三里塚・誘導路裁判 第3滑走路建設やめろ 国・NAAを追及

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週刊『前進』04頁(3068号04面01)(2019/09/16)


三里塚・誘導路裁判
 第3滑走路建設やめろ
 国・NAAを追及

(写真 裁判後の報告集会)

基本計画から逸脱

 9月6日、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)で第3誘導路裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民は、農地強奪攻撃と成田空港強化策への怒りをかきたて、全力で闘い抜いた。
 この裁判では、被告の国と成田空港会社(NAA)に対し、B滑走路の2500㍍への延長(2006年)、第3誘導路建設(2010年)という二つの変更許可処分の違憲・違法性を追及し、B滑走路の使用禁止、飛行の差し止めを求めている。
 冒頭から弁護団は、「新東京国際空港」として定められた当初の「基本計画」から、現在の成田空港が著しく逸脱していることを強く批判した。
 運輸大臣から指示される、滑走路の数・配置・長さ、空港の敷地面積、運用時間などを骨子とする基本計画を、空港公団は厳格に順守する義務がある。公団からNAA(株式会社)に組織変更されても、施設・業務、権利・義務など一切を承継した以上、NAAがそれを守ることは当然だ。
 ところが現実はどうか。B滑走路は計画よりも短い2180㍍の暫定滑走路として供用開始された。その後無理やり北に延長され、1100㍍も北に移動して、当初認可とはまったく別物の施設になっている。
 東峰の森を破壊して造られた東側誘導路、市東孝雄さんの家と畑を空港敷地に囲い込む第3誘導路も基本計画に存在せず、その時々の思いつきで建設された。
 今また「空港機能強化策」として、第3滑走路(3500㍍)建設、B滑走路のさらなる北延伸(3500㍍化)によって空港敷地を1千㌶も拡張する(2倍化)という、とてつもない大工事が基本計画の変更なしで進められようとしている。
 基本計画は地域住民の権利を守るための基準だ。これを踏みにじり、好き放題に建設を進めるのは人権侵害であり許されない!
 ここで弁護団が被告側に基本計画についての認識をあらためて質すと、国の代理人は「基本計画の撤回や変更はされていない」と答えた。つまり「基本計画を無視した工事をいくらやってもかまわない」という居直りだ。傍聴席から怒りの声が殺到した。
 弁護団はさらに、NAAが空港周辺住民を対象に行った「騒音健康影響調査」について、調査委員会の報告書などの提出には応じながら、同委員会の議事録の提出を拒んでいることを批判し、全面的開示を求めた。NAAは、議事録や委員の名前・肩書を明らかにすると、「いわれのない非難中傷が加えられる」「学識経験者として忌憚(きたん)なく意見を述べられなくなる」などと主張するが、まったく意味不明だ。
 また欧州WHO(世界保健機関)が打ち出した「夜間騒音ガイドライン」を騒音被害の基準として採用することを、NAAが拒否し、住民の健康被害を小さく描こうとしていることを弁護団は強く弾劾した。
 次回期日を12月3日と確認して閉廷した。

9・24東京高裁へ

 千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。
 葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が裁判を振り返り、守るべき「憲法」に値する基本計画をないがしろにして、違法な工事を進める成田空港の実態をあらためて指摘し批判した。
 動労千葉の滝口誠さんが連帯発言に立ち、反対同盟が呼びかける10・13三里塚全国集会への大結集と、前日の10月12日に千葉中央公園で開かれる「オスプレイいらない!千葉県民集会」(実行委主催)への参加を訴えた。さらに、市東さんの農地取り上げに反対する会と群馬からの傍聴参加者が闘う決意を述べた。
 最後に伊藤さんが、東京高裁で開かれる9・24請求異議控訴審への傍聴とデモへの参加を訴え、市東孝雄さんの農地を守りぬく闘いへの総決起を促した。

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