国が自治体秋闘に不当介入 「国・民間上回る賃金は下げろ」
週刊『前進』04頁(3078号02面01)(2019/10/21)
国が自治体秋闘に不当介入
「国・民間上回る賃金は下げろ」
(写真 10・16都労連秋闘決起集会【都庁モール】)
10月11日、安倍政権は閣議決定として国家公務員の賃金改定を人事院勧告どおりとする一方、地方自治体に国や民間を上回る賃金分の引き下げ、評価制度の徹底を求める不当な介入を行った。公務員秋季賃金闘争は、安倍の全国一律賃下げ攻撃に対して全国ストを対置し粉砕した2013年以来の攻防に突入した。
「閣議決定に地方は従え」と迫る
11日に出された地方自治体の首長、議会の議長、人事委員会委員長あての「通知」は一字一句が許しがたい。形ばかりとはいえ「中立」「独立」の仮象を取る各地の人事委員会の勧告の頭越しに、「閣議決定」をふりかざして地方自治を踏みにじる違法行為だ。「通知」は第一に、地方自治体は賃金を安易に上げるな、高いところは下げろと迫った。
自治体職員の賃金が国や民間を上回っている場合は賃下げ。逆に「民間給与が公務員に比べて著しく高い地域」の場合は、民間に合わせるのではなく国並みに抑える。初任給のわずかのアップの一方、定期昇給額は削ってフラット化し年功賃金制を解体する。また地域手当、扶養手当、住居手当と退職手当の引き下げを求めた。青年の賃金は各種手当を含めることでやっと最低賃金水準に達しているにもかかわらずだ。
これらすべてが賃下げ攻撃だ。これに合わせて地域の民間労働者の賃金はさらに引き下げられる。最低賃金まで全労働者の賃金を下げる意図は明らかだ。
さらに、これまでの賃金制度改悪や賃下げをめぐる攻防の中で労使が妥結した内容自体を問題にし、「不適正な給与制度及びその運用の見直しを含め是正措置を速やかに講じること」を求めた。一方的に破棄することを迫っているのだ。交渉結果を認めず労働組合の闘いを全否定する攻撃だ。
評価制度による団結破壊の徹底
第二に、人事評価を一時金(勤勉手当)や昇給額に徹底的にリンクさせることを迫った。「特に」と強調して、「勤勉手当の支給や昇給等について、人事評価の結果を反映させずに一律に行う等、法の趣旨に反する運用がある場合には、速やかな是正を図ること」を求めた。ここでいう「法」とは16年4月施行の改悪地方公務員法のこと。人事評価で、解雇も賃下げも配転も自由とする労働者分断・団結破壊法であり、絶対に発動させてはならない攻撃だ。
これに対して全国の自治体では不十分とはいえ、たとえ評価制度の導入が強行された場合も、その結果を賃金や一時金にリンクさせない闘いが繰り広げられて攻撃を押し返してきた。それにいらだつ安倍政権が、法の脅しで自治体に強制させようとしているのだ。
安倍が狙うのは、公務員への攻撃を水路に全労働者の賃金破壊・団結破壊を進めて、労働組合のない「独裁国家」にする改憲・戦争の攻撃だ。
13年全国ストに続き秋闘決起を
安倍による閣議決定を振りかざした自治体秋闘破壊・組合破壊、地方自治破壊を許してはならない。13年、安倍の地方公務員一律7・8%賃下げの閣議決定に対し、自治労は全国スト方針を発し、現場の決起で粉砕した。東京・特別区18秋闘は、月1~2万円賃下げという史上最悪の人事委員会勧告の実施をストライキの力で阻止した。
怒りと闘いの機運は継続している。闘う労働組合の再生が現場の声だ。一律大幅賃上げ、会計年度任用職員制度攻撃粉砕へ! 秋闘を闘い、11・3労働者集会の成功をかちとろう。