原則貫き情勢転換させよう 斎藤前全学連委員長が出獄アピール
原則貫き情勢転換させよう
斎藤前全学連委員長が出獄アピール
5月7日に京都府警によって不当逮捕され、4カ月以上にわたり勾留されていた全学連の斎藤郁真前委員長が、9月27日に保釈・奪還された。京大生をはじめ多くの学生や労働者・市民がこの弾圧に抗議し、京大当局・検察・裁判所を追い詰めた結果だ。斎藤前委員長の出獄あいさつを紹介します。(編集局)
9月27日をもって保釈請求が通り、奪還されました! 温かい支援をくださったすべての仲間のみなさんに深い感謝の念を抱いています。本当にありがとうございました!
獄中では外のこと、残してきたことや懸念することなどを考えて不安になりがちです。外の友人などから支援を受けられる人はともかく、拘置所に捕らわれている多くの人は、あまりにもやることがないので、ほとんど動かずとにかく時間が経つのを待つような状態になっているようです。その中で、不安をあまり感じずに学習や体力づくりなどに取り組むことができたのは、仲間からの温かい支援があったからです。獄中闘争を支援する、私たちが歴史的につくりあげた作風は実はとても貴重なものだと改めて実感しました。
今回、私の「犯罪」だとされている事実は、昨年7月に京都大学で同学会選挙への投票を呼びかけるビラを机上配布したことが「建造物侵入」にあたるという、とんでもないものです。連帯労組関西生コン支部への現在進行形の大弾圧とともに、いわゆる「戦後民主主義」的なあり方を一掃し、「労働組合のない社会」=労働者民衆の組織的な抵抗がゼロ化した社会をつくろうという安倍政権の政治の一環です。安倍首相が「政治生命をかけている」という、改憲による国家体制の転換がいかなる方向を目指しているのか、このなかに象徴されています。戦後憲法に刻印された、戦争を再び繰り返さないという誓い、思いを守り抜き、改めてともにがんばっていきましょう!
獄中では、普段はなかなか読む時間のとれない分厚い本を読み、新聞もじっくり読みます。外だとどうしてもネットニュースに頼りがちになってしまいますが(笑)。京都拘置所では全国紙は読売新聞しか買えなかったのですが、読売新聞で最近、政党間の「一強多弱」状況について論じている記事がありました。そのなかで連合の幹部が「実感としては組合員の自民党支持率は6割」と語っています。立憲民主党も国民民主党も、地盤である連合がそんな状況で対抗軸にすらならないのは当然です。しかし他方で、「上級国民/下級国民」なんて言葉が市民権を拡大しており、「ブラック企業」は今や常識的な言葉となっています。そして「消費税廃止」を掲げたれいわ新選組がダークホースとして登場しました。
権力が「戦後民主主義」的あり方を踏みにじることができるのは、今までのあり方では国家間争闘戦からずり落ちる日本支配階級の危機感が第一の要因でしょうが、既存の政治地図を見ると「戦後民主主義」を代表してきた主流の「左派」が労働者民衆の期待に十分に応えられなかったことで、「戦後民主主義」に階級的利益を実感できなくなっている人々の間では、戦後憲法が体を張ってまで守るべきものとは思われなくなっている状況にも根拠があるのだろうと思います。
現実の労働者階級が考えていること・感じていることに私たちがちゃんと接近する努力をすれば必ず情勢は転換できます。原則を愚直なまでに貫いてきた私たちがこの時代に果たす役割のポテンシャルはとても大きいと思います。踏ん張りぬき、前進していきましょう!