千葉大停電は「人災」だ
　被災地無視し改憲へ突撃
　安倍再改造内閣 渦巻く怒りで倒そう

　台風15号による停電などの被害が千葉県を中心に深刻化する中、安倍は９月11日に第４次再改造内閣を発足させ、改憲を「困難でも必ずや成し遂げていく」と表明した。これに先立つ自民党役員会でも、幹事長・二階敏博、政調会長・岸田文雄らを前に「自民党が憲法審査会でリーダーシップを発揮すべきだ。悲願である改憲を党一丸となって進めたい」と述べ、今回の閣僚・党役員人事がとにかく改憲のための布陣であることを強調した。10月４日召集予定の臨時国会が、改憲をめぐる一大政治決戦となることは不可避だ。

極右・日本会議を総動員

　今回の内閣改造は、閣僚19人のうち麻生太郎（副首相・財務相・金融担当相）と菅義偉（官房長官・拉致問題担当相）を除く17人を交代させ、13人を初入閣させるというこれまでにない大型改造となった。このうち少なくとも11人が「日本会議国会議員懇談会」に名を連ねている。安倍の気心の知れた側近や極右勢力を総動員した史上最悪の改憲突撃内閣だ。
　昨年の徴用工判決以来、外相としてひたすら韓国への敵対政策を推進してきた河野太郎は、その「功績」を買われて防衛相に抜擢（ばってき）された。安倍の側近中の側近で、加計学園疑獄をめぐって官房副長官時代に「官邸は（獣医学部新設を）絶対やると言っている」と文科省幹部に圧力をかけた萩生田光一は、よりにもよって文部科学相として初入閣となった。「働き方改革」関連法案をめぐり、ねつ造されたデータをもとにデマ答弁を繰り返した加藤勝信は再び厚生労働相に就任。「総務相の判断で政治的公平性を欠く放送局を電波停止にできる」と発言した高市早苗も再び総務相となった。
　１億総活躍・沖縄北方担当相として初入閣した衛藤晟一（せいいち）は、大分大学在学中に70年安保・沖縄闘争に対抗する極右カルト集団「成長の家」の活動家として登場し、その後も一貫して日本会議の支柱を担ってきた安倍の盟友である。五輪・女性活躍担当相として初入閣の橋本聖子は12日の会見で、東京五輪・パラリンピック会場への「旭日旗」の持ち込みについて「政治的な宣伝になるものではない」として容認した。旭日旗はかつての大日本帝国陸海軍の軍旗・軍艦旗であり、侵略と戦争、民族差別の象徴として、ナチスの「鉤十字」と同様にサッカー会場では持ち込みを禁じられているものだ。東京五輪を国威発揚の一大イベントとし、これと一体で２０２０年新憲法施行＝「戦争する国」への転換を図ろうと狙う安倍政権の目論見が、この一事にはしなくも露呈されている。
　環境相として初入閣の小泉進次郎を、大手メディアはさかんに「サプライズ人事」などともてはやすが、小泉はけっして単なる「広告塔」ではない。郵政民営化などの新自由主義政策を推し進めた父・小泉純一郎の思想と政策を引き継ぎ、自民党の野党時代からＴＰＰ（環太平洋経済連携協定）にもろ手を挙げて賛成。安倍政権下では自民党農林部会長として農協を「抵抗勢力」とののしり、農協解体と農業への競争原理導入＝企業参入を推し進める「農政改革」の最先兵となってきた筋金入りの新自由主義者だ。復興担当政務官としては、福島第一原発から25㌔の場所に中高一貫校「ふたば未来学園」を建設するため音頭をとったことで知られる。

怒りの声を11・３日比谷へ

　安倍は今回の改造内閣で「改憲を成し遂げる」と繰り返しているが、ＮＨＫが９月９日に行った電話世論調査で「新内閣が取り組むべき政策」を聞いたところ、最も多かったのは「社会保障」で全体の28％を占め、次いで「景気対策」が20％、「憲法改正」との回答はわずか５％で最下位だった。共同通信社が11、12日に実施した世論調査でも、安倍政権下での改憲に「反対」は47・１％で「賛成」38・８％を上回った。日本会議などが必死に世論工作を行っても、改憲への機運はまったく高まらず、むしろ安倍の戦争政治に対する怒りの声は日に日に高まっている。
　台風で千葉県などが大規模停電に襲われる中、安倍が災害対策よりも「改憲内閣」の発足を優先したことに対しても、広範な怒りが広がっている。マスコミの報道も災害情報より内閣改造一色に染め上げられた。そうしている間に停電の被害は千葉県内54市町村のうち41市町村に及び、台風から５日が経った14日の時点でも14の医療施設、１２１の福祉施設を含む14万戸で停電が続き、高齢者をはじめ熱中症による死者も続出している。起きている事態は明らかに「人災」であり、その主犯は安倍と改造内閣の閣僚連中だ。
　渦巻く怒りの声を11・３全国労働者総決起集会と改憲阻止！１万人行進に大結集し、改憲・戦争の安倍政権を打ち倒そう。