医療福祉労働者は11・3集会へ 民営化、地域医療破壊を許すな 424病院の大再編攻撃と対決を 革共同医療福祉労働者委員会

週刊『前進』04頁(3074号02面04)(2019/10/07)


医療福祉労働者は11・3集会へ
 民営化、地域医療破壊を許すな
 424病院の大再編攻撃と対決を
 革共同医療福祉労働者委員会

全世代から搾り取り、一線ふみ越える攻撃

 「424病院に『再編検討を』」「厚労省、非効率解消促す」と、9月27日付の日経はじめ各紙は一斉に大見出しで報じた。厚生労働省は全国の公立・公的病院の25%にあたる424の病院を名指しして、「再編統合せよ」と迫ったのである。その規模、やり方、どれを取ってみても明らかに一線を越えた踏み込みだ。
 これに先立つ9月20日、政府は「全世代型社会保障検討会議」の初会合を首相官邸で開いた。中西宏明・日本経団連会長や桜田謙悟・経済同友会代表幹事などブルジョアジーの代表が顔をそろえ、中西は会議の中で「75歳以上も2割とか、そういった負担の在り方も大いに前向きに議論したらいいのではないか」とぶち上げた。「全世代型」とは結局、高齢者世代からも現役世代からも給付減と負担増で搾り取るということしか意味しない。
 「団塊世代」が75歳を迎える「2025年問題」、そして「団塊ジュニア」世代のすべてが65歳以上となり超高齢化社会への突入という「2040年問題」が、支配階級の首を締めあげている。社会保障費、医療費の増大を労働者民衆におしつけ、一方で「後払いの賃金」であるはずの年金や退職金を奪って、生きていけない現実を高齢者に強いている。
 そして、資本の利潤追求の残された最後の草刈り場として医療福祉の民営化、福祉破壊、医療破壊と営利産業化を推し進めている。その切っ先が、政府・厚労省が進める「地域医療構想」だ。

「地域医療構想」阻止した岡大病院の闘い

 地域医療構想は2014年、医療法改定で打ち出された。都道府県単位で医療機関の統廃合を含む構想の策定を義務付け、翌15年には持ち株会社方式による医療機関の経営統合を進める地域医療連携推進法人制度が導入された。
 だが、地域医療構想による医療福祉の大再編は、資本家たちの思い通りには進んでいない。厚労省社会保障審議会医療部会の会合では、出席した委員から「地域によって地域医療構想の進捗(しんちょく)状況に大きなバラつきがある。国が介入すべきではないか」といういら立ちにも似た意見が出たという。現在動き始めている地域医療連携推進法人は全国でまだ11法人にとどまる(6月末現在)。そのどれもが当初構想されていたあり方とはまったく程遠い、物品の共同購入などを目的としたゆるやかな連携にとどまっている。
 そしてそれを強制したものこそ、持ち株会社方式による地域医療連携推進法人構想のリーディングケースとして安倍・官邸肝入りで進められようとしていた岡山大学メディカルセンター構想(岡山大学病院を軸に日赤、済生会、国立、市民、労災の6病院を経営統合)を完全に葬り去った闘いがある。岡山大学病院の現場で闘う労働者は、この構想がいったん全員解雇・選別再雇用の10割非正規化・団結破壊と「命よりカネ」の営利優先の医療への転換をもたらすものであると暴露して現場から絶対反対で闘い、断念させたのだ。

「営利優先」に反対し、労組が先頭に立とう

 424の病院を名指しして「再編統合が必要だ」と迫る攻撃は、32年前の国鉄分割・民営化攻撃とまったく同じだ。「赤字」を口実に地域から公共交通機関を、そして病院を奪い、人が住むことすらできなくするというのだ。
 だが考えてもみよう。地域に根差して命と健康を守る公立病院が赤字で一体何が悪いのか。公立・公的病院にかぎらず、医療福祉とは労働者民衆がそこで生き、働き、暮らし、そして次の世代へとつなげていくために欠かすことのできない存在ではないのか。だから「非営利原則」であり、たとえ建前に過ぎないとしても「もうけの対象にしてはならない」とされてきたのだ。
 医療福祉の民営化、地域医療の破壊は社会全体を崩壊させてしまう。生きていくことさえ許さない医療福祉の破壊に対して、われわれ医療福祉労働者・労働組合が軸となって地域住民の怒りや思いの先頭に立ち、はね返していく闘いが始まった。
 労働組合の存在こそ決定的だ。医療福祉の民営化は、労働者に対しては労働強化、非正規職化、外注化などを極限的に進める。労働者の反撃を恐れる資本は、評価制度などでまさに1円単位で労働者を分断する。さまざまな合理化、労働強化に対して、職種、職場を越えて労働者が討議し、問題をとらえ、ともに団結して資本に立ち向かうことで労働者の生活と権利を守り、医療と福祉を守り抜くことができるのだ。
 国鉄分割・民営化攻撃と30数年間一歩もひかずに闘う動労千葉を先頭とする国鉄闘争と固く団結し、生きていけない現実に対して職場に、そして地域に渦巻く激しい怒りと現状変革のエネルギーの結集軸に、今こそ闘う医療福祉労働運動が躍り出るのだ。

社会保障制度解体は改憲・戦争と一体だ

 そして医療福祉を含めて社会保障をめぐる領域は、人間が人間として生きることだからこそ、すぐれてプロレタリア革命に直結しているということをはっきりさせなければならない。労働者階級の血と汗の闘いが支配階級に強制してきたものこそ社会保障制度であり、それを含む基本的人権と戦争放棄を定めた戦後憲法だった。だが支配階級はもはや、労働者階級が生きていくことすら保障することができない。帝国主義戦争、世界戦争で生き残るためには9条改憲以外にない。戦争に労働者人民を追いやることは、戦後的諸権利、社会保障の破壊と一体だ。だからこそ、戦争か革命かが労働者人民の人生選択、歴史選択となるのだ。
 安倍政権はこの秋、天皇即位儀式の強行という国家暴力の発動のもとで一切の怒りの決起を組み敷き、関西生コン支部弾圧を先頭に労働組合という存在そのものをたたきつぶし、改憲・戦争に向かって一気に突き進もうとしている。それほど帝国主義は危機であり、それほど労働者の団結、労働組合は力を持っているということだ。労働者が団結して反撃に立ったとき、労働組合破壊に一切の活路を求める安倍・支配階級の攻撃はもろくもついえ去るのだ。
 11・3全国労働者総決起集会に全国から総結集しよう。闘う医療福祉労働者はその隊列の先頭に立つ。
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