羽田低空飛行白紙撤回を 運用決定弾劾し品川区長に抗議

週刊『前進』04頁(3070号03面02)(2019/09/23)


羽田低空飛行白紙撤回を
 運用決定弾劾し品川区長に抗議

住民の怒り受け議会で反対決議

 8月8日、国土交通大臣・石井啓一(当時)は、羽田都心低空飛行の来年3月29日運用開始を決定しました。断じて許せません。  品川区では、計画発表当初より住民の反対の声が高く、反対運動が起こっています。その力を背景に3月区議会では全会派一致で「容認できず」の決議が上がりました。
 羽田都心低空飛行ルート(新ルート)による増便で国際線発着回数を年6万回から9万9千回に増やし、都心中心部を爆音地獄にする。南風着陸ルートではA・C滑走路に向かって着陸を1時間44回(山手線より多い!)、日中3時間飛ばす。南風離陸ルートでは川崎市の石油コンビナート上空180㍍を飛ぶ。騒音、低周波、落下物、大気汚染、航空機事故! 新ルート下にはたくさんの保育園、幼稚園、学校、病院があり、住民・労働者の命と生活を危険にさらします。
 労働者・住民を犠牲にする国策は許せません。戦争に進む国家のありようそのものであり、そんな国家は倒していいのです。品川区長は反対の声を国交省に届け、身をていして阻む責任があります。
 8月29日、なんぶユニオンと婦民全国協・東京南部支部を先頭に品川区長への抗議行動に決起しました。品川区広報広聴課に押しかけ、要請文をつきつけ、文書での回答を約束させました。続いて品川区職員労働組合を訪れ、報告と闘いの連帯を求めてエールの交換! ともに闘いましょうと熱い言葉を交わしました。

緊急着陸できる最低高度もない

 世界でも超過密都市といわれる東京の住宅地の上に着陸ルートを設定すること自体が殺人行為です。航空法では住宅密集地上空は一番高い建築物から高度300㍍以下を飛行禁止としています。上空でエンジンが停止した場合、緊急着陸できるための最低高度です。新ルートにはその余地はなく、密集する住宅の上に墜落するしかないのです。大井町駅で300㍍、立会川、勝島、京浜島などでそれぞれ200㍍、100㍍、70㍍下に人々は生活しています。住民を殺してもいいというのでしょうか。
 私たちはこの計画を撤回させる力をもっています。1973年、品川区、大田区の労働者住民はジェット機騒音と闘い大勝利しました。区民と大田区議会が国と取り交わした覚書があります。「安全と快適な生活を確保できない限り、空港は撤去する」「飛行機は海から入り海へ出る」の原則です。空港の沖合移転をかちとり、命と生活を守っているのです。新ルートはこれをほごにするものです。

成田とあわせて機能強化を狙う

 羽田新ルートは東京全体を破壊する攻撃の始まりです。安倍内閣は首都圏空港の年間発着回数を100万回(羽田50万回、成田50万回)とする機能強化を成長戦略の中心にしています。
 成田は現在の25万5千回を50万回にするためにB滑走路延伸とC滑走路建設を計画し、さらに24時間空港化を狙っています。羽田では第5滑走路(E滑走路)の増設に着手しました。東京湾の沖合に増設し、年間発着回数を13万回も増やす見込みです。A・C・Eの滑走路3本で日中3時間を超えて東京上空を低空飛行するということです。東京全域が破壊されます。新ルートを撤回させることでE滑走路計画を粉砕し、全ての東京の労働者とその家族を守ることができます。
 世界で最も企業がもうかる東京にすることを狙う羽田空港機能強化、世界戦争の危機に対応する軍事空港としての機能強化。それは労働者が最も貧困と失業にたたき落とされ、生きる権利を奪われる東京です。安倍・小池を許さず、オリンピックを口実に国家戦略特区をもって行われようとしている羽田増便=都心低空飛行に絶対反対し、白紙撤回させよう。
(品川区在住労働者 柳田直子)
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