香港 青年・学生が200万人デモ牽引 実力闘争で条例案を粉砕
週刊『前進』04頁(3048号01面02)(2019/07/01)
香港 青年・学生が200万人デモ牽引
実力闘争で条例案を粉砕
(写真 行政長官打倒まで闘い続ける! 「私たちは暴徒ではない」と書かれた横断幕を先頭に青年・学生が路上を埋め尽くした【6月16日 香港】)
本紙前号で既報の通り、「逃亡犯条例」改正案に抗議する香港の闘いは6月16日、ついに200万人の大デモとなって爆発した。香港市民の4人に1人が参加したこの空前の大デモに追い詰められ、香港行政長官・林鄭月娥(りんていげつが)は21日、「改正作業は完全に停止した」と表明した。それでもなお香港の労働者民衆は、政治犯や民主人士、労働運動活動家などを「犯罪者」として中国本土に引き渡すこの悪法を完全撤回させるまで闘いを継続する構えだ。
この香港デモの先頭で決起し、闘いを牽引(けんいん)したのは青年労働者と学生だった。青年労働者・学生の闘いが香港政府と中国スターリン主義を追いつめ、全世界に衝撃を与えている。香港の闘いが示したのは、今や青年・学生の決起で世界を変える時がきたということだ。
「非暴力」乗り越え反政府・直接行動
イギリスから中国への香港の返還が合意された1984年当時、中国の事実上の最高指導者だった鄧小平(とうしょうへい)は、97年の返還後も50年間は「一国二制度」をとるとし、自らの「改革・開放」政策を推進するためにも香港の政治・社会制度をそのまま残すこととした。香港が中国スターリン主義の支配下にのみ込まれるタイムリミットは2047年である。香港の10代、20代の青年にとって残された時間は長くない。「良い教育を受けて金をもうける」という従来の価値観では、香港の青年はもはや未来が見えない。また香港は日本以上の非正規社会だ。今回の条例案は、反体制分子は徹底的に弾圧するという中国スターリン主義による香港の支配の第一歩であり、もはや政治に無関心ではいられない。香港と自分たちの未来をかけて青年労働者と学生は必死に立ち上がっている。
2014年の雨傘革命の時のシンボルは黄色い雨傘だったが、今回のシンボルは「ブラック」である。青年を中心にデモは、服から旗、横断幕まで黒ですべて埋められた。黒が意味するのは「反政府」であり「直接行動」だ。これは鎮圧された雨傘革命の時の「非暴力」主義を乗り越え、実力で政府と対決して闘うという青年労働者・学生の決意の表現である。実際に6月12日には、デモ隊は幹線道路を数百㍍にわたって占拠し、催涙弾を使って弾圧する警察隊に投石などで激しく反撃した。そして負傷者72人、逮捕者約30人という大弾圧の中で不屈に闘いを貫き、16日の200万人決起を実現したのだ。
16日のデモは6月9日の103万人を倍する数となった。その参加者数は「200万+1」人と言われている。前日の15日、35歳の青年が林鄭行政長官に抗議してショッピングモールのパシフィックプレイスから飛び降り自殺した。「1」とはこの青年の「魂」のことであり、彼の遺志を引き継ぎ、彼と共に闘い、勝利するという香港の労働者民衆の決意である。この決意が200万人決起を生み出した。それは、香港の解放と革命までやむことのない闘いにつながっている。
労組のストと共に民衆総決起を実現
香港の闘いと勝利は、14年の雨傘革命を担い、それを総括して前進している青年労働者と学生が切り開いたものだ。彼らは香港職工会連盟などの労働組合と一体となり、それを基盤にして労働者民衆の総決起をつくり出した。そして今、法案の完全撤回と林鄭行政長官辞任を要求して闘いは継続されている。21日にも学生たちは立法会(議会)や警察本部庁舎を包囲した。すでに打倒されていながら、なお権力に居座ろうとする醜悪な姿は、さらに激しい労働者民衆の怒りを呼び起こし、林鄭に恥多き死を強制するだろう。
闘いはこれからだ。7月1日には香港返還22周年の大デモがあり、9月には雨傘革命5周年を迎える。G20大阪サミット以降の再度の大激突もありうる。
重要なことは、香港の闘いとその勝利的前進は、必ず中国本土の労働者と連帯し、その勝利を促すということだ。それは同時に全世界の青年労働者、学生への決起の呼びかけである。闘いなくして未来が見えないというのは、香港だけではなく全世界の青年が置かれた現実だからだ。
香港の青年労働者、学生と連帯して、日本の青年労働者・学生も決起し、この世界を変えよう! ともに未来を切り開こう!