全学連特集号 9月 全学連大会へ 学生の行動が社会を変える 新世代の全学連を共につくろう

週刊『前進』02頁(3055号01面01)(2019/07/25)


全学連特集号
 9月 全学連大会へ
 学生の行動が社会を変える
 新世代の全学連を共につくろう


 全学連は9月14〜15日、第80回定期全国大会を開催します。テーマは①大学改革、②新自由主義、③改憲・戦争、④全学連運動です。大学の危機と改憲・戦争に対し、日本の学生もいよいよ立ち上がる時。皆さんの参加を呼びかけます。

大会テーマ① 大学改革 
大学商業化を許さない

 今年の全学連大会の最大の目標は、大学・学問の商業化と真っ向から立ち向かう全国的な学生運動をつくり上げることです。
 いま、日本の大学は金もうけの機関、あるいは政府の言いなりの機関へと変質しています。学費の値上げ(表)やサークル活動の規制、キャップ制など、学生の主体性・自主性を奪う改悪が次々と進んでいます。多くの大学は就職予備校と化し、1年生のときから就活を強制されています。研究分野でも、学生は研究室の駒にされることもあれば、軍事研究に従事させられることもあります。
 このような学問の破壊を止められるのは、現場=キャンパスで闘う学生運動しかありません。すでに教員は法改悪によって権限を奪われ、大学の運営は学生の声どころか教員の声すらも聞く必要がなくなっています。いまの大学のあり方を変えられるのは、学生が実力行動に立ち上がることのみです。大学当局(若干名の役員)が勝手に決めた「ルール」にとらわれることなく不服従を貫き、学生の怒りの声で大学当局を包囲することだけが、大学のあり方を変えられます。過去、大学の学費が廉価に抑えられたのも、キャンパス内にサークル棟が建てられたのも、学生が自主管理する安価な学生寮が維持されてきたのも、すべては過去の学生運動の成果です。
 では、学生はそのような行動に立ち上がるのか。学生自治会運動を担う人の中からは否定的な意見も出ます。しかし、試しもしないのに、最初から諦めてはいけません。
 全学連は「学生の実力行動で大学を変える」ということが決して容易ではないことを認識しつつも、そこに唯一の活路を見いだして、この間、京都大などでの取り組みを重ねてきました。そして、いま京都大では、大学当局が勝手に決めた立て看板規制を打ち破っています。学生運動の発展に恐怖した京大当局は2016年以来、多くの学生に停学・退学などの処分をかけてきていますが、運動の火は立て看板規制にとどまらず、大学のあり方を問うところまで、どんどん拡大しています。
 この間の全学連の運動は、学生は立ち上がるということ、学生が立ち上がれば勝てるということを証明しています。京都大の学生運動に続き、全国に学生運動を再建しよう。腐った大学・学問のあり方を根底からひっくり返して、真理探求の場・学問の府として大学を確立しよう!

大会テーマ② 新自由主義 
社会の崩壊を止めよう

 全学連大会の第二の目標は、新自由主義による社会の崩壊を止めることです。
 1980年代以来の新自由主義政策の中であらゆる物が民営化=金もうけの道具となりました。大学もその例外ではありません(2004年の国立大学法人化)。そして、金もうけの「邪魔」だからと、労働運動や学生運動は徹底して潰されてきたのです。87年の国鉄分割・民営化に際して行われた労働運動潰しはその最たるものとしてありました。
 「今だけ、金だけ、自分だけ」とすら表現される新自由主義政策の中で、日本社会は徹底的に破壊されています。非正規雇用で家族も持てない「アンダークラス」と呼ばれる貧困層が900万人近くも存在し、年々増加し続けています(表)。年金制度は崩壊寸前です。まさに民衆に死ねと命じるかのような社会になっているのです。
 これからの社会を担うのは若者・学生です。もう後戻りができないほどに社会が破壊されてから、私たちが社会を担うようになっても手遅れです。金もうけ第一の新自由主義と闘う学生運動をつくり上げましょう。

大会テーマ③ 改憲・戦争 
キャンパスから反対を

 大会スローガンは三つ目に「『改憲=戦争反対』の声をキャンパスから上げよう」と訴えています。
 先日の参議院議員選挙で安倍・自民党は「憲法改正」を訴え続けました。これまでも安倍首相は「2020年に新憲法施行」を繰り返し宣言してきましたが、選挙のときは「アベノミクス」で票を集める戦術を取ってきました。今回「改憲」を焦点化したのは、後がなくなった安倍・自民党の焦りの表れです。
 全学連はなぜ改憲に反対するのか。
 その理由の一つは、今回の改憲がまぎれもなく戦争を意識したものだからです。自民党改憲案は憲法9条を骨抜きにし、「自衛のため」の戦争ならば認められるとしています。しかし、あらゆる戦争は「自衛」の大義名分で始まりました。太平洋戦争も湾岸戦争もイラク戦争も、「自衛」を掲げて帝国主義が侵略したのです。こうした事実を踏まえれば、「自衛に限定されるから問題ない」というのは現実離れした空論か、あるいは詭弁(きべん)です。
 そして戦争になれば、当然のように日本社会全体に大きな被害が出ます。若者は徴兵・徴用となるでしょう。太平洋戦争中の日本の学生は、学徒出陣として軍隊へ送られるか、工場などでの労働を強制されました。一方で、兵士や民衆に塗炭の苦しみを強制する中で、戦争で得をする人がいるのも事実です。軍需産業でもうける大企業、排外主義をあおることで支持率を上げる政治家......。戦争は多くの民衆を苦しめる一方で、それに利益を求める人もいるからこそ、ずっと起きてきました。
 また、戦争は学問も破壊します。すでに軍事研究制度が15年より公然と開始されていますが、このように軍事と学問は常に密接な関係にあります。通常の研究費の削減と軍事研究費の増大という形で、人殺しのための研究を半ば強制されようとしているのが、現代日本の現実です。
 改憲阻止の闘いの正念場はこの秋です。学生がキャンパスという自らのフィールドで反対すれば、軍事研究も学徒動員も戦争もできません。キャンパスから改憲阻止=戦争反対の声を上げましょう。

大会テーマ④ 全学連運動 
学生の実力に依拠する

(写真 京大同学会執行委員会が呼びかけ、昨年4月27日に立て看規制阻止へ京大生の決起で弾圧体制をはねとばし集会を貫徹)

 大会のスローガンの四つ目は「全国学生の力で新世代の全学連をつくり上げよう」です。
 全学連は1948年に設立されて以来、70年にわたって日本の学生運動を最先頭で牽引(けんいん)し続けてきました。労働者の運動とも連帯することで、ベトナム戦争(アメリカ合衆国によるベトナム侵略)の終結に一役買い、大学の学費値上げを止め、またキャンパスの環境改善などを各地で実現しました。
 一方で、80年代に始まった新自由主義政策の中で、多くの学生自治会や学生寮は政府と大学当局とが一体となった攻撃で潰され、日本の学生運動は大きな危機へと追い込まれました。学生自治会・学生運動、さらには学生運動的なものまで根こそぎ一掃する、従来経験したことのなかった政策に、学生運動も大きな転換が求められました。
 全学連は2000年代の東北大学の有朋寮廃寮阻止闘争と法政大学での規制強化との闘いを通じて、新自由主義と闘う学生運動を確立しました。それは大学当局と学生自治会との交渉における手練手管や一部の協力的な教授に依拠するのではなく、学生の実力に依拠する運動のあり方です。そして、大学当局が学生運動の一掃を狙っていることを見据えて、交渉によって譲歩を引き出すのではなく、「絶対反対」を貫いてそれをキャンパス全体の声(全員反対)へと転化していくあり方です。
 こうして東北大―法政大などで確立された21世紀の全学連運動は、いま京都大を最大の焦点として勝利的に進展しています。京都大当局が吉田寮の廃止やサークルによる集会の禁圧、立て看板の全面禁止や学園祭の大幅縮小を打ち出してきたように、もはや京都大当局は「学生運動的なもの」まで含めた一切の壊滅を狙っています。これに対抗できるのは全学連の運動しかないことが明らかとなりつつあります。
 重要なことは、この全学連を担うのはあくまで一人ひとりの学生だということです。全学連を支えるのは、一握りの経験と能力と知識のある特殊な学生ではありません。そのような「優秀」な学生のみに運営を依拠していたならば、全学連運動は70年間も続くことはなかったでしょう。なぜなら、「優秀」な人が全学連を去った途端に、運動は支柱を失い崩壊してしまうからです。
 全学連運動が長年にわたって継続してきた力は、それぞれの個別具体的な「経験」を「総括」へと普遍化して後世に引き継ぎ、新しい世代がその総括を我が物として摂取して「巨人の肩の上に立つ」ことを実現してきたからです。
 全学連は昨年の全学連大会で髙原恭平委員長(東京大)―加藤一樹書記長(京都大)の新執行部を選出しました。今年の大会においてもいっそうの世代交代を進め、新世代の全学連がより発展していくことを目指しています。初参加者も含む中央執行委員会体制を確立し、常識を超えるような運動をこの激動の時代に展開していきましょう。

全学連大会の意義 
自由な討論と経験交流 
キャンパスの活動の力に

(写真 昨年9月1〜2日に行われた全学連大会)

 全学連大会とは毎年1回行われている、全学連における最も重要で大規模な会議です。全学連運動に関わるすべての学生が全国から集まって、この1年間の運動を総括し、今後1年間の方針を討議し決定します。
 そして、全学連大会の意義は次の点にあります。普段それぞれの大学で活動していると、どうしても自分のいまの大学の状況を全国の普遍的な状況と誤解しがちです。しかし、長らく活動してきた全学連の経験と、いま全国で活動している学生の経験とを知ることで、それぞれの大学の状況を時間的・空間的に客観的に見ることができ、視野を広げることができるのです。それゆえ、大会スローガンに決して同意できない人であっても、大会に参加し色々な経験と総括と知識とを摂取してほしいと思います。
 そして、全学連大会には毎年、多くの学生が初参加しています。初めて参加する学生の問題意識は、「社会問題について詳しく知りたい」といったものから、「色々な意見や経験を摂取して自らの学生自治会運動に役立てたい」といったものまで様々です。しかし、どの初参加者も全学連大会における提起や学生同士の討論を通じて、新しい知識や視点を獲得し、自らのキャンパスでの活動に役立てています。今年も多くの学生が参加し、全学連大会の経験をそれぞれのキャンパスに持ち帰ることを期待しています。
     ◆
議事内容(予定)
【1日目】
・委員長あいさつ
・執行部からの議案提起
・来賓あいさつ
・各大学からの報告
・議案への質疑応答
→夜は宿泊場所で交流会
【2日目】
・来賓あいさつ
・討論
・新執行部の選出
・その他
※来賓あいさつは、コンビニ関連ユニオン委員長の河野正史さん(セブンイレブン本部社員)と、杉並区議会議員の洞口朋子さん(元全学連執行部)を予定。

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