関電社長らの収賄が発覚 原発マネーばらまき地域を支配

週刊『前進』04頁(3074号03面03)(2019/10/07)


関電社長らの収賄が発覚
 原発マネーばらまき地域を支配


 安倍政権による原発推進政策の矛盾と腐敗が、関西電力の原発マネー還流問題として暴露され、民衆の怒りが火を噴いています。戦争・改憲を阻止する11月集会の大爆発で、全原発廃炉の闘いを推し進めよう! 労働者や地域住民の命よりも金もうけに突っ走る資本主義社会を打倒しよう! 舞鶴現地から報告します。
 発端は、金沢国税局が昨年1月に行った、原発関連工事を請け負う福井県高浜町の吉田開発という建設会社への税務調査です。これにより、吉田開発から高浜町の元助役(今年3月に死去)に工事受注に絡む手数料として資金提供があり、元助役は3億2千万円分もの金品を関西電力の八木誠会長や岩根茂樹社長らの個人口座に送金したり、菓子袋に入れて届けさせたりしていたことが明らかになりました。
 電力会社から地域に流れた「原発マネー」が電力会社の経営トップのもとへ還流していたことが初めて公になったのです。正確な数字は「闇の中」と言われており、原発再稼働を推進し、地域を犠牲にして、労働者の生き血を吸って肥え太った電力資本のブルジョアジーの実態はまだ一部しか解明されていません。
 問題となっている吉田開発の2013年の決算売上高は3億5千万円でしたが、5年後の18年決算では21億8千万円と、原発関連工事の受注を大きく伸ばしています。これは原発利権に群がる疑獄事件です。高浜・大飯原発の再稼働阻止の闘いの高揚の中で徹底的に明らかにしよう。
 9月27日の岩根社長の記者会見では、元助役との関係を問われると「(金品を渡した人物との関係について)支障が出ると、原子力の運営に悪影響が出るのではと思った」と元助役の関係性を認めています。この元助役は地元では有名な原発誘致の実力者であり、退職後は地元建設会社の顧問を務めるなど、長年、関電と癒着して原発を地元に誘致してきた張本人です。
 また、経団連会長の中西宏明(日立製作所会長)は「八木さんも岩根さんもお友達、悪口は言えない」とふざけたコメントをしていますが、原発利権に群がる人物であり同罪です。
 しかも問題はこれだけではありません。高浜原発、大飯原発が立地する高浜町、おおい町には自治体労働組合がありません。地場産業が乏しい二つの町に原発を誘致し、電源三法交付金などの巨額の原発マネーを流し込んで反対運動を封殺してきました。とりわけ、反対運動の先頭となる自治体労働組合をつぶしてきた歴史があります。
 1981年に敦賀原発の「事故隠し」に反対して全日本運輸一般労働組合原子力発電所分会を結成して闘った斉藤征二さんと組合に対して、当時の関電は原発マネーの一部を暴力団に提供し、徹底的に反対運動つぶしを行いました。原発マネーが単にブルジョアジーの懐に入るだけではなく、労働組合と反対運動をつぶして地元に原発政策を押し付ける役割を果たしていました。今回の事件の渦中の人物である元助役もそうやって、地元の「顔役」としてのし上がりました。
 高浜・大飯原発再稼働阻止! 腐りきった関電資本とそれを追認する安倍政権を労働組合の力で倒そう!
(自治体労働者・樋口直)
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