排外主義うち破り国際連帯を
排外主義うち破り国際連帯を
8月1日に発表された動労千葉国際連帯委員会の声明「改憲・戦争に向かう安倍政権打倒! 対韓国輸出制限を即時撤回せよ!」(以下「8・1動労千葉声明」)に始まる8月の闘いは、安倍が狙う改憲・戦争と、そのための韓国への排外主義大キャンペーンを打ち破る突破口を切り開いた。民主労総を先頭とする韓国の労働者民衆との国境を越えた団結こそ、安倍の改憲攻撃を打ち破る力だ。動労千葉、ヒロシマ・ナガサキの闘い、そして星野闘争が積み重ねてきた日韓連帯を全力で拡大し、全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部への大弾圧をはじめとする労働組合つぶしの大攻撃をはね返して、すべての怒りと力を改憲・戦争阻止の11月全国労働者総決起集会と日韓国際連帯行動に集めよう。
あくまで改憲に進む安倍
8月13日、安倍は父親の墓参り後「国会で憲法の議論をいよいよ本格的に進めていくべき時を迎えている」、それが7月参院選で示された「国民の負託」と強弁し、10月から始まると言われる臨時国会で改憲発議へと突き進む意志を明らかにした。野党の取り込みと屈服をとおして、改憲発議ができる「3分の2」勢力の確保をも狙っている。
そのために、韓国への排外主義を猛然とあおっている。安倍政権は参院選公示と同時に、韓国への半導体材料3品目の輸出規制に踏み込んだ。続いて8月2日、韓国を貿易管理上の優遇措置対象である「ホワイト国」のリストから除外することを閣議決定した。戦争行為に等しい暴挙だ。
これと一体で、関西生コン支部に対しては84人の逮捕、62人の起訴という共謀罪型の大弾圧が強行されている。JRをはじめ「労働組合のない社会」を狙う大攻撃が、「働き方改革」として強行されている。安倍による排外主義の扇動によって、日本軍軍隊慰安婦とされた女性を象徴する「少女像」を展示したあいちトリエンナーレでの「表現の不自由展・その後」は、一旦は中止に追い込まれた。新天皇即位による5・1メーデーの圧殺、福島の怒りを圧殺して被曝を強制する常磐線全線開通と東京オリンピックに加え、8月6日に広島で拡声器を使わせない条例制定が狙われた。
安倍政権は、労働組合や市民の人権を守り戦争に反対する闘いと声を圧殺し、社会全体を愛国主義・排外主義で染め上げ、制圧して改憲・戦争に突き進もうとしている。米中貿易戦争をはじめとする世界戦争への大激動のなかで、安倍と日本帝国主義は今や9条改憲で日本を「戦争をできる国」にすること、実際に戦争(核戦争)に突入すること以外に延命の道がない。
関生弾圧粉砕は全労働者の課題
しかし、「8・1動労千葉声明」、被爆者、被爆2世・3世の怒り、「改憲・戦争阻止!教え子を再び戦場に送らない!広島教職員100人声明」を先頭とする8・6ヒロシマ―8・9ナガサキの闘い、そして東京で開かれた「改憲発議を阻もう!8・12労働者市民のつどい」は、安倍の改憲攻撃への日韓労働者による反撃の始まりとなった。
「8・1動労千葉声明」は「問われているのはわれわれ自身だ。韓国の労働者民衆は私たちの敵ではない。私たちの友人だ。敵は国家主義を煽(あお)りたてる日本政府だ」と訴え、「労働者の今と未来をかけ、韓国・世界の労働者と固くスクラムを組み、報復的輸出規制を絶対に許さず、改憲・戦争に向かう安倍政権を必ずや打倒する」と高らかに宣言した。
8・5全国教職員ヒロシマ集会で登壇した韓国の教育労働者は「友達に『愛国者なら(日本に)行くな』と言われたが、それでは問題の解決にならない」と訴え、「動労千葉の声明を読んで胸が熱くなりました」と、その感動を語った。「8・1動労千葉声明」は韓国内の複数のマスコミでただちに報道され、ソウルの街頭では「反日」のプラカードが「反安倍」「NO安倍」にとって代わられた。
8月12日には、韓国・民主労総ソウル地域本部の仲間と日本の労働者市民がともに「少女像」のパフォーマンスを都内の駅頭で行い、公安の妨害を打ち破って「改憲阻止」「NO安倍!」の声を上げた。広島では「拡声器規制条例」制定策動を打ち破り、「安倍は帰れ!」のデモに多くの青年・学生が飛び入りで合流した。「(5月30日に逝去した)文昭の闘いを引き継ぐ」と立った星野暁子さんと韓国・テグの仲間の手でつくられた詩集「おっとのない結婚式」が日韓同時に出版された。星野文昭さんの獄死を乗り越える闘いは、国境を越えた民衆の魂となった。一つ一つの小さく見える闘いが、世界の民衆を激励している。その現実に、われわれ自身も感動し勇気をもらう。国境を越えた団結は、必ず世界を変える。
世界の労働者民衆がストライキやデモに立ち上がっている。香港のデモはゼネストに発展し、社会全体を止め、中国スターリン主義を根幹から揺るがしている。闘いはさらに台湾へと波及している。
これらの闘いを、社会の根底的変革に向けた国際的な一つの闘いにできるのが労働者階級だ。それは、どの国の労働者も資本主義のもとで搾取・抑圧されている「一つの階級」だからだ。韓国でパククネ政権を打倒した「ろうそく革命」の先頭に立ったのは民主労総という労働組合のゼネストだった。日本でもこの闘いに続こう。安倍は労働組合の決起を恐れている。関西生コン支部弾圧粉砕の闘い、「8・1動労千葉声明」を広げ、労働組合をよみがえらせよう。
労組よみがえらせ11月へ
日本では、1987年の国鉄分割・民営化攻撃以来の新自由主義攻撃によって労働組合が徹底的に弱められてきた。その現実のもとで、職場では労働者が日々人権と生命・生活が奪われ、ついには社会そのものが崩壊し始めている。
非正規職労働者は4割に達しようとしている。生活保護受給者は216万人。年金制度の崩壊は「2千万円問題」として全社会に衝撃と怒りを呼び起こしている。全労連の調査によると、1997年から2016年までの19年間で、帝国主義7カ国のアメリカやドイツでは1割以上実質賃金が上昇しているにもかかわらず、日本は1割以上も下落している「超低賃金国」だ。その上、10月から消費税が10%に引き上げられる! 本当に生きられない現実が進行している。
戦争へと向かう国家の現実と、日々労働者が苦しめられている現実は完全に一体だ。この現実のただ中に飛び込み、ともに声を上げることが労働組合運動の実践であり原点だ。
JRは「電車は無人運転」「運転士は(専門職ではなく)事務職」「駅は外注化」として労働者を徹底して軽視し、鉄道の運行自体を放り投げようとしている。自治体業務は次々と外注化・委託化されて労働者は非正規・低賃金へと突き落とされている。ある工場では夜勤中に倒れた外国人の派遣労働者に対し、会社は救急車を呼んだだけで家族への連絡も付き添いもなしで放り出した。ある運輸職場では労働者が事務所を出て30分後、運転中に心筋梗塞で救急搬送される事態が起きた。日常的なパワハラや嫌がらせによって「ものを言う労働者」は徹底的に攻撃されている。
こうした現実に対して、ついに労働者が「殺されてたまるか!」と立ち上がり始めている。一人の決起が次の一人へ、また職場全体に拡大しようとしている。この闘いに最後の勝利まで責任を取れる労働組合をつくり、拡大しよう。労働組合をよみがえらせるこうした闘いをとおして、労働者党をつくりあげよう。