「東京五輪やめろ」の声上げよう

週刊『前進』02頁(3065号02面02)(2019/09/05)


「東京五輪やめろ」の声上げよう

(写真 過酷な五輪施設の建設現場 )


 2020年東京夏季オリンピックに対する労働者人民の怒りが広がっている。総額3兆円を超える莫大(ばくだい)な予算が使われる五輪は大資本と利権集団に巨額の利益をもたらす一方で、労働者人民を犠牲にする。安倍は自らの延命と改憲・戦争攻撃に向け、新天皇即位儀式と一体で五輪をフル活用しようとしている。労働者に貧困、非正規職化、社会保障切り捨てを強い、同時に東日本大震災と福島原発事故で今も苦しむ被災者は放置され、五輪によって怒りの声を抹殺しようとしている。何が「復興五輪」か! 絶対反対の声をともに上げよう。

五輪建設現場で労災死亡

 五輪関連施設の建設現場で8月8日、電気ケーブルの敷設作業中の50代男性労働者が亡くなった。猛暑の中での労災死だ。
 男性が倒れたのは、東京都江東区の東京ビッグサイトで、大会期間中は国際放送センターとメーンプレスセンターとして使用される。工事は大会組織委員会が発注していた。最大の責任は大会組織委にある。五輪工事でゼネコンなどの大資本は潤う一方、労働者にはまともな熱中症対策すらなされていない。
 労働組合の国際組織である国際建設林業労働組合連盟(BWI)は5月15日、五輪競技会場などの工事に従事する労働者が過酷で危険な労働環境にさらされているとする報告書を公表した。月28日の連続勤務、安全装備の自腹での購入、苦情の声を上げれば処罰される「恐怖の文化」、通報制度が機能していないことなどを挙げた。BWIは大会組織委員会や都、日本スポーツ振興センターに改善を求めて申し入れをしたが、いずれもこれを無視した。その結果が今回の労災死亡だ。
 労働者の命をないがしろにして準備される五輪に対し、労働組合を組織して立ち向かおう。

選手や観客の命より放映権利権

 2020年東京大会は、五輪史上、最も過酷な暑さの中での大会になる。今年7月1日から8月18日の東京23区の熱中症による死亡者数は101人。トライアスロンのテスト大会では選手が熱中症で搬送された。屋根なしの仮設観客席や、最寄り駅から競技会場までの大行列で熱中症のリスクが高まる。11万人ものボランティアは無償で長時間労働を要求されるが、熱中症で倒れても労災すら下りない。大会組織委や都ははなから責任を取る気などない。
 そもそも招致委員会は、立候補ファイルで「晴れる日が多く、温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候」と大うそを述べていた。
 なぜ、こうしたあからさまなうそをついたのか。それは、五輪の放映権利権のためにほかならない。
 IOC(国際オリンピック委員会)は欧米で他の巨大スポーツイベントと重ならない7、8月に五輪を開催することを立候補都市に求めていた。この時期に開催すれば、放送局がゴールデンタイムの高視聴率を獲得するために数十億㌦もの放映権料をIOCに払うからだ。招致委員会はそれを熟知していたからこそ、大うそをついたのだ。
 大資本とIOC利権集団がより多くの利益をせしめるために、選手、観客にとって命の危険すらある日程が決められた。絶対反対の声を上げよう。

午前2時過ぎ終電に怒り

 大会組織委と都は、大会期間中の都内の首都高速道路の「混雑緩和のため」として、午前6時~午後10時の自家用乗用車などの通常料金に千円上乗せする方針を決定した。一方で午前0時~4時はETCを搭載した車は全線で半額となる。
 多くの自家用車が値上げされた首都高を使わず一般道に来るため、渋滞が引き起こされる。通勤や物流に大混乱と負担増加がもたらされる。さらに膨大な運輸労働者に深夜労働が強制されることは重大だ。
 一方、都営交通・東京メトロ・JRは終電時間を繰り下げ、午前2時過ぎまで電車を走らせるとしている。すさまじい労働強化と安全破壊をもたらす。にもかかわらず、労働組合を無視し、一方的に決められた。
 都営交通は駅、乗務、バスのそれぞれで要員不足だ。欠員、バス運転手の10%賃金カットの中で、「現場はオリンピックどころではない!」という怒りの声が噴出している。3月の東京交通労組電車部大会では「東京2020大会への協力など、到底不可能」と決議文に明記された。闘いはこれからだ。
 都知事・小池百合子はこの夏、都庁本庁労働者を対象として延べ1万4千人に「テレワーク」を実施させた。住民の命にかかわる業務をテレワーク化することなど不可能であり、破産している。だが都が先頭に立ちテレワークをあおり立てることで、労働者をフリーランス(個人請負)化し、団結権をはじめ一切の労働基本権を奪い取る攻撃に突進している。小池は安倍「働き方改革」攻撃の先兵だ。東交・都労連労働者を先頭に、オリンピックに絶対反対の労働組合の闘いを巻き起こそう。
 また、オリンピック警備を口実に、監視カメラによる顔認証システムを大々的に導入しようとしている。安倍・小池によるあらゆる五輪攻撃と対決しよう。

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