10%消費税に絶対反対 「社会保障のため」は大うそ

週刊『前進』02頁(3073号01面01)(2019/10/03)


10%消費税に絶対反対
 「社会保障のため」は大うそ


 10月1日から消費税が10%に上がった。3%でも許しがたいが、10%はもはや重税だ。消費税増税は資本家階級にとっては痛くもかゆくもないが、労働者階級人民にとっては負担が重く、生活を圧迫し、貧困をもたらす。そこに付け込んだ商品券や大ポイント還元は総監視社会につながる。消費税を今すぐ廃止せよ。

労働して自立することが社会保障!?

 政府は「消費税とその増税は社会保障の安定と充実のためである」と言ってきた。ところが消費税が導入され増税されても年金、生活保護の給付は削減・縮小され、介護はなかなか受けられず、年金、医療・介護の社会保険料は引き上げられ、医療・介護の自己負担分は増やされるばかりである。そして財務省みずから夫婦が老後生きていくためには年金のほかに2千万円が必要だと言う始末だ。
 税・社会保険料の国民負担率は42・6%にもなっている。賃金が減り、税・保険料の高負担増で生活が圧迫され、ゆとりも潤いもなくなっている。
 消費税増税は社会保障の充実に充てられていない。それどころか政府は社会保障をなくそうとしている。
 9月20日に開かれた「全世代型社会保障検討会議」は社会保障の主要項目として「労働、年金、医療、介護」の四つを挙げた。これまで「税と社会保障の一体改革」などで規定された社会保障の主要項目から「生活保護」が外され、「労働」が入ったのだ。しかも社会保障とは今や、公助や共助ではなく、自助・自立、自己責任で死ぬまで働くことであるとされているのであり、政府はその環境づくりを支援するにすぎない存在となった。全世代型社会保障=「働き方改革」なのだ。
 これは「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」という憲法25条に定められた国の義務の放棄だ。公然たる社会保障の解体・廃止である。

間接税=大衆課税の新自由主義税制

 1989年の消費税導入の理由は財政健全化のためではなく、「福祉と直間比率是正のため」(加藤寛)とされた(本紙3065号参照)。直間比率とは税収に占める直接税と間接税の割合のことだ。法人税や所得税は直接税であり、消費税や酒税、揮発油税は間接税である。「直間比率の是正」とは直接税の割合を減らし間接税の割合を増やすということだ。
 まず第一に、「福祉のため」が方便にすぎなかったことは、すでに述べたとおりだ。さらに財務省は〝財政危機だから消費税が必要〟と扇動しているが、それは官僚の天下り先である特殊法人や特別会計を解体させないためである。
 日本の国債発行残高は800兆円だが、国の資産は670兆円に上る。財政赤字は金融資産の一部を売ったり、特殊法人や特別会計を解体したりすれば、それらの「埋蔵金」で十分埋められる。だが、官僚は絶対そうさせないから政府財政は赤字のままだ。したがって消費税導入の真の目的は「直間比率の是正」だったといえる。
 ではなぜ「直間比率の是正」なのか? 加藤寛は「累進税の所得税に頼ると、労働意欲がそがれるからだ」と言う。要するに資本を優遇するために、労働者からもっと搾り取り、収奪する新自由主義的大衆課税=消費税へと税体系を転換するということだ。資本とその国家の延命のための消費税を廃止せよ。

総背番号カードで総監視社会づくり

 消費税の10%化に伴い、「経済対策」としてプレミアム付き商品券(20年3月まで)やキャッシュレス決済に対するポイント還元(同6月まで)が実施される。そのための予算は約4500億円だ。自治体発行のプレミアム付き商品券は3月で終わり、4月以降はマイナンバーカード取得を条件に自治体ポイント加算を得る制度になる。経済対策は一時しのぎがせいぜいだ。政府は2023年までに国民全員がマイナンバーカードを保持することを目指している。プレミアム付き商品券は国民総背番号制づくりの餌なのだ。
 キャッシュレス決済もスマホやカードを通じて金融機関や「信用スコアリング」会社の個人データ収集に利用される。みずほ銀行とヤフー・ジャパンは共同で「Jスコア」を設立した。これがマイナンバーカードと結び付けば1億3千万人が24時間どこへ行っても監視され、全国民の個人情報が当局に一元的に集中されることになる。
 消費税増税は社会保障の充実どころか総監視社会づくりにつながっている。消費税廃止をかちとろう。
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