無人運転で逆走の大事故 横浜 シーサイドラインで14人重軽傷
週刊『前進』02頁(3041号02面01)(2019/06/05)
無人運転で逆走の大事故
横浜 シーサイドラインで14人重軽傷
「想定外」の事態に対処できない装置
横浜市などが出資して設立された第三セクターの新交通システム「シーサイドライン」の新杉田駅で、6月1日午後8時15分ごろ、車両が逆走して車止めに激突する事故が起きた。シーサイドラインは運転士がいない完全自動運転で、車両は新杉田駅を出発しようとしてドアを閉じた直後に逆走を始め、約26㍍後方の車止めにぶつかった。この事故で14人がけがをし、うち6人が骨折などの重傷を負った。車両は時速約10㌔で逆走したと見られている。よりスピードが速い自動運転中の事故であれば、被害はもっと拡大していたはずだ。
シーサイドラインは、あらかじめ登録されたダイヤ情報をもとに、司令所にある運行管理装置で進路設定や発車時刻などを制御し、自動運転装置でプログラムに沿った無人運転をしている。しかし、車両が逆走することはまったく想定されていなかった。自動運転装置のプログラムにあらかじめ組み込まれていない事態が起きたとき、事故は防ぎようがないのだ。
ドライバレス運転狙うJRを許すな
列車の自動運転など絶対に成り立たない。今回の事故は、そのことをはっきりと突き出した。JR東日本は山手線のドライバレス運転の実験に着手した。そして、「自動運転もできるのだから運転士・車掌という特別の職名や特別の待遇はもはや必要ない」として運転士・車掌の廃止に踏み込んでいる。だが、無謀な自動運転は、できたとしても山手線などの首都圏の線区に限られている。にもかかわらずJRは、AI(人工知能)万能論を振りかざし、それを社会の必然的な動きであるかのように押し出して、労働者にあきらめを強いようとしている。
この攻撃は、日本帝国主義の基本戦略でもある。日帝資本は、米中間の争闘戦が軍事的対立をはらみつつ激化の一途をたどり、世界経済が急速に収縮する中で、AI化に延命の道を求める以外にない。またそれは、新自由主義がもたらした労働力人口の減少という事態を乗り切る唯一の方策でもある。だがそれは、どこまでも絶望的なものでしかない。
6・9国鉄集会に集まり反撃しよう
その先頭を走っているのがJRだ。JR東日本は運転士・車掌の廃止で鉄道業務の本格的な分社化に乗り出そうとしている。また、JR東労組すら解体して、「労働組合のない社会」をつくろうとしている。この攻撃を許したら、それはJRをモデルに全社会に押し広げられる。
目前に迫った6・9国鉄集会は、これと対決し、「非正規職だけの社会にさせない」重要な闘いだ。なんとしてもこの集会への大結集を実現し、反撃の扉をこじ開けよう。