知る・考える 用語解説 目的遂行罪-「共謀罪」と一体で現代に復活

週刊『前進』02頁(3061号02面04)(2019/08/22)


知る・考える 用語解説
 目的遂行罪-「共謀罪」と一体で現代に復活


 戦前の治安維持法は、「国体」の変革と私有財産制度の否認を目的とする結社を組織することと加入することを取り締まる目的で1925年に制定された。28年の改定で、それまで「10年」であった最高刑を死刑に引き上げたほか、「結社の目的遂行のためにする行為」を、結社に実際に加入したことと同等の処罰の対象とした。これが目的遂行罪である。
 目的遂行罪はあらゆる人々のつながりを弾圧対象とし、当局の恣意でどこまでも拡大できる。特高警察が「目的遂行のためにする」と見なせば、労働運動をはじめあらゆる行為が検挙の対象となった。実際、それ以降、治安維持法適用の約9割が目的遂行罪規定によるものだった。33年には日本労働組合全国協議会が「国体」変革結社に追加された。国内における弾圧の拡大は、日本帝国主義の朝鮮・中国・アジア侵略戦争と完全に一体であった。
 治安維持法における目的遂行罪と同様の規定が2017年に安倍政権による組織的犯罪処罰法改定で復活した。「共謀罪」新設とともに付け加えられた条文で、「組織的犯罪集団に不正権益を得させ、維持し、拡大する目的で行われるものの遂行を……計画した者」も処罰の対象とした。翌18年より開始され今日なお続いている全日建運輸連帯労働組合関西地区生コン支部への大弾圧は、事実上、共謀罪を先取りし、労働組合を絶滅することを狙うものである。絶対に打ち破ろう。
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