法の改定案を来年の通常国会に提出すると宣言したのです。
 この攻撃と全面対決し、「ライドシェア導入阻止の統一スト」を目指して闘うタクシー労働運動の創出が強く求められています。

「白タク合法化」に対し全世界で反撃

 ライドシェアとは、一般の自家用車ドライバーが有償(有料)で客を運ぶことです。利用者がスマートフォンで出発地と目的地を入力すれば最寄りの登録ドライバーが自家用車で到着・運送し、事前登録のクレジットカードで運賃を決済する仕組みです。
 米国ウーバー社が、こうしたスマホアプリの使用手数料を収益として成り立つライドシェア事業をアメリカ西海岸で創業したのが2009年。わずか10年でウーバーによるライドシェアは世界84カ国・632都市に拡大し、登録ドライバーは300万人、利用客は7千5百万人に及ぶと言われています。しかし、アメリカはもとより各地で自家用車ドライバーによる誘拐や暴行、恐喝や強盗などの事件・トラブルをめぐる裁判が頻発し、多くの国や都市で営業停止や禁止命令が続出。フランスやスペインではウーバー反対のデモやゼネストも闘われています。
 韓国では、韓国最大の無料通信アプリ「カカオトーク」によるライドシェア・サービス導入に反対するタクシー労働者の焼身抗議が相次ぎ、昨年12月には12万人の労働者がライドシェア導入反対のスト・デモに立ちました。
 私たち民間交運・タクシー部会の仲間でもある北海道・札幌の「自交総連SKさくら交通労組」も、17年12月と昨年6月、職場課題とともに「ライドシェア導入阻止・統一スト」を訴えて2波の24時間ストに立ち上がりました。

道路運送法改定し規制の全面緩和へ

 「19年版・骨太方針」及び「成長戦略実行計画案」は「交通事業者が協力する自家用有償旅客運送制度の創設」という項目を設けています。その中では、ライドシェアは「地域の暮らしの足の確保のために意義がある」「地方公共団体と利用客の双方にメリットがある」などとし、そのために必要な法案について、20年の通常国会に提出を図るとしています。さらに、ライドシェアを「地域住民だけでなく、外国人観光客4000万人時代も見すえ、観光客も対象とする」というのです。
 これは、道路運送法を改定し、ライドシェア導入=白タク合法化の全面化・全国化に道を開く重大攻撃です。16年から交通過疎地を「国家戦略特区」にして限定的に容認されてきた白タク合法化攻撃を一挙に全国化しようとするものです。

安全解体許さない闘う労働運動を!

 国家戦略特区指定を受けた京都府京丹後市などで16年、地元のNPO法人が運行主体となりウーバーの配車システムを導入する形で「白ナンバー車」による有償運送がスタートしました。私たちは当時、この攻撃を白タク合法化の突破口として徹底的に弾劾しました。今まさに、私たちが指摘し危惧していたとおりの事態が進行しています。国家戦略特区で限定的に始まった白タク合法化が、来年早々の通常国会で道運法改定という形で推し進められ全面化・全国化されようとしているのです。この事態を見すえ、今こそ全力で闘わなくてはなりません。
 自家用車ライドシェア=白タク合法化は、究極の規制緩和=極限的な安全破壊です。来年の通常国会で道運法改定を強行し、本格的にライドシェア解禁を強行しようとする新自由主義政策の権化・安倍政権のもくろみを徹底的に暴露弾劾しましょう。全世界的なウーバー反対ストと連帯し、SKさくら交通労組を先頭にライドシェア阻止の統一ストを目指して闘うタクシー労働運動をつくり出しましょう。全国29万タクシー労働者は、11・3労働者集会&改憲阻止!1万人行進に総結集しましょう!
(全国労働組合交流センター民間交運・タクシー部会 藤井高弘)
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