労組絶滅狙う経団連 「労働者代表制の法制化」で
週刊『前進』04頁(3070号02面05)(2019/09/23)
労組絶滅狙う経団連
「労働者代表制の法制化」で
全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への弾圧と、JRによる「労働組合のない社会」をつくる攻撃は、改憲・戦争に向けて労組を絶滅しようとするものだ。これと並び、経団連は「労働者代表制の法制化」の検討を始めた。その狙いは、「労働組合のない社会」の法制化だ。
今年5月の経団連の労働法規委員会で、元中央労働委員会会長の菅野和夫が講演した。彼は、労働法の分野で「国家の規制が拡大し、経営の自由・労使の自治が縮小している」ことが問題だとし、「第4次産業革命に対応し……労働者代表機関の制度化について検討が望まれる」と述べた。労働法の分野で規制が拡大しているというのは大うそだが、「労働者代表制の法制化」が、資本に徹底した搾取の自由を与えるためのものであることは明白だ。
経団連労働法規委員会の委員長はJR東日本会長の冨田哲郎だ。その冨田が昨年2月に首相官邸に呼ばれ、JRでの労働組合つぶしが始まったのだ。
労働者代表制は、典型的には労働基準法36条に定めがある。使用者が1日8時間、1週40時間を超えて労働者を働かせる場合には、過半数を組織する労働組合か、労働者の過半数を代表する者と協定を結ばなければならない。この規定も、過半数労働組合との協定が基本で、労働者代表との協定は例外的なものと位置づけられている。
現実には、過半数労組に所属する組合員の全労働者に占める割合は14・9%程度と言われている。経団連はさらに御用労組も解体し、「労働者代表制」で労働者を支配したいのだ。
厚生労働省の外郭団体の労働政策研究・研修機構が、36協定の締結に際して労働者代表がどのように決められたかを調査している。それによると、「会社が指名」が28・2%、「社員会などの代表が自動的に労働者代表になった」が11・2%で、選挙が行われたケースは8・3%に過ぎない。
すでに現実は、名ばかりの「労働者代表」との合意で、過労死に至る長時間労働の強制も、賃金や労働条件を切り下げる就業規則改悪も、思いのままできるようになっている。そのすべてが合法化されるのだ。
連合もこの攻撃に同調している。連合は2006年6月の中央執行委員会で、企業に常設の労働者代表委員会を設置するという「労働者代表法案」を決定した。17年の大会でも「労働者代表制の法制化をはかる」という運動方針を決めている。これは労働組合の自己否定だ。連合幹部は、御用労組として職場の過半数を押さえるという意欲もずっと昔に失っている。
だがそれは、階級的労働運動がよみがえる条件も生み出した。JR東労組が崩壊し、JRの各職場で労働者代表選挙が行われるようになった。CTS(千葉鉄道サービス)幕張事業所の労働者代表選挙に圧勝した動労千葉は、職場の多数派を目指して闘っている。
労働者の生活と権利を守れるのは労働組合だけだ。「労働者代表制の法制化」を阻止しよう。