車掌削減し地方破壊 ワンマン運転拡大狙うJR 安全の解体許さず反撃しよう

週刊『前進』04頁(3064号02面01)(2019/09/02)


車掌削減し地方破壊
 ワンマン運転拡大狙うJR
 安全の解体許さず反撃しよう


 JR東日本は7月24日、ワンマン運転をさらに拡大するという提案を出してきた。これは、労働組合をつぶして社友会で職場を制圧する攻撃と一体だ。JR東日本は、「新たなジョブローテーション」と称して運転士と車掌の職名を廃止し、これを突破口に鉄道の全業務を外注化・分社化しようとしている。車掌を大幅削減するワンマン運転の拡大は、そのために打ち出されたのだ。

大都市圏の列車にも実施

 JRの提案は、これまでは基本的に2両編成以下の車両に限られていたワンマン運転を、3~6両の中編成、7両以上の長編成にも拡大するというものだ。来年3月実施とされている。
 この提案でJRは、「線区・区間を限定せずにワンマン運転を実施する」と述べている。ローカル線に限らず首都圏・大都市圏の列車もワンマン運転化するということだ。同時にそれは、ローカル線のワンマン化もこれまで以上に強行することを意味する。その先にあるのは廃線だ。JRは徹底した地方破壊に手を付けようとしているのだ。
 ワンマン化は安全の破壊に直結する。乗客の乗降終了とホーム上の安全を確認し、列車のドアを閉めるのは車掌の役割だが、ワンマン化されれば、それも運転士の仕事になる。
 JRは、ドアとホームの状態を撮影するカメラを設置し、その映像を運転席上のモニターに映し出すことで、運転士が安全を確認できるようにするという。JRが例外的に3~6両編成をワンマン化している東北本線・仙台空港線の仙台―名取―仙台空港間では、すでにこうした装置が導入されている。多数の画像を一度に確認しなければならない運転士の負担は大きい。それをJRは、全線区に拡大しようとしているのだ。
 JRの提案は、長編成のワンマン化はホームドアとATO(自動列車運転装置)またはTASC(定位置停止装置)を整備した上で行うとしている。ここで想定されているのは、山手線だ。JR東日本は、ATOによる山手線の「ドライバレス運転」の試験を進めている。自動運転化すれば、運転士の資格もない「保安要員」を1人乗せれば大丈夫というのが、JRの考え方だ。

車掌がいて安全守られる

 だが、自動運転装置は、予測できない事故には絶対に対応できない。不測の事態に対処できるのは、人間だけだ。
 鉄道の安全は、列車の先頭部で運転を担う運転士と、列車の最後部で列車の状態を監視する車掌との組み合わせによって保たれている。特に、事故が起きた時、車掌の果たす役割はきわめて大きい。重大事故の場合は、乗客を列車から降ろして線路上を避難させなければならないこともある。だが、隣の線路に列車が入ってこないという確認が取れない限り、乗客を列車から降ろすわけにはいかない。車掌がいてこそ、乗客を適切に避難誘導することができるのだ。
 運転士には、指令とのやり取りや、列車自体の監視という役割がある。乗客への案内・誘導まで、何もかもを一人でこなすことには限界がある。
 車掌は安全の要を担っている。ワンマン化で車掌を廃止してはならないのだ。

闘う労働組合とり戻そう

 JR東日本は「新たなジョブローテーション」と称して運転士や車掌の職名を廃止し、「乗務係」にする攻撃を進めている。これは、運転士も含む鉄道の全業務を外注化・分社化し、労働者を転籍させて総非正規職化することが狙いだ。
 そして、それを強行するために、労働組合をつぶして社友会のもとに全職場を抑え込もうとしている。
 ワンマン運転の拡大は、まず車掌に狙いを定めてその大幅削減で雇用不安をあおり、仕事に対する誇りを奪って、会社の施策への屈従を強いる攻撃だ。
 だが、安全の要を守る車掌の業務は、なくしていいものでは断じてない。
 運転士にとっても、ワンマン化は運賃収受の業務を押し付けられるなど、大きな負担を強いられる。
 今年3月のダイヤ改定で、JR東日本は乗務員勤務制度を改悪し、運転士の拘束時間と実乗務時間を大幅に増やした。運転士には肉体の限度を超える労働が強いられている。疲れがたまり、事故の危険と隣りあわせで運転士は業務に携わっている。疲労が原因と見られるオーバーランも起きている。その責任はすべてJR資本にある。
 安全をさらに破壊するワンマン運転拡大に職場から反対の声を上げよう。そのためにも闘う労働組合を取り戻そう。
 ワンマン化は地域の住民にとっても重大問題だ。動労千葉のように、地域住民とも連帯して闘いぬけば、ワンマン運転の拡大は阻止できるのだ。

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JR東日本のワンマン運転拡大提案

実施内容 線区・区間を限定せずにワンマン運転を実施する
実施日 2020年3月 具体的な実施日については各地方で示していく

短編成(1~2両) 必要な設備を整備した上で拡大していく
中編成(3~6両) ドア閉時に運転士がホーム上の安全を確認できるようにするため車載ホームモニターを整備する
長編成(7両以上) 車載ホームモニターを整備するホームドアを整備する 安定輸送確保のためATO(自動列車運転装置)またはTASC(定位置停止装置)を整備する
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