焦点 世界規模でファーウェイ「禁輸」 没落米帝の対中覇権戦争
焦点
世界規模でファーウェイ「禁輸」
没落米帝の対中覇権戦争
米中貿易戦争がさらに破滅的な段階に突入した。米帝トランプは5月13日に中国からの製品輸入のほぼ全部を網羅する対中制裁関税の「第4弾」を公表したのに続き(発動は6月末以降)、15日には「輸出管理法」に基づき、商務省が中国通信機器最大手のファーウェイ(華為技術)への部品・製品供給を、事実上禁止すると決定した。
また同日、トランプが大統領令で、米企業によるファーウェイ製品の調達を事実上禁止する措置をとった。この二つの「制裁」方針による米帝の直接の狙いは、ファーウェイに関連する米の輸出と輸入の双方を封じ込め、次世代通信規格5Gで世界トップを走るファーウェイのサプライチェーン(供給網)を寸断し壊滅的打撃を与えることだ。
●売上高はZTEの8倍
ファーウェイは「中国製造2025」の中軸をなす国策企業で、売上高は16年に米から制裁を受け破綻の危機に陥ったZTE(中興通訊)の8倍もある。世界に主要取引先だけで92社あり(全部で1万社以上)、年間670億㌦(7兆円)以上の部品を購入している。それが購入できなければ、スマホや通信機器の生産に支障が起こる。
すでに米半導体大手のインテルやクアルコムなどが次々に部品供給停止を決定し、ソフトバンク傘下の英半導体設計大手のアームも取引停止を従業員に通知した。特にアームは半導体の開発・設計で圧倒的シェアを保持し、取引が止まれば、ファーウェイはスマホの新規開発が困難化すると見られている。
日本企業も米帝の制裁方針に追随して、アマゾンジャパンや家電量販店大手4社がファーウェイの新機種の販売を取りやめたり、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが発売延期や予約受付の中止を決定した。
●「勝者なき消耗戦」に
だが米帝トランプのこうした理不尽な対中制裁方針は、米帝および世界のIT企業や、さらに消費者にとっても、まったく「もろ刃の刃(やいば)」であり、まさに「勝者なき消耗戦」だ。特に米IT企業はすでに売上高や収益見通しを引き下げ始め、半導体株から資金が流出しつつある。
さらに対中経済制裁の「第4弾」公表とファーウェイ排除策とが連動して、世界経済動向に左右される原油や銅などの「リスク商品」も売られている。米原油先物も1バレル60㌦台を割り込んで急落し、中国が世界の約5割を消費する銅も、すでに4カ月ぶりの安値水準に沈んでいる。
他方では危機時の「安全資産」と言われる米国債に投機マネーが流入し、米10年物国債利回りが2・27%に低下、「不況の徴候」=「長短金利の逆転」現象も再び起きている。
●大恐慌と世界戦争情勢
米中貿易戦争の根底にあるのは、基軸国・米帝の没落と中国スターリン主義の台頭=「巨大化」だ。米帝は今や鉄鋼、石炭、電機、自動車など伝統的な製造業の衰退が著しく、基軸通貨・ドルの国際決済シェアもすでに4割弱にまで落ち込んでいる。
こうした中でトランプは「米国第一」を叫び、IT(情報技術)などの経済から安保・軍事に至る全分野で、帝国主義間・大国間争闘戦を激化させ、とりわけ中国スターリン主義を習近平が叫ぶ「長征」「持久戦」へ追い込み、体制転覆をも狙って貿易戦争、覇権戦争を仕掛けている。大恐慌・大不況下の世界戦争情勢は今やここまできた。
日帝・安倍政権はトランプにべったりと一体化し、天皇制を全面的に使い、衆参ダブル選も狙い、改憲と大軍拡、戦争への道を突き進んでいる。6・9国鉄集会を成功させ、改憲阻止・安倍打倒へ総決起しよう。