G20サミット 米中を軸に世界戦争危機が激化 安倍の破産と無力性あらわ
週刊『前進』04頁(3050号01面02)(2019/07/08)
G20サミット
米中を軸に世界戦争危機が激化
安倍の破産と無力性あらわ
(写真 関西労組交流センターの主催で厳戒態勢を打ち破って闘われたG20大阪サミット粉砕デモ【6月28日 大阪市】)
主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)とその後の情勢の展開は、大恐慌下の帝国主義世界戦争の危機を新たな段階に押し上げている。G20大阪サミットでは米国や中国を先頭に個別の首脳会談が繰り返され、世界経済の分裂、帝国主義・大国間の争闘と対立があらわとなった。トランプは10人前後の各国首脳と会談した。米政府高官は「中国の影響力を排除する包囲網づくりが狙い」と明かしている。
首脳宣言では「成長率は低く、下方リスク」「貿易と地政学的な摩擦が増している」と明記された。「保護主義と闘う」という文言は昨年に続き入れられなかった。「自由で公正かつ無差別な貿易」「開かれた市場」は全くの空文句である。切迫する米のイラン・中東侵略戦争は議題から意識的に避けられた。
宣言には「デジタル化に代表される技術進歩」「AI(人工知能)活用」が盛り込まれた。新自由主義の破綻のもとで、全世界の支配階級が、「デジタル化」「AI」を振りかざし、解雇、総非正規職化など労働者階級を絶滅するような階級戦争にのめり込む中、これを一層激化させることでのみ合意した。気候変動問題では米と独仏などの対立が鮮明で、まとめることができなかった。
G20後に安倍が韓国に経済報復
安倍はG20の過程で韓国・ムンジェイン大統領との会談を見送り、サミット直後の7月1日に、韓国大法院が出した徴用工判決に対する経済報復を打ち出した。韓国への半導体材料の輸出規制を厳しくし、安全保障上の友好国から除外するというもので、重大情勢である。韓国側はサミット前に、日韓の企業が自発的に資金を出し合い原告と和解する案を提案していたが、日帝はこれをはねつけ、あろうことか経済報復に出た。「1965年の日韓請求権協定で解決済み」という日帝の主張は、日帝による36年間の朝鮮植民地支配を「合法・正当」とし、一切の謝罪と賠償を拒否する居直りだ。日帝の経済報復は新たな朝鮮侵略と戦争を狙う日帝の凶暴な攻撃だ。絶対に許してはならない。
トランプが日米安保見直し要求
米トランプと中国・習近平は、貿易戦争がもたらす世界経済の分裂・ブロック化、株暴落、大恐慌の再爆発という大破局におののき、29日の米中首脳会談を前に貿易戦争の「一時休戦」で合意。会談では貿易協議の再開、対中制裁第4弾となる3千億㌦(約33兆円)分の中国製品への追加関税先送り、華為技術(ファーウェイ)への制裁緩和で合意したが、これは双方の打算に基づく、つかの間の「休戦」でしかない。トランプが対中制裁を一時後退させたことに、米議会では与野党から激しい批判が出ている。米の貿易赤字、追加関税、産業補助金などをめぐる米中対立は依然として何も解決していない。またトランプはサミットの過程で、日米安保条約について「不公平な合意だ」「米国が攻撃されても日本は戦う必要がない。(日米安保を)変えなければならない」と見直しを要求した。安保条約を争闘戦のカードに使い、在日米軍駐留経費の日本側負担、武器購入、貿易交渉での日帝の譲歩を迫る狙いである。
安倍はこれをも逆てことして、日米軍事同盟のもとに米帝の行う侵略戦争に積極的に自衛隊を参戦させ、改憲を強行することを狙っている。
さらにトランプは、来年の米大統領選をにらんでG20後に訪韓し、30日に非武装地帯(DMZ)にある板門店で北朝鮮のキムジョンウン朝鮮労働党委員長と電撃的に会談した。議長の安倍はこの方針を知らされてもいなかった。朝鮮半島情勢からの完全な脱落をも突きつけられた日帝の危機は、この点からも深刻だ。
階級的労働運動を組織し、日帝・安倍打倒、改憲阻止へ闘おう。