米帝がイラクで用いたデマ 「大量破壊兵器」でっち上げ開戦 同様の手口でイラン攻撃狙う
米帝がイラクで用いたデマ
「大量破壊兵器」でっち上げ開戦
同様の手口でイラン攻撃狙う
米トランプ政権がイラン・中東侵略戦争を狙って突進している。
帝国主義はこれまでデマと情報操作を行って労働者人民を動員し、侵略戦争を続けてきた。2003年から始まった米帝のイラク侵略戦争を例にとって、帝国主義がデマを使って侵略戦争に突入した手口を暴露する。
「悪の枢軸」と呼んで憎悪あおる
01年9月11日にアメリカで、武装勢力アルカイダによる同時多発テロが起き、世界中に衝撃を与えた。そこから、ブッシュは02年の年頭の一般教書演説で、イラク、イラン、北朝鮮を名指しして「悪の枢軸」と呼んだ。そして、イラクが「大量破壊兵器を持つテロ支援国家」であるとくり返した。国民の90%がブッシュ政権のデマを信じたと言われている。
03年3月17日の米軍によるイラクへの先制攻撃の空爆から、米帝を軸とした有志連合がイラク戦争を開始。当時のフセイン政権を転覆、フセインの拘束・処刑をへて、さらに10年8月31日までイラクを徹底的に破壊しつくした。しかし、大量破壊兵器はどこにも見つからなかった。
契約書を偽造しウラン入手宣伝
イラク・フセイン政権が大量破壊兵器を持っていると演出したブッシュ政権のデマ宣伝は次のとおりだ。
❶イラクがウランを入手したというデマ。01年末ごろからイラクがニジェール共和国からウランを入手したという疑惑が浮上する。しかし、情報源として提出されたウラン引き取りの契約書は、国際原子力機関(IAEA)や米中央情報局(CIA)でさえ偽造文書と断定するものだった。それでもチェイニー副大統領は、「偽造文書ではない」と主張し続けた。
❷アルカイダ支援のデマ。02年後半から米政府はイラクがアルカイダを支援し、大量破壊兵器を渡している可能性があると主張した。しかし、後になってもイラクとアルカイダの関係を示す証拠は何も発見されていない。
❸ウランを濃縮する遠心分離機用のアルミチューブを大量に購入したというデマ。しかし、このアルミチューブはロケットエンジン用であると、当時のエルバラダイIAEA事務局長が断定した。米政府は「イラクは核開発を行っている」「1年以内に核兵器を製造できる」というデマを発表した。
❹生物・化学兵器生産のデマ。イラクには移動実験室があると、イラクからの亡命技術者が主張し、米帝はこれによってイラクが大量破壊兵器を保有していると述べた。しかし、後になってこの亡命技術者本人が、自分でうそを言ったことを認めている。さらに、CIAに依頼された調査団の団長は04年1月の上院軍事委員会公聴会で「私を含めてみんなが間違っていた。生物・化学兵器が発見される可能性はもうないだろう」と証言した。
❺神経ガス製造についてのデマ。フセイン・カメル(フセインの娘婿)が亡命先で査察団に対し、神経ガスの製造を明かした。この証言は「しかし、湾岸戦争後に破棄した」と続くが、パウエル国務長官は前半の「神経ガスを製造」の部分のみを演説し、それだけが世界のニュースになった。
石油産業民営化と軍需資本救済
ブッシュ政権は数々のデマを流し、イラク侵略戦争を強行した。米軍とイラク正規軍との戦闘は03年のうちに終わったが、それからムスリム人民の抵抗闘争が爆発し、それを鎮圧するために米軍がイラク中を破壊する戦争に発展した。特に、04年の米軍によるファルージャでの大虐殺や、同年5月に暴露された米兵によるイラク人捕虜虐待は世界に衝撃を与えた。
戦争の背景には、当時、開発の遅れていたイラクの石油地帯を米帝が手に入れ莫大(ばくだい)な利益を上げようとしたことがある。イラクで国有だった石油産業を民営化させ、米資本が参入することで莫大な利益を手に入れようとした。また、ベトナム戦争以降、大規模な戦争がなく、戦争を起こすことで米軍兵器の大量使用と大量発注で軍需産業を救おうとした。
帝国主義国が「正義と民主主義のため」などと言って始める戦争の正体がこれだ。そして今、トランプ政権はイラク戦争と同様のデマと情報操作という手口を使い、イラン侵略戦争に突き進もうとしている。日帝・安倍政権もこれにかみこもうとしている。安倍政権打倒へ闘い、改憲・戦争を阻止しよう。