香港デモさらに拡大 台湾労働者とも連係深める 武力鎮圧粉砕へ国際的団結を

週刊『前進』02頁(3065号02面01)(2019/09/05)


香港デモさらに拡大
 台湾労働者とも連係深める
 武力鎮圧粉砕へ国際的団結を

(写真 香港デモを闘う人々の支援に駆けつけ、横断幕を掲げる台湾大学病院労働組合と台北市医師職業労働組合の労働者【8月22日 台湾大学病院前】)

雨傘革命5周年迎え闘いは高揚

 8月31日、香港の労働者民衆は、香港警察がデモを許可しないままに、再び逃亡犯条例改悪案に反対する大規模デモを敢行した。香港当局は、雨傘革命時の指導部ら3人を逮捕し、一方で集会やデモ、通信などを禁止する「緊急状況規則条例」の発動をちらつかせて全面的にデモを圧殺し、さらにデモ隊に催涙弾も撃ってきたが、それをはね返して決起した。
 幹線道路はデモ隊で埋まり、香港政庁に火炎瓶が飛ぶなど激しい闘いとなった。さらに9月2日、3日と大規模デモが闘われる。雨傘革命5周年を迎える中で、デモはますます拡大し、香港政庁、中国政府との全面激突に入っている。
 8月29日に中国スターリン主義は、香港に駐在する軍隊を交代させており、武力鎮圧の危機も高まっている。香港の労働者民衆の闘いと連帯し、武力鎮圧を粉砕する国際連帯を強化していかなくてはならない。
 こうした香港の闘いは、東アジアでの新たな労働運動、民衆運動を高揚させ、国際連帯を発展させている。

香港と台湾で一体の闘い進む

 台湾との関係は特に重要であり、以下、経過を見てみよう。
・2014年3月18日、台湾で台中間のサービス分野の市場開放を目指す「サービス貿易協定」に反対してひまわり学生運動が起こり、学生が立法院(国会議事堂)を占拠。
・同年9月26日から12月半ばまで、香港では「真の普通選挙」を要求して雨傘運動が爆発した。
・15年3月より、11年の日本での福島原発事故を受けて、台湾では大規模な反原発闘争が闘われ、政府に原発全廃を確約させる。
・16年6月、中国広東省台山市で新たに建設されている台山原子力発電所に対して、香港で反対運動が起こる。
・今年2月8日から14日まで、台湾中華航空のパイロットがストライキに突入。さらに6月20日から7月10日まで、エバー航空の乗務員がストライキに決起。この二つの航空会社のストライキは、全世界に衝撃を与えた。
 この前史の上に、6月から香港での逃亡犯条例改悪に反対する大規模デモが爆発した。8月5日には香港全土で労働者はストに決起し、香港空港では200便以上が欠航・遅延となった。香港と台湾の労働者民衆は、この間相互に影響を与えながら一体の関係で闘いを前進させてきたのだ。そこには香港と台湾の労働者民衆の持つ共通の怒りがある。中国スターリン主義が大国化し、独裁政権の下に香港や台湾を飲み込もうとしていることへの激しい怒りである。
 そして今、急速に香港と台湾の労働者民衆の連帯が強化されつつある。
 香港で今回のデモが始まった直後の6月10日、台湾の学生団体らが台北市の香港経済貿易文化弁事処前で記者会見を開き、香港政府に条例の撤回を求め、台湾学生は香港と固く連帯した。
 また労働組合も現在、香港の職工会連盟と台湾の桃園市産業総工会は「ともに闘っていく」決意を確認し、団結を強化している。職工会連盟は今、「インターナショナル」を必死で全世界に訴えている。
 8月22日、台湾大学病院労働組合と台北市医師職業労働組合は台湾大学病院の前に集まり、「台湾の医師も看護師も同じ心、ともに進みます」との横断幕を掲げて、香港の労働者民衆とその支援に従事する医療関係者へ熱いエールを送った。声明文では「抗議活動に参加した医療関係者が警察との衝突で失明している」と弾劾し、「市民の生命と健康を守ることがわれわれの価値」であると述べて、香港政府を非難している。

アジア労働者の連帯は新段階に

 さらに、香港と台湾の労働組合の国際連帯は、パククネ政権を打倒した韓国・民主労総の「ろうそく革命」以来の闘いとも結びついて、アジアにおける労働者の国際連帯を新しい段階に押し上げている。それは同時に中国大陸の労働者の闘いとも結びつこうとしている。アジアで新たなインターナショナルが形成されようとしているのだ。
 米帝の没落と中国や朝鮮半島への戦争政策の展開、また一方で中国スターリン主義の経済危機と「一帯一路」政策、対米対抗的な大軍拡の展開。これらは香港や台湾はもとより朝鮮半島から全アジアの労働者民衆の生活と人権を破壊し、戦争の危機を高めている。これに対する歴史的階級的な怒りが今、香港を先頭に噴出し、新たな国際連帯を生み出している。それは朝鮮・中国での侵略戦争、世界戦争を許さず、全世界の労働者を解放する闘いそのものだ。
 問われているのは日本の労働者階級だ。階級的労働運動を闘い、国際連帯の発展を一体になって推進しよう。香港の労働者民衆を支持し、ともに武力鎮圧を粉砕しよう! 今年の11・3労働者集会はその意味で、歴史的な決戦だ。労働者の新たなインターナショナルをつくり出そう! 11月へ総力を!
(河原善之)
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