イランへの侵略戦争許すな 核による中東支配を狙う米帝

発行日:

週刊『前進』02頁(3049号01面02)(2019/07/04)


イランへの侵略戦争許すな
 核による中東支配を狙う米帝


 没落するアメリカ帝国主義・トランプ政権は中東支配・世界支配の再確立を狙い、イランへの侵略戦争に踏み出そうとしている。 
 6月28〜29日に大阪市で行われた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を経て、アメリカ帝国主義はますます、イラン・中東への侵略戦争に突進している。それは世界の帝国主義国と、中国やロシアなどの大国が参戦する世界戦争の火ぶたを切るものだ。
 トランプは核兵器の使用を本格的に考えており、次の世界大戦は第1次も第2次も超える大殺りくの核戦争である。イラン・中東戦争、世界戦争を労働者階級の国際連帯の闘いで絶対に阻止しなければならない。
 なぜこうもトランプ政権は凶暴化しているのか。背景には米帝が没落する中で、一つに中国との争闘戦が激化しているからである。二つに、中東における反米国家としてのイランをこれ以上容認できなくなったからである。

中国の一帯一路構想粉砕を狙う

 G20サミットでは合同会談よりも、アメリカ、中国、ロシアが中心となった2国間の首脳会談がいたるところで繰り返された。
 29日の米中首脳会談で、トランプと習近平は、貿易戦争の「一時休戦」で合意したと報じられている。しかし、対中国の貿易における制裁措置はほとんど変わっていない。
 中国のシルクロード経済圏構想「一帯一路」は、陸上では中国から中央アジアとヨーロッパを結び、さらに海上ではインド洋、東南アジアを通り中国までをつなぐ大経済圏である。中国の一帯一路構想を粉砕することなくして、米帝は世界支配を再確立できない。米帝のイラン侵略戦争策動も、この中国との勢力圏争いが背景にある。
 米中両国は世界の国内総生産(GDP)の4割を占める経済大国だ。米中激突は世界経済を大恐慌に引きずり込む。だからこそ、各帝国主義国と中国、ロシアなどは軍事力で自らの勢力圏の確保に走っている。

中東の勢力圏と石油めぐり対立

 没落するアメリカ帝国主義は、世界支配の再確立のために、反米を掲げるイランを軍事的に屈服させ、中東をアメリカの支配下にくみしくことを狙っている。それはまた、米帝が、イラン産原油に依存するEU(欧州連合)や日帝、中国などに打撃を与え、勢力圏争いで優位に立つことを狙うものでもある。
 1914年から始まった第1次世界大戦に対して、プロレタリア革命の勝利へボリシェビキを指導したレーニンは、著作「帝国主義論」の序文で「1914〜18年の戦争が、どちらの側から見ても帝国主義戦争(すなわち、侵略的、略奪的、強盗的な戦争)であり、世界の分けどりのための、植民地や金融資本の『勢力範囲』等々の分割と再分割とのための戦争であった」と述べている。
 今まさに、まったく同じ戦争に米帝は突進している。それは中東の勢力圏と石油資源をめぐる対立を激化させ、世界戦争の導火線に火をつける。まさに参戦国が、核兵器をも使用して労働者人民を大量に殺りくする侵略戦争となる。
 6月20日、トランプはイランに対する軍事作戦を計画し、実行の10分前に中止したと明らかにした。米ウォールストリートジャーナル(電子版)は27日、アメリカがホルムズ海峡の東西にあるペルシャ湾とオマーン湾を監視・警戒する多国籍チームの編成を検討していると報じた。
 また、トランプはこの間、軍事的にアメリカに負担が偏っていることへの不満を述べている。日本を含めた他国に対して、「米帝の行う戦争を支えろ」と迫っているのである。安倍はこのトランプと3カ月連続で首脳会談を行い、日米安保同盟をいっそう強化していくことを宣言している。

改憲絶対阻止へ7・20デモ闘おう

 安倍は7月参院選で改憲を焦点にし、2020年新憲法施行に突き進んでいる。日帝が世界の帝国主義国・大国との争闘戦からずり落ちている強烈な危機にあるからだ。安倍は、ホルムズ海峡近くでのタンカーへの攻撃やトランプの発言をも利用し、改憲と自衛隊派兵を狙っている。
 トランプ・安倍が策動している戦争とは誰のための、何のための戦争か。それは、帝国主義国・大国の支配階級が大恐慌で行き詰まる中で、国内での労働者人民の反乱を抑え込み、他国へ侵略し人民を殺りくし、大資本の金もうけと労働者支配をさらに続けるための戦争である。
 しかし、労働者階級は労働組合の闘いによって、自国の戦争政策を破綻させ侵略戦争を阻止することができる。帝国主義による戦争を阻止する闘いと一体で、自国政府を打倒するプロレタリア革命に勝利し、戦争も抑圧もない社会を建設する力を労働者階級は持っている。
 職場から闘いをおこし、闘う労働組合をよみがえらせ、安倍を打倒し改憲を阻止しよう。全学連の呼びかける7・20銀座デモに結集し、夏から秋、改憲・戦争をめぐる待ったなしの決戦に立とう。
このエントリーをはてなブックマークに追加