星野闘争 新たな出発 国家犯罪追及・再審勝利へ 杉並公会堂で追悼集会開く

週刊『前進』02頁(3057号01面01)(2019/08/01)


星野闘争 新たな出発
 国家犯罪追及・再審勝利へ
 杉並公会堂で追悼集会開く

(写真 追悼動画が上映され、スクリーンに闘いの先頭に立つ星野さんの姿が映し出された【7月26日 東京・杉並区】)



(写真 ステージの上には花と共に大きな星野さんの遺影が置かれ、参加者と向き合った)

(写真 共に星野闘争を担ってきた丸尾めぐみさんと福山竜一さんがミニコンサート。ヒロシマへの原爆投下を題材にした曲などを演奏し、最後は会場が一体となって「ソリダリティ」を合唱した)


 7月26日、「星野文昭さん追悼 獄死・国家犯罪を許すな7・26全国集会」が東京・杉並公会堂で開かれた。北海道から沖縄まで全国36救援会を先頭に「沖縄に寄り添い、闘って、獄死された星野さん」(糸数慶子参議院議員メッセージ)と絵画展や意見広告など様々な契機を通して出会った720人が一堂に会した。獄中44年、不屈・非転向を貫き、「誰もが人間らしく生きられる社会を」と闘い抜いた星野精神を継承し、①獄死の責任を問う国家賠償請求訴訟、②第3次再審請求裁判と、星野さんと共に71年渋谷闘争を闘った大坂正明さんの無実を明らかにする裁判闘争を一体で闘う、③改憲・戦争阻止、11・3集会への総決起を確認。新たな星野闘争の開始を宣言した。

 黙とうの後、星野さん追悼の映像が上映され、文昭さんと暁子さんをモデルに演劇「ブラインド・タッチ」を作・演出した坂手洋二さんも「星野さん解放を夢見て作った劇だった」とビデオメッセージ。
 主催者あいさつに立った星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議共同代表の戸村裕実さんは、「獄死させた国家犯罪を絶対に許さない。他者への優しさであり、黙従を拒否するという星野さんの生き方、星野精神を継承し、星野闘争を前進させよう」と訴えた。
 暁子さんとの結婚まで文昭さんの身柄引受人を務めて2014年まで面会を続け、6月9日、文昭さんを追うように逝去された群馬の青栁晃玄さんに伊藤成雄さんが追悼の辞を捧げた。
 星野さん追悼の言葉として、四国地方更生保護委員会との交渉の先頭に立った元参議院副議長の角田義一さん(星野再審弁護団)を始め、星野再審闘争の証拠映像を製作した永田浩三さん、国鉄闘争全国運動呼びかけ人の金元重さん、映画「獄友」監督の金聖雄さん、三里塚芝山連合空港反対同盟の伊藤信晴さん、冤罪犠牲者の会の十川正さん、高知・星野さんを救う会の小西文江さん、医師の山田真さんが、それぞれの立場から思いを語った。
 紹介された追悼メッセージで、71年11・14渋谷闘争で46年もの指名手配の末、17年に逮捕された大坂正明さん(東京拘置所在監)が、星野さんの遺志を継ぎ「私の裁判を星野さんの事実上の再審としても全力で闘うことを誓う」と宣言。
 星野解放歌を作った丸尾めぐみさんと福山竜一さんがミニコンサート。最後は会場全体で「ソリダリティ」を大合唱した。
 星野再審弁護団から主任弁護人の岩井信弁護士、大坂弁護団でもある藤田城治弁護士が発言に立った。岩井弁護士は「死亡診断書に医師は『巨大な腫瘍(しゅよう)』と記した。巨大な腫瘍にしたのは誰なのか、真実を明らかにする」と国賠への意気込みを語り、藤田弁護士は「大坂裁判ででっち上げという国家犯罪を明らかにする」「手術前の5月24日に面会した星野さんは意欲に満ちており、一緒に頑張り、闘い抜こうと約束した」と振り返った。
 再審連絡会議共同代表の狩野満男さんが新たな星野闘争の方針を提起し、洞口朋子杉並区議と全学連の髙原恭平委員長が、青年・学生こそが星野闘争の先頭に立つ決意を語った。家族の訴えが、星野暁子さんといとこの星野誉夫さんから行われた。暁子さんは「獄中44年、全世界のことを思って生き抜いた文昭の生と死を無駄にしたくない」と語り、人間解放の実現まで共に闘おうと呼びかけた。
 星野文昭さんの生と死、その対極にある安倍政治。死してなお星野さんは、私たちにこの社会での生き方を指し示している。

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生と死を無駄にしないため
 つれあい 星野暁子さん

 私を信頼し、仲間を信頼し、これからのことは全て私と仲間に託して、とりわけ青年に託して文昭は旅立ちました。全てを成し遂げた穏やかな顔でした。73歳で断ち切られたという無念さを思うと共に、文昭の人生は、幸せないい人生だと思います。
 私のために、皆のために生きた文昭の獄中44年を無駄にしないということは、星野文昭の精神が皆さんの中に生きること、そして国賠と第3次再審に勝利することだと思っています。私と文昭の兄弟が第3次再審請求の申立人になります。
 大坂正明さんの裁判を共に闘い、その地平に立って再審に勝利しましょう。
 文昭の精神の継承とは、人間に対する揺るぎない信頼、人間解放のための不断の努力、他者に対する優しさ、そして沖縄への連帯です。私の病気に対しても自らの非を認め切開し、展望を示してくれました。
 関生支部への弾圧をひっくり返し、改憲・戦争を阻止しましょう。11月労働者集会に集まりましょう。
 文昭は私の心の中に生きています。皆さんの中にも生き続けます。文昭が実現したかった人間解放の闘いと星野闘争を、皆さんと共に私が継承します。私たちには星野文昭がついています。頑張りましょう。

「巨大な腫瘍」は誰の責任か
 主任弁護人 岩井信弁護士

 文昭さんが徳島刑務所から仮釈放が出ないということを伝えられたのは4月1日のことですが、徳島刑務所は今年3月4日のエコー検査の結果を、医療センターに移監される前日、4月17日の夜まで文昭さんに伝えませんでした。
 3月14日には四国地方更生保護委員会の井坂委員長による面会が行われましたが、体調は一切話題になっていません。更生保護委員会は、星野さんの心身の状況について徳島刑務所から情報の提供を受けていなかったと思われます。徳島刑務所は仮釈放の審理が動くことのないように医療を放置し、検査もしなかった疑いがあります。巨大な腫瘍(しゅよう)をつくらせたのが誰なのか、裁判で真実を明らかにしていきます。

星野魂を持って闘い抜こう
 星野再審弁護団・元参議院副議長 角田義一さん

 文昭さんの訃報(ふほう)に接し、国家権力に対する激しい怒りが胸の中に湧き上がってきました。文昭さんは国家権力犯罪によって殺されたのです。許せません! 犯罪者どもを徹底的に糾弾し、追い詰め、責任を取らせなければならないと私は決意いたしました。覚悟しておけよ!
 法務省を取り囲んだ怒りのデモに始まり、国家賠償請求訴訟、再審闘争に向けて、星野魂を継承した人々の闘いは燎原(りょうげん)の火のように広がるだろうし、また、広げなければならないと思っております。ここに集まった同志の一人一人が星野の魂を持って闘い抜くことをご霊前に誓いたい。私は文昭さんにさようならとは言わない。あなたは私たちの心の中に生きているから。皆さん、頑張りましょう!

大坂さんと共に無罪実現を
 星野再審・大坂裁判弁護団 藤田城治弁護士

 星野さんのでっち上げと大坂さんのでっち上げは、まったく同じ構造です。星野さんの裁判で証言させられた6人のうち、5人の捜査段階の供述調書によって大坂さんをでっち上げようとしているわけです。
 私たちは、それらの国家犯罪を暴く闘いに突入していきます。これは星野さんの無実を明らかにする闘いとまったく同じです。裁判員裁判で進められる可能性が高いですが、これを許さない闘いも一体で行っていきたいと思います。
 私は星野さんと5月24日に接見しました。「一緒に闘い抜きましょう」というのは星野さんとの約束でもあります。ですから星野さんの再審と国家賠償請求訴訟、大坂さんの裁判を闘い抜くことをお約束します。

国賠と第3次の再審請求へ
 全国再審連絡会議共同代表 狩野満男さん

 私たちは新たな闘いを開始します。何よりも、星野さんを獄中に追いやった全てを許しません。あと一歩まで迫った仮釈放を不許可にした四国地方更生保護委員会、徳島刑務所の医療放棄・不作為を徹底的に明らかにし、命を奪う手術を行った東日本成人矯正医療センターに対する国家賠償請求訴訟を徹底的に闘います。星野さんの命を奪った全てを追及します。
 次に、第3次の再審請求です。星野暁子さん、ご兄弟の治男さん、そして修三さんが申立人です。この第3次再審は共同被告である大坂正明さんの裁判と連動します。膨大な証拠開示がかちとられていることは、星野闘争の物質的圧力によるものです。大坂さんの裁判を私たちの闘いとして勝利させましょう。
 そして、全国36の救援会が戦争・改憲阻止の大運動にその力をいかんなく発揮しています。沖縄現地では沖縄取り戻す会、全国の仲間が辺野古に駆けつけています。
 許しがたい政治弾圧がかけられている全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部と共に闘います。
 星野さんは人間が人間らしく生きられる社会を求め、戦争に反対し、沖縄に応える闘いに立ち上がりました。改憲と戦争に反対し、星野さんの闘いと無実を訴えることが、勝利をひきよせる最大の道です。最大の武器は絵画展です。
 私たちには膨大な闘いの蓄積と教訓があります。一人一人が星野文昭さんとなり、共に闘い勝利していきましょう。

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